89. 変化しないもの
89. 変化しないもの
「ねぇ先輩!週末デートしましょう!付き合って初めてのデート!」
「別に今までと何も変わらんけどな……まぁ別にいいけど」
「私の気持ちが違うんですよ!」
まぁ夏帆が喜んでるならそれでいいか。それにしても付き合っているという感覚がないのは事実だ。オレにとっては何も変わったところがない。
正直、学校で何回か夏帆と一緒にいたが、誰も何とも言ってこない。それは付き合っているという噂が前からあったからだと思うけど……。うーん。どうしたらそう言う感情になるのだろうか。
「どうしたんですか先輩?」
「いや。やっぱり付き合ってるって感覚がないなって思って。何も変わってないしさ」
「私もですよ。でも周りから見たら付き合ってるんだと思いますよ?多分。だから大丈夫です!」
そう言われるとそうなのかと思ってしまう。だがしかし……ただ少しだけ一緒にいる時間が増えたくらいで大して変化はないのだ。
「あっ!……そう言うことですか先輩?」
「なにが?」
「私とエッチしようとしてますか?もう!そういうことはちゃんと言ってくださいね!」
「ちげぇよ!!」
相変わらずこいつは突拍子もないことを言う。
「えっ!?違うんですか?」
「当たり前だろ!!そんなこと考えるわけないだろうが!」
「じゃあ何を考えてたんですか?いつもと変わらないから付き合ってるって感覚がないんですよね?キスもしちゃったし……残ってることって……そう言うことじゃないですか!」
「うぜぇ……」
なんでこんなにも元気なんだこの女は。そして何故ここまでグイグイ来るのか。意味が分からない。やっぱり付き合っても、何も変わらないみたいだオレたちの関係は。