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力の保存装置と保管場所

「………………」
 れいは眼前に広がる無数の力の保存装置を前に、どうしたものかと思案する。というのも、そろそろ空の保存装置の数が少なくなってきたのだ。
 新しく保存装置を創造するのは必要として、それを何処に置くかが問題だった。
「………………保存装置の保管場所を拡げるというのは問題ありませんが、既に相当な広さを用意していますし、ここは重ねていくのが常道でしょうか?」
 一時的な解決案としてはそれで問題ないだろう。その次はとなると、またその時に考えなければならないが。
「………………全部異空間に収納出来れば楽なのですがね」
 異空間はかなりの量を保管できる。しかし、一定以上の力を保有するモノに関しては収納が難しかった。
 れいは既に相当数の充填済みの保存装置を異空間に収納しているうえに、毎日創っている果実や効力を弱めた褒賞用果実も保管しているので、今以上に収納するのは力の容量的に難しかった。術者の力量に比した上限を超えると、力を保有するモノは弾かれて収納出来なくなる。果実分に空きを大きく取っているとはいえ、保存装置はむしろ異空間から減らしたいぐらい。
 情報として保管する方法もあるが、保存装置の場合はれいの力を入れているので、情報化すると保管されずにれいに力が戻ってしまう。それも、保存装置から力を吸い上げるのと比べて、極めてロスの少ない変換効率なので、それをするぐらいなら保存装置から力を直接吸い上げる方が得だ。
 つまり、現状では何処かの場所に保管しておかなければならないわけだが、その保管場所に置いている保存装置がそろそろ限界というわけ。
「………………やはり重ねた方がいいですね。二段か三段ぐらいまでなら大丈夫でしょうし」
 保存装置はれいが設計しているので、その強度についてはある程度は理解している。不測の事態が起きない限り、少し重ねるぐらいは問題ないだろう。
 そういうことで、準備を進めていく。現在の保存装置の上に軽くて丈夫な板を敷き、そのうえに新しく創造した保存装置を置いていく。
 これでもかというほど保管場所にぎゅうぎゅうに敷き詰めたので、これで当分問題ないだろう。残っていた空容器は、異空間に収納していた充填済みの保存装置と入れ替えておいた。それでも残ったのは、また充填が済んだらその保存装置と交換しておけばいいだろう。
 そうして一時的ながらも容量問題を解決した後、余剰分の力を保存装置に込めておく。
 それかられいは世界の管理に戻る。そろそろ保存装置の保管場所を拡張させるという案も考えておかなければならないだろう。

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