152. 対抗意識
152. 対抗意識
「ねぇねぇ先輩?春はあけぼのってどういう意味なんですか?」
「……えっ?どうした急に」
「いやぁ、なんか気になって……」
「そうだな。まあ簡単に言うと、春の朝がとても美しいという意味だろ確か?」
「へぇ〜。なら『夏帆は毎日』ですね!先輩ったら!」
何も言ってないし、しかもウザい。今日も夏帆のくだらない話を聞いているとインターホンが鳴る。扉を開けると千春がいた。
「ん?どうした?」
「あっあの……宿題教えてほしくて。お邪魔なのは分かるんだけど……ダメかな?」
「全然いいよ。中に入れ」
「うん……。ありがとう」
そうしてオレは千春に宿題を教えることになったのだが、夏帆がずっとオレを睨んでいる。そんなに嫉妬するくらいなら自分の部屋にでも行けば良いと思うんだが……。
「この問題はこの公式を使えば解けるぞ」
「ほんとだ。ありがとう秋兄。」
「先輩!私も教えてほしいです!」
「お前は自分でやれよ」
「だってここ分かんないんですもん!だからお願いします!」
そしてなぜか夏帆も対抗意識を出して宿題をやり始める。それならちょうど良かったのでオレも宿題をやる。すると、2人がチラチラこちらを見てくる。なんだか変な雰囲気だが、気にせず宿題を進めていかないと……。
「よし終わったな」
「やっと終わりましたね!あっ!せっかくだから夕飯作りますよ!千春ちゃんも食べてってください!」
「え?」
「おい。勝手決めるなよ」
「じゃあお願いしようかな。夏帆さんの料理美味しいし」
なんか夏帆と千春は微笑んでいるが、なぜか目は笑っていない。なんか面倒なことに巻き込まれたかもしれない……。