118. 名探偵夏帆
118. 名探偵夏帆
「せんぱい~!会いたかったですよぉ~!再会のキスしましょ!キス!」
「しねぇよ!」
オレは夏帆の頭を軽く小突いた。本当にこいつはウザい。よくここまでウザくなれるもんだよな。
「ふえぇ……痛いですぅ~。せっかく会えたのに!私は寂しかったんですよぉ!」
「わかったよ。とりあえず落ち着け」
「なんか騒いでたら喉乾いちゃいました。オレンジジュース飲もうっと!……あれ?」
「なんだよ?オレンジジュースはおととい買っておいたぞ?」
「……誰か来たんですか先輩?煮物の減りが早すぎます。あとその食器。自炊しませんよね?それと調味料の位置!全然違います!」
「ん、ああ……。まあ……」
「私以外の女の子が、この部屋に入ってくるなんて許せないです!浮気ですか!?ん?この部屋なんか私より若い雌の匂いがします!やっぱり誰か来ましたね!?」
こいつ……怖いんだが……。しかも雌の匂いってなんだよ。犬かよ。
「さぁ白状してください先輩!この名探偵夏帆ちゃんを欺けると思ってたんですか?さぁさぁ!」
うぜぇ……なんだよ名探偵って迷惑探偵じゃねぇのかこいつは。これ以上隠しても面倒になるだけだしな。オレは千春が来たことを夏帆に伝える。まぁ隠すつもりはなかったんだけどな。
「その……急遽千春が来たんだよ。だから泊めてやっただけだ」
「先輩の従妹の雛山千春ちゃんですか?まさかやってませんよね!?」
「中学生だからな!?」
なんでそんな発想になるんだよこいつは……。マジで怖いわ。
「それならいいですけど。でも次からは私の許可なく女の子連れ込んだらダメですよ!わかりましたね!?」
……なら許可は一生降りないんじゃないのか?とか思ってしまう。でも久しぶりに会った夏帆は本当にウザくて、またいつもの日常に戻ったんだと嬉しく思うのだった。