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「おぉ、かわいいな。ピンク色のスライムだぜ。」
「娘の土産にちょうどいいな。」

「ぴぎー!」
なんだ、人懐っこいな。
そう言って隣の兵士を見ると、顔が半分に割れていた。
「あれ?」、腹部を見ると大穴が開いている。
その兵士は、そのまま絶命した。

総合値80億のスライムは 通常存在しない領域、
常識の外だ。少なくとも千軍万馬に匹敵する。
エスタ帝国の精鋭は統率を失い、逃げ惑った。
初級の火炎魔法は信じられない広範囲を焼き尽くし、
スライムの体当たりは、山の木々を数十本単位で
根こそぎなぎ倒す。
2998人がミンチやグリルにされた。

逃げたのは将軍と副官だけだ。
逃げたと言うより、スラリンが逃がすように
命令されていただけだ。
必死に馬を走らせながら、ピレスは考えていた。

スライム1匹に全滅。
そのまま報告すれば、確実に敵前逃亡で極刑だ。
道中ピレスは将軍を殺害した。
王都に戻るとピレスは、司令官の元に報告に行った。

司令官は驚きのあまり声を失っていた。
「全滅だと。。。地方領主の軍勢がそれほど強かったのか。」
副官ピレスは真実を告げれば、最低でも死刑、
そもそも、スライム1匹に敗北など、帝国の恥以前に
信用してもらえない。

「かの都市には、強力な魔物がおり、その数約100万
奮戦するも将軍が戦死、この情報を持ち帰らねば、
帝国の存亡にかかわると考え、生き恥をしのんで
帰ってまいりました。
この命をもって償わせていただきたい。」
心ではそんなことまったく思っていないが、
そういう理由でないと納得しないだろうし、
ピレスが生き残る方法は無い。

「ふざっけるなぁ!」
竜騎士、露原イツキは 御門を殴打していた。

「いつからお前は、死刑執行人になったんだ?」
「軍隊といえ人だぞ、人が人を殺していいものか。」

この馬鹿は、消防士らしい発言をしやがる。
俺はこいつを説得するのは無理だと理解した。
なので殴られるままだ。

ほかの面々も、スラリンの作った生き地獄の痕を
見せられたときは言葉を失っていた。

竜騎士が 殴りつかれたのか 出て行くと、
俺はほかのメンバーに相談された。

「騙せたとしても一時的じゃないか?
エスタ帝国だって馬鹿じゃないんだ、調査するだろ。」

それは問題ない、おれは言い切った。
確かに一度に引き連れていける召喚対象の数は5体だ。

「それはコントロールできると言う意味であって、
テイムしたペットをリリースして野性に帰せば、
召喚枠は5にもどる。
郊外で試したが、10体以上召喚できた。」

「野性に戻すのが前提なので、
1万体呼び出しても、野生のモンスターが
1万体いるのと同じだ。
当然、無抵抗な一般人を襲うし、
退治しなければいけないだろう。」

「1回に召喚できる数は 5体
1万体のサモンには2000回かかる。
どうやら、ゲージに収納したペットは数に含まれない。
しかし、召喚物はペットではないので
ゲージ収納できない。
当然、2000回召喚する必要がある。」

この世界はデータで構成されているため
データである召喚物が、時間の経過で消えることはない。

逃がした将軍と副官も、「スライム一匹に敗北しました。」
などと報告するほどあほではないはずだ。
そんなことをしたらスライム相手に兵士を皆殺し、
見殺しにして全滅し、指揮官だけ逃げてかえったと言うことだ。
笑いものにされた挙句、拷問されて死刑だろう。

もちろん、9人で敵軍を全滅させれば早いのだが、
おれはともかく、全員、「正義の味方だ。」と言う意識だ。
野蛮な軍隊であっても、人間を一方的に皆殺しにするなどできない。
少なくとも竜騎士は、そんなことを言えば、怒り狂うだろう。
実際、この間のスラリンの行動に竜騎士は、おかんむりだ。

エスカ帝国は、明らかに「悪」なのだが。
かの帝国が、魔王軍やアンデット、モンスターならどんなに
良かっただろうか。
召喚するといっても、善なる存在ではまったく意味がないだろう。
生かしたまま撤退させるのだ。思いっきり、ビビッてもらわないといけない。
軍隊を殺して、竜騎士と殺し合いなどしたくない。
ある程度見た目のおぞましい、悪っぽいやつではならない。
そもそも召喚物は迷惑にならないように、
後で殺すのだ。スライムのようにかわいくて弱いなど論外だ。

エスタ帝国は俺たちが考えていたより早く行動にでた。
密偵が街を見たが、平和そのものだった。
ピレスは、ラグーサに魔王軍がいなければ、
尋問され、拷問された後、殺される予定だった。

おれは、竜騎士のやつがなにかの偵察だと言わんばかりに
エスタの軍80万の前にあらわれて、

巨大な極竜の咆哮で、脅している間に
せっせと、ゲームの中にいたレベルアップよろしく
30秒で4体召喚し、5日間召喚を続け、5万近い
悪魔やアンデットのある程度上位の種族を召喚した。

とうぜん、コントロールできないので、
森の奥、木をみんなで切り倒し、
できたスペースに押し込んでいた。だが、しかし
竜騎士のやつの予想ははずれ、エスタ軍は進撃してきた

おれは、森で火事を起こし、モンスターの大群を
エスタ軍に差し向け、ぶつけることに成功した。
俺の召喚したモンスターはレベル50~60、
それが5万、レベル1から最大でも7程度の人間
80万など一瞬で溶けるだろう。
するとなんと、竜騎士がエスカ軍を守るべく、
召喚したモンスターを倒しまくっているではないか。

「グッギギ ガガ」
ドラキチは苦しそうにうめくと、口を大きく開けた。

その瞬間、極竜は竜騎士を食らった。
首から上がない竜騎士の体は地面に落下し
無残に晒された。
単独で上空にいたため、油断したのだろう
不意打ちだったため、あっさりとしたものだった。
極竜が竜騎士の乗り物ではなく
おれのペットだと言うことが完全に意識から抜け落ちていたようだ。
総合値99億の極竜は俺の命令に素直に従った。一撃だ。

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