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なるほど。
貴族や豪商の娘さんが集まる場に、今の服装では確かに出られません。
侍女たち使用人と同じ格好をしてしまえば、食べている姿を見せるわけにも説明のために立ち話する姿を見せるわけにもいきませんよね……。
幸い、貴族だけではなく庶民……まぁお金持ち限定ですが……も招いたパーティーなので、私たちが混じっても大丈夫ですよね？
「俺は？」
「ふふ、カーツ君とブライス君も。にこっとほほ笑んで来ている子供たちにチョコレートを配ってくれればいいわ。大人から手渡されるよりも気が楽でしょうから」
確かにね。
いや……。
綺麗な顔のブライス君がにこっとほほ笑んでチョコを渡す……って、渡された女の子、逆の意味で緊張しそうですが……。
「皆、頑張ってくださいね。そして……チョコレートを我が手に！」
リリアンヌ様が手を突き上げた。
……。しーん。
「あら？おかしいわね？息子がそれくらいの年齢の時は、お菓子を我が手にと言えば、一緒に手を上げたんですが……」
首を傾げるリリアンヌ様。
「じゃあ、もう一度。チョコレートを我が手に！」
……付き合わないと駄目、です……よね。
「我が手に！」
はい。声出したのは私だけでした。……。
ううう。
「ユーリちゃん！」
むぎゅっ！
「そうよ！頑張りましょう！首を洗って待ってなさいよ！陛下面した人間と、その周りのやつらよ！」
という言葉を残してリリアンヌ様は部屋を出ていきました。
そして、残された私たちは着せ替え人形……一番着せ替えられていたのはブライス君です。うん。がんばれ！
使用人たちだって、少しは楽しみ欲しいんだよ。というか……見ている私も楽しいです。
「ユーリさん、これはどうですか？」
貴族の衣裳部屋ってすごいね。
子供用でも燕尾服みたいなものから、ラフなシャツと上品なズボンという普段着、乗馬服らしきものに、それから祭典用なのかやたらとごてごてした縦襟の服。デザイン違い、素材違いで、何枚も出てくる。それからマント付きの衣裳まである。両肩マントから、片肩マント。名前なんていうのかな。
眼福。
何を着てもブライス君似合う。
一方キリカちゃんも、何着てもかわいすぎる。
そして、カーツ君はといえば……。まず初めに髪の毛切られて、それから何かで髪の毛撫でつけられて、すっかりいいところのお子様みたいな髪型に変身してる。
うん。将来いい男に成長しそうな少年の出来上がりだ！
騎士の服をまねたようなデザインの服、似合うね。ふふふ。
と、もうなんか自分が何を着せられているのか見ないようにみんなの姿を見て楽しむ。
……。そう。自分の姿は怖くて確認できません。三十路が膝丈のピンクのふわふわスカートのドレスとか……。助けて！
誰か、助けて！
と、ブライス君を見れば、ブライス君が息をのんでいます。
「うわー、ユーリお姉ちゃんお姫様みたいなのよ！素敵なの！」
「キリカちゃんもお姫様みたいよ。ううん、まるでお日様の妖精みたいね」
「妖精？」
キリカちゃんが首を傾げた。
あれ？通じない？
「ユーリさん、まさか、妖精を見たことがあるんですか？」
ブライス君の顔が青い。って、使用人の顔も青い。
え？
やらかした？
「見たことはないけれど、その、故郷で絵を見たことがあって」
ブライス君が明らかにほっとした顔をしている。
「ああ、そうでしたか。そういうことですか……」
って、何？なんで妖精を見ちゃダメなの？こっちの世界の妖精と、日本での妖精と何か、位置づけ違うの？
「なー、ユーリ姉ちゃん、妖精を見たらさらわれるんだろう？ユーリ姉ちゃんが見た絵は、さらわれて戻ってきた人がいて、その人が描いたのか？それとも、見たけどさらわれずに逃げられた人がいたってことか？」
ん？
妖精がさらう？ああ、地球でも確かそんな話があった。気がする。うん。
ふわふわしてかわいい妖精さんのイメージでついキリカちゃんのこと妖精みたいって言っちゃったけど……。
こっちの世界じゃ全然誉め言葉にならないんだね。気をつけよう。
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さぁ、ここで、妖精について調べて驚愕しましたよと。
ゴブリン、君、妖精だったんだね……
ということで、「妖精みたい」って言われたら「ゴブリンみたい」って言われているのと同義
……の、場合もあるので注意です。
……豆知識でした……。
