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27話〜夜中に事件発生

 夜になりブラット達は明日の事を話した後、自分達の部屋にいた。

 ブラットはフリックとグレンと同じ部屋だった。

 そして、フリックとグレンは昼間、何かあったらしく早々に寝てしまった。

 しかしブラットは何故か眠れず、気晴らしに窓から外を眺めていた。

(そういえば、この2日間色々あったなぁ。親父が英雄王で母さんが元魔族の女王って、はぁ、俺はこの先どうなるんだ?……)

 そう思ってるいると外の様子が騒がしくなり出し、何か様子がおかしい事に気づいた。

 ブラットは、しばらくその様子を見ていたが、やはり気になり、フリックとグレンを起こした。

「おい!?グレンにフリック。起きてくれ、何か外の様子がおかしい!」

 フリックが眠い目をこすりながら、

「ふぁ〜……一体何なんだ?こんな遅くに」

「ブラット、何時だと思ってんだ?」

「そんな事を言ってる場合じゃないみたいなんだ!外を見てくれ」

 ブラットがそう言うと、フリックは外を見てみた。

 するとそこには数名の警備兵がいた。

「これは、いったい何が起こっているんだ?」

 グレンも外を覗き込み、

「確かにおかしいな?」

 すると戸を叩く音がしてサアヤの声がして、

「おい!?3人とも起きてるか?」

 ブラットが扉を開けると、サアヤは中に入ってきた。

「何か、街で事件があったみたいだな!外が騒がしいから、少し様子を見てきたが」

「何があったんですか?」

「んー、警備兵達が話していた内容だがな……」

「何があった?」

「そうだなぁ。んー、警備兵達の話だとこの街に泊まっている商人の大事な荷物が盗まれ、孫娘が連れて行かれたらしい」

「それって!?」

「サアヤ、どうする助けるのか?」

「んー、どうしたらいいかと思ってな。ブラットお前ならどうする?」

「そうだなぁ。俺は、助けたいけどまだ弱いし」

 話をしていると扉を叩く音がして、ブラットは扉を開けると、そこにはルルーシアが息をきらしながら立っていた。

「ルルーシアさん、どうしたんですか?」

「はぁはぁ、頼みがあって、急いで来たのですが」

「頼みとは?」

「貴女は?」

「私は、サアヤ=ワーズ。こいつは、フリック=マグナで、もう1人は……」

「俺はグレンと言います。綺麗なお姉様」

「はぁ?ああ、よろしくお願いします。あはは……はぁ」

「あっ、それより頼みって何ですか?」

「それなんですけどね。今日、街で事件が起き旅の商人の大事な荷物と、一緒に来ていた孫娘がさらわれ、それで……」

「ふーん、なるほど。それで俺たちに手伝ってくれってわけか」

「ええ、そうなんですけど、この依頼引き受けてくれないでしょうか?」

「引き受けたいけど。俺は、それほど強くないしなぁ」

「んー私は、構わないが確かに、ブラットの今の実力ではなぁ」

「俺は構わねぇが」

「俺も、大丈夫です!お姉様……」

「んー…ブラットさんが弱いとは、どういう事なのですか?」

「昼間、ブラットを試したんですよね?それなら分かったのではないのですか?」

「いえ私は、ブラットさんが弱いと、思わなかったのですが?」

「ははは、俺はあの時は、とっさに親父の聖剣盾にしたけど、あれはまぐれだったし」

「はぁ、あれは確かに咄嗟にされた事だったとは思いますが、私はあの時ブラットさんから強い力を感じましたが?」

「俺から強い力って?」

「ふむ、ブラットから強い力をなぁ」

「ええ何故弱いというのかが、私には理解できないのですが」

「はぁ、何と言ったらいいのか、こいつは本当に弱いんだけどなぁ。だが力を感じた……か」

「それでは、本当に力は秘めていても弱いのですか?」

「ははは……ああ、泣きたいくらいまだ弱い……はぁ」

「そうなると、どうしましょうか?」

「今のブラットは、使いものにはならないが。私達なら大丈夫だと思うが?」

「えっと、いくらなんでも使いものにならないは、ないと思うんだけどなぁ」

「ふーんそれなら、少しは覚悟を決めるか?」

「皆がやるのに、俺がやらないんじゃダメなんだよな」

「ほぉ、少しはやる気になったか?」

「ブラット、お前は本当に昔から、言われないと何もできないよなぁ」

「グレン、あのなぁ。確かにその通りだけどなぁ」

「おい、ブラット。そこは、普通なら否定する所だろう⁉︎」

「はははははぁ……」

 ブラットは苦笑した。

「そうなると、コトネ達も起こして来た方がいいな!」

「では、手伝ってくれるのですね」

【挿絵:桜崎優月様】

 
挿絵


「まぁ、ブラットはともかくとして、大丈夫だろう。じゃ、私は2人を起こしてくる!」

 サアヤは2人を起こしに隣の部屋に行った。

 そしてブラットとフリックとグレンとルルーシアはサアヤが2人を起こし戻って来るのを待つ事にしたのだった…。

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