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 男らしすぎる、ストレートな告白だった。
 言われると予感はしていた。馬車がすぐ横に突っ込んでくるその前、言いかけられたときに。
 でも実際に耳にしてみればまったく違った。胸のいちばん奥へすとんと落ちてきて、かっと火をつけられる。
 彼の言葉に。
 伝わってきた想いに。
 ライラは思わずくちもとを覆っていた。このようなことを言われたらいいなと願っていた。何年、想っていたかわからない。
 当たり前のように、答えなんてひとつしかなかった。そして勇気を、自分から告げてくれたリゲルよりはずっと少ない勇気だろうけど、今こそ出して言う。
「嬉しいよ。私もリゲルがとっても好きだった。小さい頃から、ずっと」
 小さな声ではあるけれど、しっかりと返事をしたライラの言葉に、リゲルは心からほっとしただろう。めもとがふっと緩む。
「ありがとう」
 ここまでずっと一緒に成長したこと。
 その間、ずっと近くにいたこと。
 ライラが近すぎる距離に、それをなくしたらと思って不安になっていたようなことを、リゲルも思っていたのかもしれなかった。
「焚き付けられたような形になっちまったけど。ほんとうはずっと言いたかったんだ」
 そっと手を伸ばされる。事故から護ってくれたときとはまったく違って、羽根を手の中に包み込むようにやさしく抱き寄せられる。
 心臓がいったん喉の奥まで跳ね上がってきて、どくんどくんと速い鼓動を刻むけれど、もう不安感からではない。
 純粋なうれしさ。想っていたひとと、今まさに結ばれてしまった瞬間の。
「お前が学校を、ああ、中等科だな。卒業するときに言うつもりだった」
 しっかりした腕と胸に抱かれて、耳元でリゲルの声が聴こえる。その声は小さく、ライラに聴かせるためだけに言ってくれるのがよくわかった。
「そうだったんだ」
 ライラも小さな声で答えた。中等科を卒業するときが、一応の大人になることとされている。
 待っていてくれたのだ。ライラが大人になるときを。律儀なリゲルらしいことだ。

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