150. 日常茶飯事
150. 日常茶飯事
今日も学校。夏帆は日直だから早めに学校に向かったようだ。久しぶりに静かな登校になるな。部屋を出ると、ちょうど千春がいた。
「あ。おはよう秋兄」
「おはよう。千春も今から学校に行くのか?」
「うん。あれ……今日は夏帆さんいないの?」
「ああ、日直みたいだ。だから久しぶりに気楽だよな」
「気楽?……彼女なのに変なの」
そう言って千春がクスッと笑う。
「あのさ秋兄。気楽じゃなくなっちゃうかもだけど、一緒に学校行かない?」
「え?ああ。一緒に行くか」
「うん」
いつもは夏帆と一緒だったからなんだか新鮮な気分だ。
「ねぇ秋兄。夏帆さん怒らないかな?」
「怒るだろうな。でも気にするな。日常茶飯事だから」
「……秋兄。なんで夏帆さんと付き合ってるの?不思議なんだけど?」
「そりゃあ、ああ見えて可愛いところあるし。それにオレを好きだって言ってくれたからな」
「ふーん……」
「どうしたんだ急に?」
「別に。秋兄って夏帆さんみたいな人と付き合ってるのが意外だから聞いてみただけ」
そう言うと千春は少し不機嫌そうに見える。何か悪いこと言ってしまっただろうか……。
「ねぇ秋兄」
「ん?」
「もし秋兄が誰とも付き合ってなくて、私が告白したらOKしてくれる?」
「えっ!?いや……それは……その……」
突然の言葉に動揺してしまった。だって、こんなこと言われたら誰でもこうなると思うぞ。
「冗談。本気にしないで。ほら学校遅れちゃう」
「あっああ」
こうしてオレ達は学校に向った。道中特に会話もなく無言のまま歩いた。一体どういう意味で言ったのか分からないけど、なんかちょっとモヤっとしてしまうオレがいるのだった。