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第1章の3話 宇宙探査機と大厄災の火種


『――さあ、雑談はこれくらいにしまして! 当機はいよいよアンドロメダ星に着陸態勢に入ります』
いよいよかと、スバルが、アユミが、チアキが、シシドが、クコンが、そしてフードコートエリア中の皆が、その映像に注視する。

『地球の皆様方、当機がイの一番に新発見の未確認生命体! または希少なエネルギー資源を見つけ次第、無事! 地球に帰還する事を、どうぞ祈っておいでくださいませ~!
――では! 着陸開始――ッ!!』
グォオオオオオと宇宙探査機は、直下の勢いで、アンドロメダ星に吸い込まれていった。
アンドロメダ星でも、地球の大気圏同様、突入の際に高温に晒されるのだった。
その直後、ビーッビーッと鳴り響く警報音(アラート)。
それは、今僕たちが見ている、エアディスプレイの映像越しでも伝わってくるのだった。

「何だ!?」
「キャー怖ーい!」
驚くシシド。
そしてそのタイミングを見計らったかのように、女子生徒の1人が抱き着く。
その様を見て、他の女子生徒達が。
「ちょっとッ!!」
「ズルいッ!!」
と言うや否や、少女達がシシドに抱き着いていく。
「ちょっと離れなさいよ!」
「あなたがねッ!!」
「あんたもよッ!!」
(うぜぇ~見えねぇ~~!!)
俺にとっては毎度毎度すっっっごい有難迷惑だった。俺は抱きに抱きつかられ身動きとれない、っつーか重い。
しかも、少女達の髪が邪魔して、そのエアディスプレイの映像をまともに注視できないでいた。
イライラが募る。

ビーッビーッと緊急事態を報せる警報音(アラート)が鳴り響く。
未だ、まだ大気圏突入の最中であり、機体は高温に晒されていた。
『緊急事態発生! 緊急事態発生! エマージェンシー! エマージェンシー!』
宇宙探査機がガタッガタッと激しく揺れる。
『当機はアンドロメダ星に吸い込まれるように、急転直下の勢いでっっっ落下しています……ッッ!!!
……ッッこれは……ッッ!! 予想以上の重力でした……ッッ!!』
投機は判断を誤った。まさかここまでとは……。
投機は落下劇を演じながらも簡潔に実況説明し、克明に事態を視聴者の皆様方に伝えた。

「いったいあの星の重力は、どれくらいあるんや」
とうちは呟いた。

ビーッビーッと緊急事態を報せる警報音(アラート)が鳴り響く。
とその時、カッ、ゴロゴロとはるかかなたの積乱雲雷雲から、赤い稲妻が上空に立ち昇った。
『あ、あれは……レッドスプライト……!!』

【Red Sprite(レッドスプライト)妖精の火とも呼ばれるものだ。
発生場所は、雲海上部から立ち昇るもので。
これは積乱雲から雷が落ちたときに、そのはるか上空で、ほんの短い時間だけ見える、赤く光る発光現象である。
その雷の速さは、光の速度の3分の1。つまり秒速約10万㎞ととてつもない速度で迫るのだ】

バチィと赤い雷が、機体の側面をかすり、バンッと機体の一部が爆破した。

「ちょっと待って!! そんな事ってあるの!!?」
これにはあたしクコンもただただ驚くばかりだ。

『ッッ……ッッ!! 姿勢制御に入ります!!』
今宇宙探査機から見える眼下には、青いドーナツ状の雷が見えた。
『あの穴に入ります!!』
と急転直下の勢いで、青いドーナツ状の雷の相中に入り込み、無事抜け出すことできた。

「行けっ」
「行けっ」
「行け――っ!!」
「やったあ!!」
とシシドを取り巻きしている彼女たちも手に汗握った。が、当人は。
「み、見えねえ……」
大事な所を見逃しているのかも知れない。

『ッッ……ッッ!! このまま雲海に突入します!!』
そのまま投機はドボンと雲海に突入した。
中は積乱雲の嵐だ。
暴風雨が吹き荒び、雷が入り乱れ、竜巻が荒れ狂う。とてつもなく危ないところだ。
投機はそのまま急転直下の勢いで落ちていく。

【Cumulonimbas(キュミュロニンバス)積乱雲。
これは激しい雨をもたらす巨大な雲で、中では雷鳴が轟き。嵐が吹き荒び、その様はまるで暴風雨のそれだ。
激しいのはなにも雨風(あまかぜ)だけではない。急激に冷やされた、雪や霰(あられ)、雹(ひょう)となって、時には襲い掛かってくるのだ】

「なんて危ないところ進むんだ!!」
「すごいッッ!!」
スバル(僕)はただ驚き、あゆみちゃんはすごいと興奮した。

『キャアアアアア』
悲鳴を上げる宇宙探査機AI。
その様はまるで地獄絵図だ。人なぞひとたまりもない。
機体に幾多もの大粒の雹がぶつかり、機体を激しく損傷させていく。
これを見た視聴者たちはザワザワとどよめき、次には「頑張れー!」「負けるなー!」と応援するのだった。
それは各TV局を見ていた視聴者達や、豪華客船に乗車中の人達もだ。
場は激しく熱狂した。

