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副官ピレスは重要な情報を持ち帰った
功績をたたえられ、将軍となった。
叙勲さえされた。
モンスターなど存在しないと、
真実を報告した偵察部隊は
全員処刑された。

ピレスは精神的に追い詰められていた。
そもそも、モンスターなどいなかったのだ。
いったいどこから沸いて出てきたのだろうか。
自分の空想が生み出した幻影にも思える。

それに、スライムが怖くて怖くて仕方がない。
木陰に見えるスライムや、ペットのスライムが
ピンクの悪魔の仲間に見える。
あの時のことを考えるだけで、意識が戻る
吐き気が止まらない。

家族もそんな様子を心配しているようだ。
このまま、軍隊など辞めてしまいたい。
殺すのも、殺されるのも嫌だ。
今までは意識していなかったが、
凄惨で、残酷な3000人以上の死を
見せられて、平然としているものはいないだろう。

そんなピレスに ピンク色の悪魔がささやく。
「うぁぁああ。」
そういうと、近隣の住民のペット
青色のスライムから一目散に逃げ出していた。」

「ぴぎー、ぴぐー、ぴぎー。」
将軍ピレスは非常に有名人なようだ。
家はすぐに見つかった。
おれは、ピレスの娘にスラリンを紹介した。

「かゎいぃ~。」
ピレスの娘はスラリンとじゃれ付いている。
「スラ・りん♪」
そんな様子を邸宅の窓から見たピレス将軍は
真っ青な顔で、固まって見ていた。
娘の危機だと思ったのか、大急ぎで駆けつけてきた。

「あなたは、エスタ軍のピレス将軍ですね。」

「ひぃぃいぃ、なんでもします、なんでもしますから
どうか家族には!お助けください、スライム様。」
そう言うと、娘の前でひれ伏して泣き出した。

そして、落ち着いたところで彼の家に入った。
彼の子供がスラリンをなでなですると、
また、顔面蒼白になり、子供を引き剥がした。

「わたくしは この王都の司令官をさせていただいている
あわれな ピレスというものです。」
笑顔のスラリンが動くたびにびくびくしている。
こいつは本当に自分を哀れと思っているのだろう。
ものすごくそれが感じ取れた。

「かの英雄の竜騎士様とはどういうご関係ですか。」
おれはどういう嘘をつこうかと考えていた。

「このあたりには、特殊なスライムが生まれるんだ。
それが害をなさないように捕まえているんだ。
強いからテイムすればボディーガードになるからな。」
おれは適当な嘘を並べた。

「ぉお、竜騎士様はあなた様方の御仲間なのですね。」
ピレスは得心いったようにうなずく。

「竜騎士に蘇生魔法をかけたいんだ。」
そういうとおれは、極竜に吐き出させたやや消化された
竜騎士の頭部を見せた。

「おぉおぇええぇ、」ピレスは竜騎士の頭部と
スラリンの間に視線を往復させると、
いきなり、ゲーゲー ゲロを吐き出した。

「すみません、すみません。」
そこいらの小間使いにしか見えない、
将軍閣下はおとなしくお願いを聞いてくれた。

それは、国葬だった。
帝国兵の大半はモンスターに襲われたとき
混乱の極みにあり、誰が竜騎士を殺したかなど
遥か上空であったこともあり、知らなかった。

ただ、エスカ帝国のために命をかけて
奮戦したことを称えているのだ。

ピレス将軍は高らかに群集に叫び、呼びかけた。
「ここに勇者がいた。いや今もいる。彼は
われらがエスタの民80万の軍勢が全滅の危機に
瀕した時、強大な竜に乗り、やってきた救い手だ。」

「聖なる山から降りてこられた、大賢者様が
勇者様を復活させる。」
その言葉と同時に白魔道士は蘇生魔法をかけた。

ゆっくりとそよ風にそよぐように、魔法のカーテンが
竜騎士の体を包み、そして復活した。

「ぉおー、奇跡だ。奇跡が起きた。」
「勇者様と大賢者様に神の祝福を!」
群集は興奮の極致であった。

「ぶち殺してやる。」
TPOをわきまえない馬鹿は、生きていることを理解すると
憤懣やるせない様子で、俺に飛び掛ってきた。
だが、重戦士と格闘家が無理やり押さえ込んだ。

ピレス将軍が、竜騎士が復活した直後で、
混乱していると群集に伝え、俺らは城に入った。

「お前は 俺に殺されて、復讐するために殺そうとしているのか。」
そうおれは問うた。

竜騎士は言っていることの意味と意義がわかったらしく
おとなしく黙り込んだ。俺はやめなかった、
「セレスティアの人々は犯されて、殺されて、蹂躙されている。
今のお前が取ろうとした行為をしているだけだ。少なくともな、」

竜騎士は言い返すことができずにいた。
「しかもだ、お前は殺された意趣返しに俺を殺そうとした。」
「セレスティアの人々は殺された復讐ではなく、
これ以上、殺されないために戦っている。さて言うことはあるか。」

そういうと竜騎士はぽつりと言った。
「ない。」
これでこいつも、俺が人を殺しても絡んでは来ないだろう。
もちろん俺も、「正義の味方」を自称し、「正義の味方」を自認している。
だが悪をなす人間に、ガンジーのように非暴力では生きる気はない。
もちろんこの世界の人間は俺を殺すなど不可能だ。
「殺すやつは殺される覚悟が必要、殺すから殺されるのだ。」
当然、俺のやっていることは理不尽だ。
そんなことはわかっている。

そう言ってやると、竜騎士のやつは槍を俺につきたてた。
重戦士と格闘家の油断もあり、おれは死んだ。

直後に俺が白魔道士に復活させてもらうと。やつはこういった。
「どうだ殺されるのは痛いだろう。」
「ドラキチにやられた俺はもっと痛いんだ。」
そういうとやつは

「おれは、エスタ帝国と共に行く。」
、露原は去っていった。

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