91. 見学ですかね
91. 見学ですかね
今日も何事もなく学校が終わった。なのにまたこいつはオレに話しかけてくる。
「あっ神原君」
「……なんだよ黒崎。」
「明日よろしくね?白石さんから聞いていると思うけど」
「は?」
「え?私もあなたたちのデートに参加するのよ。聞いていないの?」
待て待て夏帆のやつ何勝手に言ってやがんだ。あいつまさか……いや、考えすぎか。
「あぁ聞いてねぇぞ。なんでお前まで来るんだよ」
「いいじゃない。友達と遊ぶことなんて普通にあるわよ」
こいつと友達になった覚えはない。なんならあの夏帆とのデートを見られた時からしかこんなに絡んでいないが。
「まあいいわ。じゃあ明日の朝8時に駅前集合だから遅れないようにしなさいよね。遅刻したら許さないわよ!」
そう言い残して黒崎は教室を出ていく。……というかこの前といい今回といい、なぜこいつがここまで積極的に関わろうとしてくるのかわからない。
とりあえず夏帆に確認をするべきだよな。帰り道オレは夏帆に確認をする。
「はい。言いましたよ」
「お前何勝手に……」
「だって私と先輩のラブラブぶりを見せつけるチャンスじゃないですか!先輩が浮気しないようにですよ!」
「誰が浮気してんだよ!」
くそっ。忘れてた、こいつはこういうやつだった。
「とにかくそういうことだから、ちゃんといつも通りにしてくださいね?黒崎さんは見学ですから。」
「なんだよいつも通りって?」
「え?腕組んだり、キスしたりですけど」
「いつもしてねぇだろ!」
なんだよこいつマジで面倒くさいな……。誰かなんとかしてくれ……。
「でも大丈夫ですよ!きっと上手くいきますから!あぁー楽しみですね。どんどん見せつけちゃいますからね!」
「うぜぇ……頼むからお前こそいつも通りにしろよ?いつも通りでもヤバイんだから」
不穏だ。不安しかない。別に変なことが起きるわけでもないはずなのに。こうして何故か知らないが、オレと夏帆のデートに黒崎もついてくることになったのだった。