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13. 逆に考えてみる

 13. 逆に考えてみる



 今日は学校の創立記念日だった。授業も午前中で終わり。クラスメートたちはみんな帰りにカフェやカラオケに行くらしい。まぁオレには関係ないけどな。

 そしていつものように白石が部屋にくる。だが、今日はいつもと違う。長い時間こいつといなきゃいけないと言う罰ゲームみたいな日だ。あーあ。早く終わらねぇかな……。

「ねぇ先輩。聞いてもいいですか?」

「なんだよ?」

「先輩って私が彼女だと思ってないんですよね?」

「そう言ってるだろ」

「どうしたら認めてくれるんですか?」

「認めるってなんだよ……そもそもそういう告白っぽいものもないだろ?」

 白石は確かにそうだと言ってから少し考えて口を開いた。それから、また少し考えるような素振りを見せてからこう言った。

「じゃあ、逆に考えてみて、私を彼女にしてみてくださいよ!」

 …………ん? 何を言っているんだこいつは? 意味がわかんねえぞ?

「どういうことだよ?」

「言葉通りの意味ですよ! 私のことを本当に好きになってください!」

「いや、だから……」

「考えてみてください?どこか嫌いなところありますか?」

 うっ……確かにウザいという事以外にこいつに嫌いなところは見つからない。でも、そんなの無理だろ。付き合うなんて想像すらできないし。

「答えられませんよね?それが答えですよ先輩!素直になってください!」

「なんでそうなるんだよ!って言うか、お前はなんでそんなにオレと付き合いたいんだ?オレのどこが好きなの?」

「全部です!構ってくれるところとか、優しいところとか、あと、可愛いところも全部好きです!それに先輩だって私のことは嫌いじゃないですよね?」

 ……正直な話、嫌いではない。むしろ最近はこの環境が当たり前になりすぎて、白石への好感度はあると思う。だが、それは恋愛感情ではなくてあくまで後輩としてであって……。

 オレは頭が混乱していた。なんだこれ。どうすりゃいいんだ?誰か教えてくれよ!

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