155. 『ラブ☆メモリーズ』
155. 『ラブ☆メモリーズ』
「ねぇ先輩!ゲームやりましょ!」
「別に構わないけど、レースゲームはやらんからな。もう飽きたし」
「ちっちっちっ。もう先輩は子供ですね?もっと平和的に大人のゲームをやりましょうよ」
「なんだよ大人のゲームって」
「あっ。もしかして期待してるかもしれませんが、イヤらしい意味じゃないですからね?」
「期待してねぇよ!」
うぜぇ……なんだこいつ。
「まぁそれはさておき、今日は違うゲームを用意してきましたよー!」
そう言って鞄の中から取り出したのは、ピンク色のゲーム機だった。
「えっと……『ラブ☆メモリーズ』?恋愛シミュレーションゲームかこれ?」
なんか聞いたことあるようなないようなタイトルだな……。
「はい!このゲームは、主人公が学園に転校してきたヒロインの伊織ちゃんと恋に落ちていく物語なんですよ!」
「へぇ〜。よくある乙女ゲーみたいな感じなのか?」
「いや全然違いますね。このゲームはギャルゲーじゃなくて、ちゃんとした恋愛シミュレーションですよ!」
……ん?ちょっと待てよ。なんでオレがそんなゲームをやるんだ?
「これで先輩の恋愛偏差値が分かりますよね!ヒロインを私だと思ってプレイしてください!私は先輩の愛を信じますよ!」
なるほど。つまりこいつは、オレのことを試していると言うわけだな。面白い、たかがゲームだ。付き合ってやるか
「あーはいはい。分かったよ」
適当に流しつつゲームの電源を入れる。すると画面には主人公のキャラが表示されていた。どうやらこのキャラを動かしてストーリーを進めていくようだ。
「よし。じゃあやるか」
とりあえず操作説明を読んでみる。『主人公を操作して、ヒロインとの距離を縮めよう!』……なるほど分からん。とりあえずやってみるか。まずは名前入力画面が表示される。
「名前は普通にオレの名前でいいかな……」
特に考えることもなく、テキトーに名前を入力していく。この時のオレは気づいていなかった……これが地獄の始まりだと……。