第1話 【冒険者の日々 其の1】
せかへい 外伝17
著者:pirafu doria
作画:pirafu doria
第1話
【冒険者の日々 其の1】
王国や帝国などの国に属さない特殊な組織。それはギルド。ギルドは冒険者を集めて、依頼をこなし、モンスターの討伐や賞金首の捕獲などを行っている。
そんな冒険者は今……だらけていた。
「疲れた〜」
「疲れたっすね〜」
「もう動けないわね〜」
宿で疲れ切って倒れている冒険者三人組。リトライダー、ダズ、ミエの駆け出し冒険者三人だ。
今日は師匠であるガーラのクエストについて行き、ボコボコにされてクエストは達成したが疲れ切って倒れているのだ。
「お前ら……疲れすぎだろ」
ガーラは武器である斧を磨きながらそんな三人に言う。
クエストでは一番活躍していたのはガーラだ。穴に落ちたミエを助けて、モンスターに食われそうになるリトライダーを助けて、クエスト達成の書類をミスしたダズの書類を直して、なんやかんやで一番働いている。
「ガーラ師匠は……元気っすね」
ダズは倒れた状態のまま言う。ガーラは斧を磨きながら、
「いつ何が起きるか分からない。武器は手入れできる時にしないとな」
ガーラはそう言いながら真面目に手入れをしていた。ガーラの装備はいつも綺麗に保管されており、不備を起こしたことはない。
どんな道具でも大切に使うため、すぐに壊れてしまうことはなく、どんなものも長持ちさせているのだ。
「お前らも武器の手入れはしっかりしろよ」
ガーラは三人にそう伝える。
三人は宿に帰ると、装備を放り投げてすぐに倒れた。そのため武器の手入れなんてしてない。
「あとで、後でやるから……」
ミエはうとうとしながらそう言う。と言うよりもすでにもう寝ている様子だ。
ガーラはため息を吐く。
ガーラは考える。ここで武器の手入れをやってあげたい。手入れをしておけば、いつ何が起きても良いようにできる。
それにガーラは綺麗好きであり、こうやって放り投げられているのを見るのは嫌いだ。
だが、この三人のことを考えるのならば、ここでガーラが手を出すことは良くないのではないだろうか。
ここで手伝ってしまえば、この三人はその癖がついてしまう。それはこの三人のためには良くないことだ。
ガーラは立ち上がると、
「俺は少し出かけてくる。帰ってくるまでにはやっておけよ」
そう言って出て行った。
三人のことを思うのならば、放っておくのが一番だ。それに三人も冒険者としての自覚がないわけではない。
そしてガーラが戻った時には、三人はしっかりと手入れを終わらせていた。