28話〜事件の真相は
ブラット達はルルーシアの依頼を受け、その事で詳しく話を聞く事にした。
「……事は、夕方起きたのですが。旅の商人が街での買い物が済み宿に戻ってくると、置き手紙があり【お前の大事な荷物は頂いた そしてお前の大事な孫娘は預かった 孫娘の命が惜しければ お前が大事に身につけている物を持って 明日の昼にラベンダー草原に来い】と書いてあったらしいのですが」
「んー、何か変じゃないですか?こんな大掛かりに警備兵を夜中に」
「はい、確かに変なのです。これではかえって相手を刺激するだけではないかと」
「んー、そうなるとだなぁ。もしかすると、何か他に裏がある可能性もあるってわけか」
「はい、もしかしたらなのですが。商人の狂言とも考えられます」
「……狂言て、どういう事なんだ?」
「それはな。何らかの目的があってわざと……ん?でも何故この街で?それもこのタイミングで?」
「確かに、何故このタイミングで……まるでブラットがこの街に入るのを待ち構えていたかのように」
「これはもしかしたら、ブラットさんが狙いと考えるのがいいのかもしれませんが」
「はあ?ちょっと待て、俺が狙いって何で?」
「あのなぁ。いい加減、自覚を持ったらどうだ!」
サアヤは呆れた顔になった。
「はぁ、そうなると相手はこうなる事を、あらかじめ予測していたという事になりますね」
「どうしたものか?このまま見過ごすか、もしくはこれにのるかだが……」
「でも、これはあくまで推測なんだろう?」
「ああ、そうなんだがな」
「ルルーシアさん。聞きたいのですが、この依頼をしたのが誰か分かりますか?」
「ええ、確かその旅の商人の仲間の1人だったと思いますが?」
「顔は覚えているか?」
「そうですね。私は、良く顔の方は見えなかったのですが、確か青い聖衣らしきものを着ていたと思いましたが」
サアヤとフリックとグレンとフェリアはあの男を思い浮かべ同時に、
「「「「レオルド!」」」」
「知っているのですか?」
「ああ、私とフリックの知り合いだが。ブラットを狙っている男だ」
「俺を狙っている男って?」
「おい!お前が呑気に、コトネとご飯を食べていた時、お前を狙ってきた男だよ!!」
「ああ、あの時のやつか!」
「だが、レオルドが関わっているとなると、やはりブラットが狙いと言う可能性が高いな」
「それで、どうするんだ?」
「そうだなぁ。これは、様子を見て行動した方がいいかもしれないな」
「そうだな。あいつは、どんな卑怯な手を使ってくるか分からないからな」
「では、明日改めて行動を起こすという事でいいですか?」
「そうなるな。とりあえず、明日の朝また話し合おう。そして、可能であれば、それまでに、やつの足取りがつかめれば良いのだか」
「確かに、そうかもしれませんがそれを誰が?」
「俺は、トレジャーハンターだからやれるとは思うけど」
「そうか。そういえばお前、転職したんだったな。トレジャーハンターなら、やれるとは思うが。ただ、相手が相手なだけに慎重にやらなければ死ぬぞ!」
「確かに、そうだよな。んーやっぱり、不安になってきた」
「なら俺が、一緒に付き合ってもいいが。どうする?」
「フリックいいのか?」
「まぁ、あいつの事を、よく知ってる俺が、一緒に行った方がいいだろうしな」
「これで、何とかなりそうだな。だが、油断は禁物だ。用心には越した事はないがブラット、今からこの部屋はお前1人だけになるが大丈夫か?」
「あのなぁ。そこまで心配されなくても、俺1人でも大丈夫だと思うんだけど」
「本当に大丈夫なのか?怖くて泣くなよ」
「はぁ、いくら俺でも怖くて泣くか!!」
「はぁ、どうだかなぁ」
「グレンいい加減にしろ……って、いうか俺ってやっぱり、信用されてない……はぁ」
そして、グレンとフリックは、その後レオルドの足取りを探るべく、街中を駆けずり廻った。
サアヤ達は、グレン達が帰ってくるまで、自分達の部屋で休む事にしたのだった…。