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35話 キプロス星の日常 城島瑠偉 その1


 飛行機ごと宇宙に漂流し、名前も無い見知らぬ惑星からのテレーポト、そして地球以外の人間との出会い、激変した環境に置かれ数日、瑠偉はベットに横たわり眠りにつくのを待っていた。

(…はぁ、寝れない)

 横を見ると美憂が寝ている、その隣に麻衣かなり離れてバカ(兼次)がうつ伏せで寝ていた。
 腰に巻いているロープを外しベットから降りトイレへ向かう、そこには変わらず男性用の立便器が鎮座していた。

(…鬱だ男子用トイレでするとか、麻衣や美憂はどうしてるんだろう? バカ(兼次)が居ないときに聞いてみるかな)

 トイレから戻りベットの横でロープを拾い上げバカ(兼次)を見る、ロープの先はきちんとベルトに繋がっている。

(…朝になると外れてるからもう意味ないですね、明日から無しにしましょう)

 ロープを腰に回しベットに仰向けになる、目を閉じたがなかなか寝付けないので目を開け右を見る、美憂越しに大きな丘が2つあるのが見える。

(…っく、うっざ、麻衣また大きくなったんじゃない? )

 上半身を起こし、右手の人差し指で麻衣の胸を突く、この程度では起きないことを知っているので遠慮なく触る。今度が指を開き手に収まりきらない膨らみ感触を確かめる

(…やわらい、ふかふかだ・・・はぁぁ、美憂の胸で自信を取り戻しましょう)

 そのまま右手を美憂の胸に置く、美憂もこの程度では起きないのは知っている。

(…ふう、この絶壁は安らぐわぁ、むむ! えぇぇ? )

 すばやく左手を出し両手で美憂の胸の感触を確かめる、両手に微妙な膨らみが感じられた。

(…そ、育ってるだとぉ! この前触った時より確実に大きくなっている。
 このままでは私を超えてしまうのでは? )

 私は右手を美憂の胸に置いたまま、左手で自分の胸の感触を確かめる。

(…うぅ~ん・・・まだ大丈夫だ、よし寝よう)

 仰向けになり目を閉じる、が美憂の胸の成長が気になってなかなか眠りに付けなかった。

(…寝れない、疲れすぎているのかな?
 バカ(兼次)の言っていた温泉に行ってみようかな、体を温めて寝ればすぐ寝れるはずです)

 ………
 ……
 …


 激しくベットが上下に大きく揺れている感覚で目覚める、美憂の左手が私の肩を揺する。
 美憂が上半身を起こして麻衣と私を交互に見ながら叫んでいた。

「地震だぁー、起きろー」
「美憂、大丈夫です昨日と同じです」

 頭だけ起こしテーブルを見るとバカ(兼次)を見ると椅子に座って腕組をしながらこちらを見ていた。

(…ったく朝からイライラさせますね)

 私は胸を腕クロスで隠しながら上半身を起こしバカ(兼次)を睨みつけた。

「昨日言いましたよね? やめてと」
「お前らが早く起きないからだぞ?」

 私は2~3時間前に寝付いたばかりなのに本当にイラつきますね。

「ふぁあ、お…は…よう」

 麻衣が上半身を起こした、右を見ると麻衣の大きな胸が上下に激しく揺れていた。

(…うあぁぁ、揺れすぎでしょ隠しなさいよ麻衣、バカ(兼次)はそれが目的なんだから)

 ベットの上下の揺れが止まる、それと同時にベットから降り寝不足の重い感覚の体を前に進めせる、テーブルを見てと思わず声が出てしまった。

「か…カレー、朝なのに…」
「いやー、昨日テナさんと香辛料を選別してブレンドしてみたのだけれど、結構上手くいったよ。さらに仕込んで寝かせてあるから、おいしいよ」

 美憂と麻衣はすでに食べ始めている、バカ(兼次)はすでに食べ終えたようだった。

(…なんで誰も突っ込まないの? 朝にカレーだよ? スポーツ少女はイチロー理論なの? )

