84. 素直な言葉
84. 素直な言葉
文化祭まであと2週間。オレたちのクラスは、お化け屋敷を作ることになった。今はその準備をしている。
「ねぇ、ここってどうするの?」
「あぁ、それはこっちでやるから」
「そう?じゃあ、よろしくね」
「おう!」
みんな、楽しそうだな……そんなことを考えていると学級委員の黒崎が話しかけてくる。
「神原君。ちょっといいかしら?」
「黒崎?ああ、なんだ?」
「この資料を資料室に運ぶのを手伝ってほしいのだけど?」
資料室と書かれた部屋に入り、その資料を戻すことにする。
「ねぇ神原君。聞いてもいいかしら?」
「なんの話だ?」
「あなた、本当に一年生の白石夏帆さんと付き合っていないの?」
またその話かよ……。まあ、別に隠す必要もないから言っておくか。
「本当だよ」
「でも、あの子はあなたと付き合っているって言っていたわよ?」
「それは……でそれがなんだよ?」
「文化祭当日の案内所の人数が足りなくてね。神原君が白石夏帆さんと文化祭回らないのなら私と一緒にやってほしいなと思って。他の人は文化祭回る予定があってなかなか協力してくれなくて」
そういうことか、まぁ夏帆とは学校では絡まないようにしているし文化祭を一緒に回る予定もない。それにオレも特にやりたいことはないしな……。
「分かった。手伝ってやるよ」
「ありがとう!助かるわ!」
こうしてオレは黒崎の手伝いをすることになった。そして家に帰り、部屋にはいつものように夏帆がいる。
「そう言えば先輩は文化祭誰と回るんですか?」
「いや、オレは文化祭は回らない。黒崎と一緒に案内所をやることになってるぞ」
「えぇ!?なんで黒崎さんと何ですか!?浮気じゃないですか先輩!?」
「なんで浮気なんだよ!人手が足りないから手伝うだけだよ!」
「むぅ……」
頬を膨らませて不満そうな顔をする夏帆。
「仕方ないだろ?他の奴らはみんな文化祭回るらしいからさ、空いてるのがおれしかいないんだとよ」
「そうですけどぉ……」
「この話しは終わり。お前のクラスは文化祭何やるんだ?」
「私のクラスは喫茶店ですよ。ちなみに私はウェイトレスとして出ます!ふふん。メイド服着るんですよ!」
ドヤ顔で自慢してくる夏帆。まあ可愛いと思うけどな。
「そっか、似合ってんじゃねえか?お前は可愛いしさ」
「へ?せ、先輩いきなりどうしたんですか!?明日雪ですか!?槍ですか!?」
「思ったことを言っただけだろ。何か問題あるのか?」
「い、いえ……むしろ嬉しいというか……にゅへへぇ」
変な笑い方をして気持ち悪い笑みを浮かべている。素直に褒めればこれかよ……本当にウザい。
「まぁ文化祭は一緒にいれないけど、頑張れな」
「はい!頑張ってきます!」
こうして文化祭当日を迎えるのであった。