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目覚めたら思い出の場所だった

「・・・・・・はっ!?」
 目が覚めた。
「あれ・・・・・・? 私、生きてる・・・・・・?」
 確か、私はギロチンで首を切られて死んだはずじゃ・・・・・・。
「あれ・・・・・・、此所は?」
 私は今いる場所を見渡した。
 レンガに囲まれた殺風景な部屋。
 私の他にはベッドに寝ている私より年下の子供達。
「此所って・・・・・・、もしかして『孤児院』?」
 私の幼い時の記憶がダンダンと甦ってきた。
 此所は私の育った『孤児院』だ。

 私は赤ちゃんの時に孤児院の前に捨てられていた。
 両親の顔は全く覚えていない。
 私が王子の婚約者になった時、両親だと名乗り出た人達が数人いたのだが本当かどうかはわからない。
 私は10才になるまでこの孤児院で育った。
 その孤児院に今、私がいる・・・・・・。
 私は慌てて側にあった手鏡を見た。
「も、戻ってる・・・・・・。」
 私の顔は10才の時に戻っていた。
 これはもしかして神様がくれたチャンス?
 しかし、よく見ると10才の時には無い物があった。
「えっ・・・・・・。」
 首筋に刃物で切られた傷跡がくっきりと残っていたのだ。
 やはり、私がギロチンで切られたのは夢ではなかったんだ・・・・・・。
 しかし、人生をやり直すチャンスを与えられたんだ。
 私は『ある決意』をした。
 今度は平穏無事な人生を生きる事。
 その為には多分、もうすぐ起こるであろう『あるイベント』を回避しなければならない・・・・・・。  

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