20章 19歳を実感
他局においても、教養番組が映し出されていた。
こちらの番組を担当しているのは、50くらいの男性である。年齢を重ねているからか、白髪が目立っていた。
男性は問題を読み上げる。淡々としていたので、機械が読み上げているように感じられた。
「3x=12です。x=いくつでしょうか」
小学生では習わないレベルの問題だ。こちらは、中学生を対象にしているのかな。
50くらいの男性の問題に対して、10歳くらいの男の子が答えた。
「x=4です」
「正解です」
小学生はお祭りムードだったのに対し、こちらはあっさりとしている。
男性は次の問題を取り出す。
「x2-2x-8=0です。xはいくつといくつでしょうか?」
問題に対して、12歳くらいの女の子が答える。
「xは4と-2です」
「どのようにして解きましたか?」
「この問題は、(x-4)(x+2)=0と変形できます。そこから、答えを出しました」
勉強していないのに、脳内で理解することができた。見た目だけでなく、思考力も19才になっ
たようだ。
「完璧ですね」
男性は次の問題を取り出す。
「can you speak japanese?」
日本語に直すと、あなたは日本語を話せますかとなる。
この問題に対して、10歳くらいの女の子が答えた。
「Yes I can」
女の子の答えに対して、
「perfect」
と50代の男性はいった。
中学生レベルの番組も、面白みを感じることはなかった。チャンネルを別のものに、スイッチさせた。