3章 ラーメンを食べる
転生してから2時間後、お腹がぎゅるるとなった。
「お腹がすきました」
ミサキの目の前には、「味噌の王道ラーメン」という店があった。店を探すのは面倒なので、ここに入ろうかなと思った。
母親と生活してからは、わずかな白米を与えられるだけだった。そのこともあって、ラーメンを食べるのは久しぶりである。
暖簾をくぐると、40くらいの男性が立っていた。恰好からすると、ラーメン店の店主であると思われる。
「いらっしゃいませ」
歩くためのエネルギーが不足していたため、自分から一番近い席に腰かける。
メニューを見ると、米、味噌ラーメン、餃子、唐揚げなどが販売されていた。
極限の空腹状態だったので、大量注文をする。
「米、味噌ラーメン三杯、餃子、唐揚げをください」
店主は目を泳がせたものの、すぐに愛想笑いになった。
「ありがとうございます。すぐに準備させていただきます」
ミサキのところに、茶わん一杯のご飯が置かれた。それだけのことなのに、瞳からは涙が零れ落ちることとなった。
ご飯を口に運んだ直後、身体に衝撃が走ることとなった。こんなにも柔らかくて、甘い食べ物だとは思っていなかった。
「すごくおいしいです」
ラーメン店の店長は、戸惑った表情を見せていた。
「米で感動するのは、おねえちゃんが初めてですよ」
ライスはあっという間になくなった。
「ライスをもう一つください」
「ありがとうございます・・・・・・」
2杯目についても、同じスピードで食べ進めていく。そのこともあって、すぐになくなってしまった。
「ライスをもう一つをください」
「ライスばかりを食べると、ご飯が食べられなくなりますよ」
ラーメンを食べに来たのであって、白米だけを食べたいわけではない。そのことを肝に銘じる
必要がある。
注文してから10分後、味噌ラーメンが完成した。
「味噌ラーメンになります」
三杯分の味噌ラーメンが並んだ。これを見て、さすがに注文の量が多すぎるかなと思った。
ミサキはラーメンをすする。あまりにおいしいので、箸は大いに進むこととなった。
ラーメンを食べていると、餃子と唐揚げが完成する。
「餃子、ラーメンになります」
空腹の鬱憤を晴らすかのように、白米、ラーメン、唐揚げ、餃子を食べ進める。胃袋が大きめなのか、次々と胃袋に納まっていった。
最終的にご飯を3杯、ラーメン3杯、餃子2人前、唐揚げ2人前を完食。これだけの量を食べるとは、想像していなかった。
「会計をお願いします」
「食事代は、100ペソになります」
これだけの料理を、100ペソで食べられる。こちらの世界の物価は、かなり安めに設定されているようだ。
「食事代になります」
食事代を払った後、店をあとにする。
「ありがとうございました・・・・・・」
たらふく食べられたことで、最高の気分だった。これからも、いろいろな料理を食べられるといいな。