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1‐2

「ユキハー!準備できたか?そろそろ出ないと遅れるぞー」
「あ、うん!すぐに行くね!」

5歳の頃から一緒に暮らしている幼馴染、トウヤの声に急いで胸元にバッチをつけ、一緒に施設を後にした。

「なんだ、ユキハ?まーだ気にしてるのか?」

一緒に暮らしてきた時間が長いからか、トウヤは時折鋭いことを言ってくる。

自分の気持ちを的確に読まれたことにドキリと胸を鳴らすと、ユキハは顔を赤らめ俯いた。

「だって…私トウヤみたいに才能があるわけじゃないし…」
「そんなことねーって!学院もさ、ちゃんと見てるって思うよ。

魔法がなくてもユキハには武術があるわけじゃん?

それだけ素質があるって見てるってわけ。なら一緒に頑張ろうぜ?」

ニカッと笑い、頭を撫でてきたその優しさに、ユキハが抱えていたマイナスの気持ちは収まっていった。

ふたりが入学式に向かっていると、学校までの道筋に屋台がズラッと並んでおり、その様子に2人は驚愕する。

屋台の店主たちは新入生を見かけるたびに自分の店を宣伝していたが、ユキハとトウヤの金バッチを見かけると、頭を下げ、それぞれに簡単にではあるが祝辞を述べていた。

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