 椅子に座りカレー皿を見と野菜しか入っていないカレーがそこにある、が地球では見たことない野菜が入っているのが見えた、スプーンを取り入っている具材を丹念に観察する。

(…なんだろうこの野菜、赤いナス? 緑っぽいジャガイモ風の物体、色が・・・)

「野菜カレーですか…なんか見たことない野菜が入ってますが大丈夫ですよね?」

 一応念を押して聞いてみた、ここの住人は大丈夫でも私達(地球人)には毒かもしれませんしね。

「お肉は無いんだって、でも野菜だけでも意外といい味が出てたんだよ、隠し味はキノコをすり潰して入れてるんだ」

 美憂は嬉しそうに私を見て話しかけてきた。

(…美憂、話が噛み合ってません。まぁいいですか、皆食べてるし毒は無いでしょう。
 しかし美憂、料理の才能は意外ですね、高校の弁当はもしや? )

「ねえ美憂、高校の時の弁当って自分で作っていたの?」
「うん作ってたよ、アスリートは食事が基本だからね、朝食と一緒に作るんだ」

(…そう美憂、料理ができると・・・
 長身に長い脚のうえ引き締まった体に整った顔立ち、さらに性格はいい。
 これに料理上手が加わるのか、絶壁でなければかなりモテたはずですね)

 スプーンでカレーらしき物のをすくう、鼻の近くでカレーのような臭いがした。
 口に含むとカレーのような見た目でカレーじゃない味がする。

「おいしいです。でもカレーじゃない、何かが足りない気がする」
「ターメリックが無かったんだ、今探してもらってるから。今度は完璧なものができるよ」
「そ、そうですか」

(…ターメリック無しでこのレベル、限りなくカレーに近い? いや何となくハヤシライスに近いかな)

 美憂が笑顔で私を見ている。

「オリンピックで金メダル取って名前売ってお店開くのが夢なんだぁ」

(…美憂よ、オリンピックは売名の大会じゃないんだよ? )

「戻ったら学校に復帰できるといいですね、色々問題が残ってますが…」
「大丈夫だよ瑠偉、何とかなる」

 と美憂は何時もと変わらぬ笑顔を私に見せた、前を見ると麻衣が笑顔でカレーを食べていた。

(…随分肌艶がいいですね、ほんと何処でも寝れる子はいいですね。
 しかし、何か不自然です違和感を感じます、いつもと違う気がします)

「ねえ麻衣、なにかいい事でもありましたか? いつもと雰囲気が違いますが」
「そ、そうかな? いつも通りだよ?」

 麻衣を見ていると発言と同時に眼球が左右に少し動いたのを見逃さなかった。

(…嘘だな、やはり何かありますね。ん~なんだろう? )

 視線を感じるとバカ(兼次)が私をみていたので、目線だけで返した。

「何見てるんですか、ペン刺しますよ?」
「3日目か? イライラしてるぞ」

 バカ(兼次)のセクハラ発言、イラついているのは単なる寝不足です。まぁ、その程度も分からないから独身なのでしょう。

「次セクハラ発言したら寝ている時にあれを潰します」
「わ、わかったよ言わねーよ、今日はな…」

 そう言い終えるとバカ(兼次)の視線は麻衣の胸を確認しにいった。

(…ほんと、露骨に行動してますね、昔の人間は自分の欲望に正直ですね・・・
 クラスの草食系男子どもも見習ってほしいです、もう会えないでしょうが・・・)

 皆食べ終え無言でくつろいでいる、そんな時にテナ=シエルが入ってきた。

(…本当に絶妙のタイミングで入ってきますね。やっぱり監視してるんでしょうか・・・)

「城島様、佐久間様、準備が整いました。参りましょう」

 さて、今日も鬱な一日が始まりますね。

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