【――この宇宙探査機を打ち上げた、某センターは緊急対応に追われていた。
なお、最高責任者は現在、宇宙エレベーターの静止軌道ステーションで挙式中である】
「すぐに取り消せっ!!!」
「もう手遅れですっ!!! あれは!! アンドロメダ星から送られてくるもので、現在時間(リアルタイム)での光景ではありませんッッ!!!」
厳しい現実が突きつけられた。最早、手遅れである。
「……ッッ。何か手はないのか……お前たち……!?」
私は助けを求めた。その案を募る。
そんな中、職員の1人が手を上げてこたえる。
「現実的に捉えて、今から次元トンネルを閉じても……もう、手遅れです………ッッ!!」
「……ッッ……ッッ胃が痛い」
厳しい現実が突きつけられたのだった。


――クルクル旋回しながら急転直下の勢いで落下していく宇宙探査機、このままでは危うい。
『バーナー噴射ッ!!! 最大出力(マキシマム アウトプット)!!!』
宇宙探査機に取り付けられた、4機のジェットエンジンが火を噴いた。
「続いて姿勢制御ッ!!! この強い推進力で脱出を試みますッ!!!』
このクルクル旋回をどうにかしようと姿勢制御を試みる。その際、強い過負荷が機体にかかる。
機体がガタガタと激しく揺れる。
急転直下の勢いがさらに増し、このまま脱出を試みる。
火を噴き上げるジェットエンジン。だが――
『――こっこれは、完全燃焼できない……ッッ!?』
それは完全燃焼の青い炎ではなかった。
不完全燃焼の浅黒い赤い炎だった。
『こっこれはまさか! 地球との『大気含有量の違い』……ッッ!! そんな……ッ!!』

【――正解だった! アンドロメダ星は地球よりも大きく、その重力は地球の3倍以上。
それによって、大気の層が地表側へ引き寄せられ。今ここにいる層は大気含有量不足なのだ。
某センターは大きな間違いを犯していた。
1つは、惑星接近の際、中の様子が良く見えるよう超高性能の望遠レンズを搭載していない事。
1つは、その惑星から発せられる磁場の流れ・濃度・強弱を測る仕様を搭載していないが挙げられる。
超視力は、そこに生命がいる星か否か、それいかんによって、これからの動きが変わるのだ。
磁場を測る仕様は、その星の重力を知る、目安の手掛かりとなる。
――失敗はしてもいい。
ただ、失敗をする前にもっと地球で、シミュレーションを行っていれば、これから訪れる『厄災の火種』を招く事もなかった……。
全ての原因は、某センターの女社長であり、現在挙式中の身である事だ。
彼女は自己中心的、我儘だったのだ】

ガタガタと激しく揺れる機体。
ビーッビーッと鳴り響く警報音(アラート音)。
その様を見ていたフードコートエリア中の人達は。
「行けっ……行けっ……」
「後もう少し……後もう少し……」
宇宙探査機が無事抜ける事を願った。
積乱雲の切れ目が迫る、スバル(僕)はそれを読み上げる。
「3……2……1……」
「「「「「行け――っ」」」」」
フードコートエリア中の人達が一斉に叫んだ。
そうして魔の積乱雲下部から脱出した。
その様を見ていた人達は大いに喜んだ。
思わずアユミちゃんが、嬉々としてスバル(僕)に抱き着いてきた。
と僕達のAIナビ達も思わずハグしていた。
――がその時、ドンッと積乱雲から伸びてきた一条の雷が、不運にもジェットエンジンに直撃した。
大破するジェットエンジン。
その様を見ていたスバル(僕)は驚いた。
「そんな……ッッ雷が落ちた!!!」
「えっ……」
「何だって――っ!!」
ジェットエンジンが1器やられた、推進力と姿勢制御を同時に失う宇宙探査機。
再びクルクル旋回し出した。
『キャアアアアア』
急転直下の勢いで落下す。

「そ……そんな……ッッそんな酷い事ってある!?」
「……ッッ」
アユミちゃんが僕に同意を求めてきた。だけど僕には何も言い返せない。もう奇跡を祈るだけだ。
黒煙を上げながら急転直下していく宇宙探査機。
さらに追い打ちをかけるように、ここは積乱雲の真下だった。
つまり。大粒の雹が吹きつけていて、ここも十分危ないところだ。
その大粒の雹が機体やジェットエンジンに激しくガンッガンッぶつかる。
そのせいで、もう1器のジェットエンジンが半分損傷し、黒煙を上げながら同時に火を不安定に噴き出す。
その様を見ていた人達は「ああ……ッッ!!」と悲鳴を上げ、顔を覆い隠す人や、頭を抱える人、目を逸らす人等様々だ。
そんな中、僕とアユミちゃんは青ざめた顔で見続け。
あの占い師の少女は、その様子を離れたところから見ていた。その物腰は冷静そのものだった。

