156. 信頼ゲージ
156. 信頼ゲージ
オレは夏帆の持ってきた、『ラブ☆メモリーズ』という恋愛シミュレーションゲームをやることになった。主人公はイケメン設定らしく、選択肢がいくつか表示されている。
「うわっ……何だよこのキモい選択肢」
『1.オレについてこいよ!』
『2.お前以外は考えられない!』
『3.今度こそ幸せにしてみせる!』
「私ならあれですね?さてさて先輩はどれを選ぶのかなぁ~?」
なんだよそのドヤ顔、気に入らないしうぜぇ。てかこのゲーム……ムズい。とりあえず一番上を選択してみる。すると画面には主人公がヒロインの伊織に話しかけるシーンが表示された。
『オレについてこいよ!お前はオレの太陽だ!お前がいないとオレは生きていけない!』
「うわっ……先輩マジですか……?」
夏帆がドン引きした表情で画面を見る。待て待て、後のセリフは知らんぞ!確かにこれはないと思うけど……。
『……気持ち悪い……無理。さよなら』
……え?ちょ、ちょっと待って!?なんか伊織の反応おかしくね!?普通こういう時は照れるとか恥ずかしそうにするもんじゃないのか!?なのになんでそんな冷めた反応すんの!?
「ああフラれちゃいましたね」
「これギャルゲーかよ!選択肢一つでこんな変わるわけねぇだろ!」
「だからギャルゲーじゃないですって!恋愛シミュレーションゲームです!」
「くそっ!もういい!最初からだ最初から!」
「先輩めちゃめちゃはまってるじゃないですか?」
しばらく進めていく、そして選択肢が出てくる。まぁここはさっきやったから大丈夫だろ。オレは選択肢を選ぶ。
『オレはお前を信じてるぜ!』
『……信じるか……そんな薄っぺらい言葉いらない。やっぱりあなたも私の事をわかってくれないのね。さよなら。』
「は?」
「またフラれちゃいましたね?」
「いやいや!さっきはこの選択肢で大丈夫だっただろ!」
「先輩……画面の右下の伊織ちゃんの信頼ゲージを見てくださいよ……」
信頼ゲージ?なんだそれ?よくわからないが言われた通り見てみる。そこには5分の1くらいまで減っていた。
「どういうことだよ……」
「この伊織ちゃんは先輩の事を完全に信じきれてなかったんですよ。それに気づかず同じ選択ばかりするからですよ。もう!女心がわからないんだから!」
なんでゲームごときでオレは夏帆に怒られてるんだ?意味がわかんねえよ。でもこのままやめるのは負けたみたいで嫌だ。とりあえず最後までやってやる!負けられない戦いが始まったのだった。