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121. 誉めてもいない

 121. 誉めてもいない



「ねぇ先輩!今週末にデートしてください!私、綺麗なイルミネーションがみたいです!」

「イルミネーション?この時期にまだやってんのか?」

「大丈夫です!昨日調べてまだやっているところを見つけたので!だから行きましょうよー!」

 確かに最近、夏帆とはデートらしいことはほとんどしていない。むしろ付き合う前のほうが色々遊びに行ってたかもな。

「わかったよ。最近デートらしいことしてなかったしな。じゃあ週末にイルミネーションを見に行くか」

「やった!約束ですよ!?絶対忘れないでくださいね!イルミネーションだと夜デートですよね?それなら日中はショッピングしたいです!」

 夏帆はすごく嬉しそうにしていた。そんな姿を見ていると、こっちまで嬉しくなってきてしまう。こうやって素直に感情を表せるのが羨ましいと思う。

「ん?あれもしかして私の可愛さに見とれてました?もう仕方ないですね~。私の魅力には誰も勝てませんからね!」

「別の意味でな」

「もう!誉めても何もでないですよ先輩!あっ!夜デートのあともしかして……なんか期待しちゃってますか!?いやーん。先輩ったら!」

「うぜぇ……なんも言ってねぇだろ。それに誉めてもいない」

「ひどいですよ先輩!」

 夏帆は、ウザったくオレの背中をポカポカ殴ってくる。そのあとはいつものようにオレの部屋で過ごす。夏帆と話していると時間があっという間に過ぎていく。いつもそうだ。楽しい時間は一瞬だ。だけどその一瞬を大切にしたいとも思う。

「もうこんな時間か。」

「本当だ。また明日ですね先輩?週末楽しみですね!」

 夏帆はとても楽しそうな顔をしている。それを見たらなんだかオレも週末が待ち遠しいような気がした。

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