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148. 存在感が大きい

 148. 存在感が大きい



「ねぇねぇ先輩!せっかくなのでお花を買って帰りましょうよ。どれがいいと思いますか?」

「夏帆の好きなやつを買えばいいだろ」

「ダメですよ。先輩の部屋に飾るんですから、先輩も選んでください!」

「またオレの部屋に飾るのかよ……」

「当たり前じゃないですか。だってあの部屋殺風景ですし」

「悪かったな……」

「それにほら、私と先輩は将来一緒に住むわけですし……ねっ?」

 そう言って夏帆は首を傾げて微笑んだ。

「そうなるか……わからんだろ……」

 その言葉にドキッとして少し反応が遅れてしまった。

「えへへー、じゃあお花買いましょっか」

 そんなオレを見て満足したように笑いながら夏帆は再び花を眺めている間、オレはその隣で待つことにしたのだが、周りにいる女性たちの目線が痛い……。

「どうしましたか先輩?」

「いや……早く花を選べよ」

「もう少し待っててください。う~ん……この黄色くて可愛いお花はなんていう名前なんだろう?あっ!でもこれはちょっと大きすぎますかね……」

 結局、10分近く悩んでやっと1つの花束を買った夏帆だった。家に着いて部屋に入ると、早速夏帆が買ってきた花を飾り始めた。

「ふぅ……これでよしっと。ねぇ先輩?どうですか?」

「ああ。いいんじゃないか」

「このピンクの胡蝶蘭の花言葉は、『あなたを愛しています』っていう意味なんです。先輩もこれを見ていつでも私のことをそう思ってください!」

「お前、花までウザくなるだろうが、存在感だすなよ!」

「えぇ~っ!全然そんなことないですよ!」

 まぁ。そんなことしなくても、もう夏帆は存在感が大きすぎるけどな。こうして、オレの部屋に新しく存在感を示す胡蝶蘭が飾られるのであった。

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