137. 新たな１年
137. 新たな１年
今日は千春が引っ越してくる日だ。なぜか知らないが夏帆も黒崎も手伝ってくれる予定だ。
「夏帆はまぁいいけど、なんで黒崎まで？」
「私たち親友でしょ？手伝うのは当たり前じゃない！」
「そうか？オレの引っ越しじゃないんだが……」
「そんなこと言って私だけ仲間はずれにするのは許さないわよ神原君！」
「そうですよ先輩？せっかく冬花先輩が手伝ってくれるのに！まさか千春ちゃんと二人きりになろうとしてませんよね！？」
「そうなの神原君！？それは親友として許せないわよ！？」
……なんだこいつら。2人ともウザいんだが。まあ千春にはオレから説明しておくし大丈夫だろう。
そしてしばらくすると千春が到着する。
「秋兄。久しぶり。」
「おう。元気だったかって先月会ったか。」
「はじめまして！私は先輩の唯一無二の彼女の白石夏帆です！よろしく！」
「私は苦楽を共に出来るくらいの契りを交わした親友で神原君のクラスメートの黒崎冬花よ。よろしくお願いするわ」
「はぁ……。よろしくお願いします先輩方。」
千春が少し引いてる……というか呆れている。まぁ初対面だから仕方ないか。でもこの二人はこういうやつだから諦めてくれ。
「とりあえず荷物運ぶか」
それからオレ達は千春の部屋に家具を運び込む作業に入る。といっても大して重くない物ばかりなのであっと言う間に終わってしまったのだが。
「よし。これで全部だな。」
「皆さんありがとうございました」
「先輩の彼女として当然ですよ！私の親戚でもありますからね！」
「親友なら当たり前よね？気にしないで」
動機が意味不明だが、夏帆と黒崎の協力もあって、無事千春の引っ越しを終えることができた。
「じゃあ後は任せたぞ」
「うん。ありがとね秋兄。また後で」
「ああ。」
こうしてオレは自分の部屋へと戻る。この時のオレは気にもしていなかった。高校生活最後の1年がこの3人に振り回されることを。
