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119. 結構はじめの頃から

 119. 結構はじめの頃から



 今日から学校が始まる。冬休みは短いよな……。オレが扉を開けると夏帆が待っていた。

「おはようございます先輩!一緒に学校いきましょ?」

「ああ。」

 もう夏帆と登校するのも慣れたな。最初は周りの目が気になったり、緊張したけど、今はもうそんなことない。むしろ楽しいくらいだ。

「今日も寒いですね~」

「てか。お前スカート短すぎないか?寒くないのか?」

「だって先輩がパンツ見れないじゃないですか?それに私は寒さに強いですし!」

「見ねぇよ!どこが寒さに強いんだよ。お前、前に風邪で熱出して寝込んでたよな?」

「うっ……そういえばありましたね……でもあの時の先輩の看病嬉しかったなぁ。すごく愛されてましたよね私!」

「別に彼女なんだから普通だろ?大袈裟なんだよお前は」

 オレがそう言うと、何かを思い付いたかのように夏帆はニコニコしながら言ってくる。なんか面倒臭い顔してるんだが……

「あれあれ?私が風邪引いたのって文化祭前じゃありませんでしたっけ?彼女なんですか?既にあの時から?先輩の中で?」

 やっぱり面倒臭かった!しかもその顔うぜぇ……マジかあの時付き合ってなかったのかよ……毎日一緒にいるから時系列がバグったか?

「いや違うから。勘違いだった。毎日一緒にいるから時系列がバグってた。」

「えーそうなんですか?バグってたというより、先輩って結構はじめの頃から私の事好きですよね?」

「……」

「あれれ?返事がないですね?んふふふ。この反応は肯定と捉えてもよろしいでしょうか?いつの間にか部屋に行っても帰れって言わなくなりましたもんね?いやーん。私愛されてる!」

「うるせぇ!もう一緒に登校しねぇからな!」

「あっ先輩待ってくださいよぉ~」

 そう言ってオレは走って逃げる。そしてそれを楽しそうに追いかけてくる夏帆。なんだかんだ、やっぱりオレは夏帆が好きなんだよな……。

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