120. 一緒がいいから
120. 一緒がいいから
「ねぇ先輩!来月バレンタインですよ!先輩はどんなチョコレートが好きですか?料理のプロの夏帆ちゃんが手作りしますから!」
そう夏帆は言ってくる。まぁ夏帆の料理が上手なのは間違いないが、自分でプロとか言うあたりもうウザい。
「あーはいはい。楽しみにしてるよ」
オレは適当に返事をする。すると夏帆はムッとした表情でオレを見てくる。
「むぅ……そんな適当な反応しないでくださいよ……。もっとこう『夏帆の手作りチョコレートが食べれるのか!?やったぜ!』みたいな感じになってくれてもいいじゃないですか……」
「だってお前料理上手いんだからチョコレートも美味いと想像がつくしな」
「そ、それはそうなんですけど……それならチョコレートじゃなくて夏帆が食べたいとか言ってくださいよぉ!」
「そんなこと言わねぇだろ!」
なに言ってんだこいつは。本当に疲れるんだが。
「まぁいいです。バレンタインは土曜日なので先輩の家のキッチンを借りますね。あと冬花先輩も呼びますから」
「は?なんで黒崎まで?」
「え?冬花先輩がチョコレート作るのを教えてほしいって言ってたので」
「ならお前の家か黒崎の家でやれよ!なんでオレの部屋なんだよ?」
「そんなの決まってるじゃないですか!私が先輩と一緒にいたいんですよ!ダメですか!?」
うぜぇ。なんだよその謎理論は。意味がわかんねぇぞ。でもなんか断れない自分がいるんだけど……。
「……わかったよ。好きにしろよ」
「ありがとうございますっ!!さすが先輩!優しい!大好き!」
夏帆は満面の笑みを浮かべながら抱きついてきた。くそっ。可愛いから許すしかないじゃないか……。今年の2月14日は賑やかなことになりそうだな。