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「なんか酷いや……」
「酷くない酷くない」
僕は、朝食を済ませるとソファーに座りテレビの電源をつけた。
「真白って、ホントテレビが好きだよね」
「うん」
「テレビなら、何でも見てるよね」
「そうだね。
ドラマにアニメにニュース、暇な時は、ずっとテレビを見ているね」
「前から気になっていたけどなんでなの?」
「テレビが友達なんだ」
「友達?」
「俺、孤児院に行く前さ、姉貴と二人で暮らしていたんだ。
本当の両親の顔は覚えてないんだけど。
姉貴は、仕事で忙しくてさ構ってくれてはいたけど、寂しくてさ……
そんなときはずっとテレビをつけていたんだ。
ひとりの夜もテレビの声を聞いていたら安心するって感じ……
多分、普通の親が子どもに寝る前に子守唄を聞かせるように、僕にとってテレビは子守唄で安心することなんだ」
「そっか……」
「で、姉貴が病気で倒れて、死んじゃってそのまま孤児院。
僕にとって、姉貴は、母親であり父親でありそして立派な姉だった」
「お姉ちゃんが亡くなったから……
そのずっと毎日泣いていたの?」
「そうだね。
あのころの僕は、毎日泣いていたね」