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たこ焼き、焼きそば、フランクフルトに焼き鳥…
ひと通りそろっている屋台からの誘惑に負けそうなトウヤが何か食べていかないか…?と提案すると、アッハッハと腹を抱えて笑う、赤毛を空に尖らせた少年と、飾り気のない刀を帯刀する銀髪をウルフカット風に整えた少年が商店街の向かいから現れた。
「マグナ…笑いすぎだ」
銀髪の少年が刀の柄で相方の腹を軽く突き、ハァとため息をついた。
「そうだなゼロ。お前らもすまんすまん。
商店街を見回っていたら、買い食いを考えている奴と出会うとはな…お前らの未来を考えるとついな」
マグナは笑いをこらえると、ポリポリと頭をかき、ふたりに軽く頭を下げる。
「私たちがどうなるかわかるんですか…?」
「俺たちの代でな、バレないように特殊領域展開したうえで、入学式をさぼって出店を楽しんでいたんだよ。
それが後にばれて、3か月間毎日補修受けさせられたんだよな。
そいつら特待生だったってのもあってバツが大きかったんだよ」
「はぁ…普通に地獄だからやめておけ。それにな…領域展開:夜半の嵐。【疾風の大鎌】」
ゼロが上空に放った鎌鼬はの元に小柄な鵺が集まり、術式ごと鎌鼬を貪り食っている。