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2章 転生

 おいしいものを食べたいと思っていると、目の前に変わった生き物が現れる。何かはわからないものの、人間でないことだけは確かだ。

 性別については、現時点では判別不能。男、女のどちらも、可能性がありそうだ。

「こんにちは・・・・・・」

 透き通った綺麗な声をきいたことで、女性であることを知った。

 目の前の生き物は、満面の笑みを見せている。それを見て、美咲は警戒心を持つこととなった。笑顔ばかりを向ける人間は腹黒が多かった。

「警戒しなくてもいいですよ」

 こちらについても、母親がよくいっていた言葉。美咲は目の前の生き物に対する、警戒心をさらに高めることとなった。  

 妖精はこちらのそぶりを気にすることはなかった。 

「現実世界では、ご飯を満足に食べられなかったんですね」

「はい。家族から食事をもらえませんでした」

「転生社会においては、たくさんのご飯を食べられるようにします」

「転生社会?」

 10歳の女性には、転生社会は分からなかった。

「わかりやすくいうならば、第二の人生を送るということです」

 頭には大量のクエッションマークが浮かんだ。

「転生すれば、私のいっていることが分かりますよ」

 妖精は歯に食んだ笑顔を見せる。

「夜の9時から、朝7時はお腹が空かないようにします。その時間帯は、何も食べる必要はあり
ません」

 睡眠時にお腹が空かないのは、夢を見ているみたいだ。地球に生きていたときは、空腹で眠ることができなかった。

 美咲は頭の中に浮かんだ、疑問点を伝えた。

「生活費はどうするんですか?お金がなければ、生きていくことはできませんよ」

「あなたの家、生活については、こちらで保障させていただきます。一秒も働かなくても、問題
ありません」

「仕事をしなくても生きていけるんですか?」

「はい。生活にかかるお金を、こちらの世界から支援します。1カ月当たり、100万ペソとなって
います」

「100万ペソはどれくらいですか?」

 100万ペソ=1円という可能性もある。そうであった場合、ご飯を食べるのは不可能だ。 

「1ペソ=100円と考えてください」

 1ペソで100円なので、100万ペソだとどうなるのか。学校に通えていなかったので、計算の仕方がわからなかった。

 お金の計算ができない女性に対して、妖精は分かりやすい説明をする。

「100万ペソは、1億円ということになります」

 1億円という言葉を聞き、ミサキは心が揺れることとなった。

「1億円・・・・・・」

「それだけの金額があれば、問題ないでしょう」

 不自由のない生活を送れると知って、美咲のテンションは急上昇した。

「学習能力が低いみたいなので、平均並みの学力を付与します。この能力があれば、普通の生活を送ることができるでしょう」

 計算ができないだけでなく、読み書きなどの能力もない。小学1年生で習う漢字はおろか、ひらがなを読むのも難しい。

「ありがとうございます・・・・・・・」

「子供の一人暮らしは変なので、年齢は19歳という設定にします」

 現実世界から、9年後という設定なのか。9年間のうちに、どのような成長を遂げるのだろうか。

「初期の身長は160センチ。体重は42キロとします。食べ物をきっちりと食べれば、体重は増えていきますし、エネルギー不足なら体重は減ります」

 160センチに設定するなら、55キロくらいはほしいところ。42キロというのは、痩せすぎではなかろうか。

「あの世においては、存分に食べてください」

「ありがとうございます・・・・・・」

「身体を飛ばしますので、目を瞑ってください」

 いわれたとおりにすると、身体があの世に飛ばされていた。

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