182. 確認作業は必要
182. 確認作業は必要
「ねぇねぇ先輩!冬花先輩から聞いたんですけど、もうすぐ修学旅行なんですか!?」
「そうだよ。今年は京都に行くんだ」
「へぇ〜いいなぁ。私も行きたいです!」
「……それは無理だろ。お前は学年が違う」
まぁオレも別に特別行きたいってほどじゃないんだけどな。わざわざ知らないやつと寝泊まりして、勉学とはいうけど、実際はただの旅行なだけだ。それなら家にいたほうがマシなんだけどな。
「先輩。夜に女子の部屋とかに行かないでくださいよ?」
「行くわけないだろ。それに、夜中まで起きてるのは嫌だから、ちゃんと早めに寝るつもりだし」
「ふーん。この前の旅行で横に寝てる冬花先輩襲おうとしてたのにですか?」
「どこがだよ!」
うぜぇ。何の根拠があって言ってんだこいつ。
「じゃあ寝てたのが私なら襲いましたか?しかも二人きりだったら!」
「は?」
いや、意味わからんし。何言ってんだよこいつ。
「どうなんですか?襲ったんですか?」
「襲うかアホ。というか、そんなことしたら普通に犯罪だろ。そもそも、お前なら一応確認を……」
「確認?何の確認ですかぁ~?」
ニヤリとした顔を浮かべながら言う夏帆。その表情を見た瞬間、オレは自分の失言に気付いた。
「……はっはーん。なるほどですね」
そして、何かを悟ったかのように笑みを深める夏帆。その目は完全に獲物を狙う狩人のようであった。
「もしかして……今遠回しに確認しようとしてますか?」
「違う!さっきの話の流れでどうしてそうなるんだよ!」
こいつの思考回路どうなってんだ……。
「だって先輩のことですから、私の身体に興味があるのかと思ったんですよぉ〜」
「お前本当に一回黙れ」
はぁ……。何なんだこいつ……本当にうぜぇな。
「とにかく、そういうことをするつもりは一切無いから安心しろ」
「えぇ〜。そこは『夏帆、好きだ!』って言いながら押し倒すべきじゃないですか?私は全然OKですよ?むしろウェルカムです!」
「オレがウェルカムじゃねぇ!」
こうしていつも通りウザい夏帆と、懲りもせずにやり取りをするのだった。