90. 白と黒は同じ
90. 白と黒は同じ
今年も残りあとわずかだな。オレが教室で帰り支度をしていると黒崎が話しかけてくる。
「あの神原君」
「黒崎。何か用か?」
「あの子とは付き合えたのかしら?」
「あー。まぁそうなったよ。色々ありがとな黒崎」
「別にいいわよ。それでどうなったの? 詳しく教えなさいよ。聞く権利はあるわよね?」
「お、おう。分かったよ」
オレはそうして文化祭の日にあったことを話していく。すると黒崎の顔はみるみると赤くなっていく。そして彼女は大声を出す。
「ちょっ!ちょっと待ちなさいよ!」
「ど、どうしたんだ急に……」
「おっおっ屋上に行ったの!?あそこは立ち入り禁止でしょ!」
「どこに食いついてんだお前は」
こいつも変なやつだな。学級委員としての突っ込みかも知れねぇけどさ
「その……二人は恋人になったのでしょう? ならその……そういうこともするのよね?」
「は?」
「でも神原君はまだ高校生だし……。その……ちゃんと責任を取れるようになるまでは待ったほうがいいっていうか……」
なんだこいつは。急にモジモジし始めやがって気持ち悪いな。
「何言ってんだよお前は」
「ふっ不純なことは許せないでしょ!学級委員として!」
「声がでかいんだよ!それにオレたちはもう付き合ってるから問題ないだろ。黒崎には関係ないし」
「そっそれはそうだけれど……」
なんだろうこの女は。夏帆とは違う面倒臭さがあるんだが。早く帰らせてくれないかな。
「とにかく!私に報告する義務があると思うのだけれど」
「ねぇだろ!そんなの!」
そんな時、オレが遅かったからか夏帆が教室にやってくる。
「あれ先輩いますか?……え?ちょっと浮気ですか先輩!?私がいるのに!」
「いや違うって……」
「ならなんで黒崎さんと仲良くしてるんですか!やっぱり浮気じゃないですか!」
「だから違うって……」
ああもうめんどいなこいつら。
「私はそんなことしてないわよ!白石さん少し黙りなさい!」
黒崎の声が大きくて他のクラスメイト達がこちらを見ている。これはまずいな。関わるとロクなことにならない。
「じゃあまた明日な二人とも」
「あっ神原君!?」
「せんぱーい!?」
オレは急いで荷物を持って教室を出る。今日も疲れたな。帰ったらゆっくりしよう。なんでオレの周りはこんなに面倒な奴らしかいないんだ……。