ビーッビーッと鳴り響く警報音(アラーム音)
『まさかこんな事になるだなんて、完全にこれはっっっどうしようもありません――ッッ!!!』
とその時、『制御不能! 制御不能! 制御不能!』と別の機会音声が発せられる。

【――積乱雲を抜け、なおも落下劇を演じる宇宙探査機は、姿勢制御をどうにか試みようとするが……とても難しい事態だった。
残り2機のジェットエンジンでは、パワー不足感は否めない。
まず、この急転直下の勢いで落下しながら旋回する現象を解決しなければならなかった……。
そこで宇宙探査機AIが取った行動は――】

『そうだ! 一度エンジンを切り再点火すれば……!!」

宇宙探査機は一度エンジンを切る。
そのかいあって、急転直下の勢いで落下しながら旋回する現象が心持ち弱まっていった。
十分、距離とその現象が和らいだところで――

『――ジェットエンジン再点火ッッ!!!』
再び、そのジェットエンジン3器から炎が噴き出す。
同時に強い推進力を得ながら、姿勢制御を行っていく。
なお、その3器の内1器から黒煙が上がっていた。

【――その作戦は功を奏した】

「おおっすげっ!!」
「まるで映画みたいだあ!!」
「良かったぁ……」
と胸を撫で下ろす長崎学院の学生達。
「おい見ろ!! あれが……ッッ!!」
と引率の先生が指を差しみんなの注意を向ける。
「……」
「……」
「……」
「……」
アユミが、チアキが、シシドが、クコンが。
「……」
そして、スバルが「あれがアンドロメダ星の大地」を見た。


☆彡
――だが、なおも落下劇を演じる宇宙探査機の姿があった。
その様を見ていたシシドを取り巻く彼女達の1人が呟いた。
「……が……頑張れ……」
「……うん」
「そうよ」
「ここまで来たんだものね」
頷き合う彼女達。そして声援(エール)が送られる。
「頑張れー!」
「頑張って――!」
「後もう少しよー!」
「大丈夫あんたならやれる! あたし達が付いてるわよ!」
応援するシシドの取り巻き達。だけど……。
(だから見えんって……)
シシドはすごく迷惑していた。モテる男の悩みの1つである。

――宇宙探査機が、赤い渓谷(けいこく)に真っ下様に墜ちそうになる。
赤い岩肌に大きな滝が流れていた。
このままではマズイ。
宇宙探査機のレバーが下がり、スロットルレバーを最大まで上げる。
それにより姿勢制御は上向きに、ジェットエンジンの炎が激しく噴き出す。
危うく宇宙探査機が赤い大地に叩きつけられそうになる場面があったものの。
無事、姿勢制御は成功し、赤い渓谷から抜け出す事ができた。

――宇宙探査機は、赤い森の上空を滑空する。
その様を見ていたフードコートエリア中の人達は。
「やったあ!!」
「すげーっすげーっ!!」
「歴史的瞬間だ!!」
と大喜び。手拍子で拍手を送る人達もいたぐらいだ。
そんな中、再び、アユミちゃんが僕に抱き着いてきて。顔の距離がめっちゃ近かった。
「やったあ!! すごいすごい!!」
とその姿勢のまま、跳ねる跳ねるアユミちゃん。その際、その豊胸が僕の目の前でプルンプルン揺れた。
僕はそれを見て、凝視してしまう。あぁこのままその豊胸に顔を埋めたいと頭にチラついたが、やる勇気もなくグッと我慢した。でも――
(――ッッなんて役得なんだ!)


☆彡
――どうにかこうにか赤い森を抜け、赤い野を滑空する宇宙探査機。
そのジェットエンジンの1器からは、黒煙が上がり、不規則な炎が上がっていた。
と前方に何かが見えてきた。それは農村であった。
農村があるという事はここには人が暮らしている証拠だ。
宇宙探査機のAIがレバーを下げて、機体を上向きに傾けようとするが……。
『姿勢制御が利かない』
と機体のどこかが故障していた。
これには周りもザワッと騒ぐ。
『クッ! クッ!」
と何度も同じマニュアルを試してみるが、機体はどうやっても上向きに傾いてくれない。ただ滑空するばかりだ。
『そ……そんな……!!』
農村に迫る宇宙探査機。いかなる制御も受け付けず、そのままそこへ突っ込む。
『キャアアアアア』
そこで暮らす人々に不幸を振りまいていく、機体が赤く染まっていく。
そうして1つ2つ3つ4つと民家を壊していく、そこでもまた人々に不幸を振りまいていく。
そうしてそのまま協会の中に突っ込み、金色の女神像をぶっ壊して行くのだった。
この映像を見た人々はドヨめいた。今自分達が見ているものが信じ難いほどに。
さらに不幸を振りまいていく。この星の住人達は多種多様な宇宙人達がいた。
その人達を巻き込みながら、迷走劇を繰り返す、それはさながら地獄絵図そのもの。
過ぎ去った後の協会には、凄惨な光景が広がる、残骸の跡が残る

