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83. ファッションショー?

 83. ファッションショー?



 帰り道。周りを見渡すとハロウィン一色だ。今日は10月31日。世間は仮装パーティーなどをやるみたいだけど、正直オレには関係ない。

 そして家に帰り、部屋で夏帆を待っていると、すぐにインターホンが鳴った。

「先輩!トリック・オア・トリート!」

「……。」

 玄関のドアを開けると、魔女の格好をした夏帆がいた。髪型はいつも通りだが、魔女というだけあって全体的に黒っぽい感じだ。それに露出度も高く、普段より少しセクシーに見える。

「どうですか?可愛い夏帆ちゃんですよ?」

「あぁ、似合ってるんじゃね」

「……それだけですか?」

「他に何があるんだよ?お菓子でも欲しいのか?」

「違いますよー。先輩からの愛の言葉ですっ!」

「はいはい。かわいいかわいい」

「むぅ……なんか適当じゃないですか!?」

 適当にあしらっていると、頬を膨らませて不満そうにしている。そんな顔されてもな……。そもそもなんでわざわざ家まで来てこんなことをしているんだか。まぁいいけどさ。

「ほら、もう満足したろ。着替えろ」

「えぇ~もっとこの格好でイチャイチャしたいんですけどぉ……」

「……しねぇって」

「そんなこと言って、私の露出高めの姿を見て興奮してるんじゃないんですか?ほらほら、もっと見てもいいですよ?」

「うぜぇ……」

 くそっ。動くたびに見えそうなんだよ……チラリズムもいい加減にしろ。いくらなんでも無防備すぎるだろこいつ。わざとなのか無意識なのか分からないが、その辺の線引きが難しい。

「先輩?我慢出来ないなら押し倒してもいいですよ?」

「お前はもう少し恥じらいを持てよ……」

「大丈夫です。私はいつでもウェルカムなので!」

「……」

 オレは無言のまま玄関の扉に手をかける。そしてそのまま思いっきり閉めた。すると外からはドンドンと音が聞こえる。多分抗議をしているんだろう。

「開けてくださいよぉ~!」

「うるせぇ!お前が悪いんだろ!」

「酷いです先輩!私を一人にするなんて!!」

「じゃあ勝手に一人でやってろよ!」

「分かりましたよぉ~!今すぐ着替えて来ますからぁ~!」

 そう言って静かになった。やっと諦めたか……。それにしても、あいつ本当に自由奔放だよな。別に嫌ではないんだけどさ。むしろ楽しいっちゃ楽しいけど、時々疲れてしまう。

 しばらくすると再びインターホンが鳴る。今度はなんだと思いながらドアを開けると、そこには猫耳を付けた夏帆の姿があった。

「どうですか?先輩?にゃんにゃん?」

「ふざけてるならもう帰れよ!お前は本当に面倒臭いな!」

「あぁ~ん!先輩、構ってくださいよぉ~!」

 そのあと、何回か夏帆のハロウィンのコスプレに付き合ってあげるのだった。付き合ってやるオレもオレだけど、コスプレは可愛かったからよしとしよう。

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