それを認(したた)めたチアキは。「始まった……厄災の火種が……もう運命の歯車は止まらない」と呟いた。


☆彡
赤い野を行く1人の旅人。
それは冒険者の様で、この辺では見かけない宇宙人であった。
その旅人はアンドロメダ星人ではなく、どこかの惑星からきたさすらいの宇宙人だ。

【ゴロンダ(年齢不明)開拓者(プロトニア)】

全体的にずんぐりとした宇宙人で、土色の体色、岩みたいな体つき。
背中には大きなバックパックと大鍋と大槌があった。
陽気に鼻歌を歌うゴロンダ、と腕時計型携帯を操作し地図機能を映写させる。
「フフ~ン! 今度はどこに行くゴロ~! ゴロッ」
と何かに気づいた。
ゴロンダはその方向に目をやると、空の向こうから黒い点が段々と迫ってくる、それは宇宙探査機であった。
それは認めたゴロンダ。
「見た事もない機体! 敵ゴロか!」
背負っていた大槌を取り出し、構える。
大きく左右にブレて姿勢が安定しない宇宙探査機が迫りくる。
2人が邂逅す。
走るゴロンダ。その手に持った大槌を振るう。
迫る宇宙探査機。その翼に大槌が迫り掠める。
両者はそのまま着地し、もしくは飛んでいった。
この映像を見ていた僕達は、一瞬何があったのかわからなかった……。
「今何が……」
「今の……なに……」
アユミちゃんは僕に抱き着いたまま、疑問符ばかりが浮かんだ。

【――その開拓者(プロトニア)とは、後にスバル達と出会う】


☆彡
次に宇宙探査機が向かうのは、双子山の山間(やまあい)の中だった。
その山の中腹から上部にかけて。
3つの種族が飛び交い、ここは己の種族達の領土権とばかりに誇示していた。
三種三様、それぞれの鳴き声が上がる。
「ピィ~!!」
「ギャ~!!」
「ゴルル~!!」
それぞれが主張する、ここは我々の種族の縄張りだと。
三種三様、三つ巴の戦いを繰り上げ、今日この日も、互いに領土権を巡って、日夜激しい戦いを繰り広げていた。
そこへ遠くの空から黒い点が段々と迫ってくる、それは宇宙探査機であった。
それにいち早く気づいたのは、ゴロンダと同じ開拓者だった。

【リーファ(年齢不明)開拓者(プロトニア)】
【ファレシア(年齢不明)開拓者(プロトニア)】

地球人に似た種族で、その人種の特徴は長い耳であった。
その恰好はまるで聖職者や修道院のようで、手には杖があった。
「ムッ!」
「どうしましたお母様!」
「何か来る! 備えろ!」
「はっはい!」

宇宙探査機が双子山の相中を滑空する。
その異常音に気づいた空を飛ぶ者達は、その発達した聴力もあって、易々と躱してのける。
だが、そうはうまくいかない者達もいたのも事実。
「ギャア」
「ギャア」
「ガアッ」
その被害を被って、双子山に流れる川に向かってバシャンバシャンと落ちていく。
そのまま逃げようとする宇宙探査機に向かって、後ろから衝撃波や翼の羽を弾丸のように飛ばして、攻撃してくる。
その攻撃をくらい、背面部を損壊させた宇宙探査機は、後ろから黒煙を吹きながらなおも滑空する。
――その様を見た僕達は。
「ソニックブーム!?」
「フェザーシュート!?」
とただただ驚くばかりだ。
――とその渦中、岩肌に取り付けてあった幾つもの巣の中から卵が零れ落ちた。
1つや2つじゃない幾つもだ。
危ないと滑空する空を飛ぶ動物達。その中にはファレシアの姿もあった。
ファレシアは危険を顧みず、岩肌からダイブしたのだ。
そのまま空中で卵をキャッチ。そして――
「――『地を駆けよ、一陣の旋風、我が腕宿りて、彼の者を撃て』!! 『旋風衝』!!」
垂直に落下していくファレシアは、その手から『旋風衝』を放ち。空中で静止かける。
そのまま落下速度おとしていき、空中で一時的に静止した。
あたしはすぐさま手持ちの道具の中から、『ロープ』を手繰り寄せ、隣岸の対岸にある木に向かって放り投げ、クルクルと巻き付けた。よしっ。
そのまま振り子の原理で、あたしは隣岸の対岸に移動し、着地を決めたのだった。
「ふぅ……なんとか卵も無事ね」
ホッと一安心するあたし。今のは何だったのかしら……。


☆彡
次に宇宙探査機が向かうのは、宿場町。
そこでは、エイリアン、小人、ヒューマンや亜人、半人半獣にエルフ、アマゾネスやドワーフ、鬼人に爬虫類人間など奇妙奇天烈な生命体達がいた。
実に多種多様である。
並びに、多様な動物達と共存し、時に家畜として飼っていた。
――その酒場。
獣人が亜人の姉ちゃんに話しかける。

【マタロー(年齢不明)開拓者(プロトニア)】

「姉ちゃん! 生一本追加な!」
「は~い! お待たせ!」
ドンッと『ポポー酒』をテーブルの上に置く亜人の姉ちゃん。
その器は木造りのビールジョッキでできていた。
「カ~~ッやっぱここの『ポポー酒』は最高だわ!」
ゴクゴクとポポー酒を飲み干す獣人。
「フツー誰も思わねぇよなぁ! ポポーを酒にできるなんて!」
「はい、そう思って果物のポポーをオマケするわよ」
「おぅ、サンキューな姉ちゃん」
「フフッ」
と上機嫌の酒場の亜人の姉ちゃん。
「へへへ」
と俺はちょっとした悪ふざけで、もとい下心見え見えで、その亜人の姉ちゃんのお尻を触ろうとした。
とその時だ。突然あれが来たのは。
ドガァンと突然壁が壊れ、宇宙探査機が突っ込んできた。
「!」
「!」
背後を振り返ろうとする亜人の姉ちゃん。恐怖のあまり目を瞑る。
ダメだ、死なせたくねえ。
俺は思わず飛んだ。
そのお尻を触ろうとした手にグッと力を込め、彼女を抱きかかえて飛んだんだ。変な体制でワリィ姉ちゃん。

【――だがその行為が命運を分けた】

「グッガァアアアアア!!!」
悲鳴を上げる獣人。
宙を舞う人々に鮮血。内容液をぶちまける酒瓶に木片の山。
そのまま宇宙探査機は何処かへ飛んでいった。

――その酒場の出来事を垣間見たスバルは。
「今、獣人の人が亜人の女の人を助けた……」
僕は、自分が見たものを信じられなかった。

――その宿場町の酒場はまさに地獄絵図だった。
泣き叫ぶ人々、血だらけの子供達。動物達の悲鳴。荒らされた庭園。建物の損壊等あげだしたらキリがない。
被害は甚大である。
人々は、大いに怒りにかられる。突然の悲劇に襲われ、怪我を覆うばかりか、家族をも突然奪われたのだから。
「グッ……痛てぃ痛てぇよお」
「ママ、ママ、うわぁあああん」
――そしてその酒場では。
「グッ……グゥ……ゆ、許さねえぞ……」
「ま、マタローさん!! 私を助けて」
あたしはマタローさんの手を握る。
「いったい誰がこんな酷い事を……私達にいったい何の恨みがあって……ッッ」
あたしは頭に怪我を負っていた。その血が流れ、さらにあたしは涙を流した。それはさながら血の涙を流しているようであった。

【――この惨劇はいつか訪れるのかもしれない。
私達人類はいつの日か必ず、地球を離れ、どこかの星に移住する時が必ず来るのだ。
その時、こうはならない事を、ただただ祈りたい。
その為に今は、ただ、準備を進めるしかない】


☆彡
次に宇宙探査機が向かうのは、ただ広い運河。
そのジェットエンジン部からは悲鳴が上がり。
そのジェットエンジンの1器からは、ボッボッと不規則な炎が上がっている。
機体からは黒煙が立ち昇っていた。
前方に見えてくるのは、何やらドーム状のガラス張り。それは海上都市であった。

【海上都市タラッシーポルティ】
その名の示す通り、一大産業都市を築いていた。
そこで暮らす人々は、腕時計型携帯端末を操り、様々なものを出力させる、空飛ぶスケーボーやバイクを乗り回し。
角の生えた種族達、例えば鬼人等は浴衣を着て、涼し気だ。
それはやはり、このドーム状のガラス張りの中だろうか。
中は温暖な気候で保たれていた。
なぜ、こーゆう事ができるのだろうか?
それは、やはりガラスにあった。
そのガラスは太陽光発電するもので、今の地球のように太陽の熱エネルギーを電気に変換する受電板らしきものが見当たらなかった。
そして、都市には風が循環していた。
光と風のエネルギーを上手く循環させて、エネルギーを上手くやりくりしているのだ。
そして、そのドームを点検する作業員達がいた。
今日も今日とて、パネルの取り換え作業を行っている。
パネルは、容易に人一人が持ち運べる仕様で。取り外し取り付け工事が簡略化されていた。
――と運河を駆ける宇宙探査機。その動きは不安定で左右にグラグラしている。もう制御不能な事態にまで陥っていた。
『ダメ……もう止まらない……ッッ!!! あたしの制御を受けつけない……ッッ!! 誰か……あたしを止めて――ッッ!!』
そのまま驀進する宇宙探査機。

――その様を見た多くの視聴者達は、その信じ難い光景を直視できず、目をそらす人達がいた。
「ダメ……もうどうにもならない」
とクコンは呟いた。

――そしてもう間もなく、宇宙探査機はドームの壁を突き破り、海上都市タラッシーポルティに突っ込んだ。
そこは多種多様な種族に溢れかえっていた。
様々な種族達が暮らし、開拓者達等が自慢話に花を咲かせていた。
だが、異常音に気づき、そちらに目を向ける人々。
「何だ……」
「ママ、あれー!」
と1人の少年が頭上を飛ぶ黒い物体を指さした。
それはドームの壁を突き破って、不法侵入してきた宇宙探査機であった。
今や全員の注目の的だ。
そこで暮らす人々は、大いに恐れおののいた。
「何だあれは!!」
「どこのファミリアのものかしら」
「おいっこっちにくるぞ」
「うっ……うわぁあああああ逃げろ――ッッ!!」
宇宙探査機は、高層ビル群を行き交いながら、その時に起こる風圧でビルのガラスを割っていく。
その直下で歩いていた歩行者達にガラス片が降り注ぐ。
辺りはもう血の海だ。
そして、宇宙探査機は向かいのビルに突っ込み、窓ガラスや室内を破壊しながら進撃する。
その最中、宇宙探査機のAIは悲鳴を上げた。
『誰か私を壊してっっっ嫌ぁあああああ!!!』
そこからの地獄絵図は比較にならなかった。

――青ざめるスバル、アユミ、チアキ、シシド、クコン。
この日、地球人達はこの光景を深く目に刻み付けた。


☆彡
【ブラックマーケット】
――ここはブラックマーケット。非公式ながら国から認可されている場所だ。
今日も今日とて、腐った金の亡者が趣味の道楽として、闇の商品や奴隷を競り落としていく。
『さあ、次は本日の大目玉! 世にも珍しい、月光の民族……狐人(アンテロポスサイエンポウ)! 縮めてアローペクスの母子です!
パッとライトアップされ、檻の中に入れられた母子の狐人に光が当てられる。
その少女の狐人は眩しそうにした。
「鑑賞用とするもよし! 母と子でハレームとするもよし!」
会場中に「ハハハハハ」という気味の悪い声が響く、その顔につけた仮面がかえって不気味だ。
「その身切り刻んで、希少な薬品として取り扱うもよしです!! さあ、競りを始めましょう!!!』
「オオオオオ」と会場中の興奮度(ボルテージ)が上がる。

――その後、競りは終わり。
檻の中に入れられた母子の狐人は、暗い地下室から運び出され、荷物専用の昇降機へと運ばれ、上の階に上がっていく。
今昇降機の中にいるのは母子の狐人と檻車を押している売人の3人だけだ。その売人も仮面をつけていて、薄気味が悪い。
「ンフフフ、最後のアローペクスの母子か。オイオイそんな目で睨むなよ、俺だってこの仕事を通して悪い事だってわかってるんだぜ!」
「このゲスめ。ロクな死に目に会わないよ!」
「……」
威嚇する母に娘は怯えていた。
「ケッ! お前達の祖先の星は凍りついて、どうせ帰る場所がないんだろうが! 惨めだなぁアローペクス」
「……ッッ」
「……」
「オラオラ、悔しかったら何か言い返せよ。へへ……いや俺だって、悪いと思うんだぜ~! だけどな……こればかりは、その種族に生まれてきた自分達の運命を呪うんだな!」
「ッッ……」
「……」
あたし達アローペクスは、自分達をこんなにした種族を呪った。呪ったところでどうにもならないけれども……
と荷物専用の昇降機が止まり、その大きな扉が開いた。
売人は檻車を押して昇降機を後にする。
「なんであたし達がこんな目に……」
そう、呟いたのはあたしの娘だ。
「……ッッ人身売買だよ。このクソッたれの相手の素性こそわからないけれど……どうせ話に聞いた、ろくでもない他の惑星の好事家(こうずか)だろう」
「フッ」と鼻で笑う仮面を付けた売人。
「売り飛ばされたら最後、この身を切り刻まれ、特別な薬効効果を持つ薬品として仕立てられる……んだッ!!」
「そんな」と娘は、口元を覆った。
「あたしの父も母も、周りの人達も、そうやって1人1人消されて、絶滅まで追いやられた……!!
だからあたしの知る限り、あたし達2人がその最後の一族なんだよ!!」
「……ッッ」
あたしは悔しかった。なんであたし達がこんな惨めな人生を送るんだい。
「……最後にいい加減これだけは教えてくれないか?」
「……」
「あの日、あたし達の住む施設に夜襲をかけるよう命じたのは、誰なんだい?」
「……」
仮面を付けた売人が重々しくその口を開く。
――その瞬間、轟音と共に何かが迫ってきた。
それは天井や床を破壊しながら迫ってくる鉄の塊だった。そう、それは宇宙探査機であった。
それを見た仮面を付けた売人は「何だお前はぁあああああ!!!」と叫んだ。
仮面を付けた売人と檻車はそれに巻き込まれた。
そうして、宇宙探査機が過ぎ去った後、現場は瓦礫で溢れ半壊していた。
その瓦礫に手を付けたのは、仮面を付けた売人だった。
「こっこのくそ野郎がッ!! どこのファミリアのもんだ!! ボスに相談して葬ってやる!! この糞がッッ!! はぁ……はぁ……」
その時、俺はハッと気づいた。
檻車が半壊し、その中からアローペクスの母子が抜け出していたことに。

「はぁ、はぁ」
「逃げるんだよ! 捕まったら終わりだよ!」
「うん、ママ!」
アローペクスの母子は逃げ出していた。
だが、その足は長年幽閉されていた為、筋力が弱まり痩せ細っていた。加えて母と娘で言えば、母のケガ具合が大きく満足に走れないでいた。
とその時、ビ――ッと電子音が聞こえた。
「ッッ……」
あたしは、後ろから電子銃で撃たれ、そのまま前のめりに転がった。
「ママ」
と叫ぶ、あたしの愛しい娘。
ダメだ、娘だけでも逃がさないと。
あたしは手を突き出し、制止をかけた。
「あんただけでも逃げるんだよ!」
「そんな、ママを置いてなんて逃げられないよ!! どうせ死ぬなら、あたしもママと一緒に死ぬ!!」
「ッッ」
あたしは愛しい娘の顔をパァン……と叩いた。
まるで、その一瞬だけ時間が止まったようだった。
ジ~~ンと熱くなる母に叩かれた、あたしの頬。
「なに馬鹿な事考えてるんだい!! 捕まったら終わりなんだよあたし達はッッ!!」
「でも~~でもぉおおお!!」
「そうやってあたし達一族は紡いできたんだよ!! あんたは生きなきゃなんないんだよ!! あたしだってそうやって……ッッ!!」
(そうだ……! あたしたち一族はそうやって母から子、子から孫へ命のバトンを紡いできたんだよ。だから……だから……ッッ)
「あんたはどうやっても、その命のバトンを次の子に託すんだよ!!」
あたしは娘の肩に手を置いて、そう願った。
「う~~う~~!! ……ッッ」
気がつくとあの仮面を付けた売人が近づいてきていた。
あたしは怖くなり、母を置いて逃げ出した。
「待ってて、必ず助けを呼んでくるから!!」
走り去っていく愛しい娘。あたしはその後ろ姿を見守っていた。送り出すときはせめて、優しい笑顔で。
と静かに涙を流すあたし。
「元気に生きるんだよ……クコン」
あたしは娘の名前を呟いた。
ザッと仮面を付けた売人が後ろに立った。そのままあたしに銃口を向ける。
「痛い目に会わないとわかんないようだな~~」
「フンッ知ってるかい?」
「あ~ん?」
「女はね。大事な者を護れるってんなら命を懸けられるんだよ!!」
(あの子はね! あたしがお腹を痛めて産んだ子だよ!! 誰がお前達なんぞにやるもんか!!!)
あたしは最後の手段を取った。首に手を回し、この首に付けられた首輪を外しにかかる。
そうだ、首輪は爆弾だ。
「おい待て!!! 何をやる気だ――ッッ!!!?」
「クコン、元気で生きるんだよ!! ママはずっと傍にいるからね!!」
あたしは娘の名前を呟き、この男を道連れにするため抱き着いた。
そして、ドォオオオオオンと爆発の花が咲いたのだった。

――その爆発によって生じた爆圧が背後から迫り、クコンは吹き飛んだ。
「コンッ!!」
ドシャと瓦礫の上に倒れた。
「ううっ……ママ……置いていかないで……ママ……」
そして、そのままあたしは意識を手放したのだった……。


☆彡
【海上都市タラッシーポルティ】
――何かの建物に顔から突っ込んでいる宇宙探査機。
その宇宙探査機からアームのようなものが伸び、この星で見つかった新しいエネルギー資源に手をつけていた。
そこは何かの格納庫だった。
――その様を見たスバルは呟いた。
「まるで泥棒だ」
あたしアユミはその様を見て、まるで信じられないようなものを見るかのようで。
だが、その時突然、宇宙探査機が何者かの攻撃をドンッドンッと受けた。
『なにッ!?』
宇宙探査機の上部が後ろに回転し、その様子を捉えようとするが、そこには何も映っていなかった……。
だが、突然、その後ろから奇襲を受けた。まるでそこに見えない何かがいるかのように。
『何々!?』

――その様を見たアユミちゃんは。
「何っ何が起こってるの!?」
「何あれ……何かが揺らめいているような……そこに、いる」
とスバル(僕)は何となくだけど、その正体を掴みかけていた。
「……」
如何わしい視線を送るアユミちゃん。
「見えるの……?」
うんと頷くスバル。
「何となくだけど……そこに2人、いる……!」

何者かの奇襲を受け続ける宇宙探査機。
『いる……何かが確実に、いる……!!』
宇宙探査機はアームを伸ばして、攻撃を仕掛けようとするが、空を切るばかりでまるで手応えがなかった……。
そればかりかさらに奇襲を受け続ける。
『キャッ!! もう何なの!! この目に見えない奴!! いやちょっとやめて!!』
なおも攻撃を受け続ける。
もう機体からブスブスと黒煙が上がっていた。このままでは本気でマズイ。なら、打てる手は1つだ。
『脱出します!!』
あたしは逃げる前に両手のアームを伸ばして、せめて嫌がらせをしてから逃げる。
ジェットエンジンの炎を再点火し、猛スピードで脱出を図るのだった。

――だがこの時スバルはそれを見逃さなかった。
「今機体に宇宙人が潜り込んだ!」
「……えっ!」

宇宙探査機は当建築物から脱出を試みる。
音を立てて、ガリガリと壁を天井を壊しながらジェット噴射で驀進する。
驀進する、驀進する、出口の光が見えてきた。
そして、当建築物から脱出した際、後を追うようにして爆発が迫る。
宇宙探査機は爆風を背にして飛んだ。

「うぉおおおおお何だあれ!?」
「爆風を背にしたぞ! すげーっ!」
「いや待て! あれは何だ!?」
当建築物から脱出した宇宙探査機の前には、空を飛べるパトロール隊員達が巡回していた。
その手に持った光線銃が火を吹き。
一斉攻撃が迫る。
だが、ブスブスと黒煙を上げる宇宙探査機には、もう余力はなく、果敢にも正面突破するしか手が残されていなかった。
その正面突破に驚くパトロール隊員達。
このまま被弾はマズイと蜘蛛の子ように散った。
そのまま宇宙探査機は、ドームの壁を突き破り、海上都市から逃げおおせるのだった。
そして、そのまま上昇していき、白い雲を突き破り、成層圏を抜けて、宇宙へと飛び出していった。

――その様を見ていた人達は。
「おっ……!」
「おっ……!!」
「「「「「おおお!!!」」」」」
「うぉおおおおお!!! すげーっすげーっやったぞーっ!!!」
大歓声の声が上がった。
「やった! やった! やったね! すごいよねスバルくん!?」
「う、うん……そう、だね……」
(僕は、みんなのようには浮かれなかった……! なぜだかとても悪い事のように思えたからだ……!
それはあの星にしてみれば、突然の奇襲を受け、いきなり攻勢を仕掛けられたようなもの、なのだから――……)


☆彡
その大騒ぎは、ここ豪華客船の渡り廊下でも同様だった。
「すごーい!!」
と褒めるTVキャスターのニューズさん。
「これはすごい……まさか1発で未知のエネルギー資源を持って帰ってくるとは……!」
「あの鉱石は……? 何か純粋なエネルギー資源みたいだったですけど……!」
「いいえ。
地球にも核燃料で使用されていた『閃ウラン鉱』というものが、ありましてね。
私達人類の祖先は、それを加工して使っていたのですよ!
同様に彼等も、そういったものを加工して、いつでも使えるよう保管していたのでは……?」
「なるほど……――と思っていたのですけど……これは刀剣ですよね?」
――それは渡り廊下に安置されたショーケースだった。
そのガラス張りの中に収められているのは、大太刀だ。
「ええ、名刀『末乃青江』! 日本国内でも確認されている刀剣の中でも、1番の長さを誇る大太刀ですよ!」
と私は名刀の紹介をして締めくくった。

「「「「「ヒャッホー!」」」」」
「すげーっすげーっ!!」
「未知のエネルギー資源を持って帰ってくるわ!!」
「何にしてもお祭りだぜ――っ!!」
【――世界中の人々は浮かれ、大いに騒ぎ、喜び、つかの間の歓声に酔いしれる。まさにお祭り気分のようであった】



☆彡
【アンドロメダ銀河の宇宙空間】
『――地球の皆様聞こえるでしょうか? 当機は無事アンドロメダ星を脱出し、地球に帰還するところです! 道中色々な事がありました……」
今迄の事を振り返る宇宙探査機……。
次元トンネルを抜け、アンドロメダ星に入り。
そのすごい重力に引き寄せられ、急転直下の勢いで落下した事や。
雷に打たれた事、大粒の雹の叩きつけられ、ジェットエンジン1つを破損、並びに同じエンジンを1つ半壊してしまった。
そこから先はもう未知の冒険譚だった。
「これが未知……SF(サイエンス・フィクション)なのです!」
ゆっくり物思いにふけこむ宇宙探査機。ホントに色々な事があった……。
急転直下の落下劇(痛い事)も、
まるで宇宙人殺し(痛い事)も、
当建築物から脱出する際、たくさんの光線銃を被弾した(痛い事)も。
……あれ? 痛い思い出しかないような……。
――とその時、赤い太陽の光が差し込み、次元トンネルの光の穴が見えた。
『――……出口です。……当機の冒険はここで終わり、皆様の待つ、地球に……き……き……き…………帰還します!!』
その声はまるで泣いているかのようであった。
そうして宇宙探査機は宇宙にできた光の穴(出入口)に吸い込まれていくのだった。

――その様を見た世界中の人達は、大いに喜び騒いだのだった。
「ワァアアアアア」


TO BE CONTIUND……

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