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27話 それぞれの役割


 テナの案内で薄暗い部屋に案内された、その部屋は椅子が横一列に11個並んでいる、部屋の中央で止まったテナは「適当な場所におかけください」と言いそのまま並んでいる椅子の端まで移動した。

 俺は真ん中の椅子に座り、2脚離して瑠偉・美憂・麻衣の順で座った。
 なぜ2つ開けるんだよと言いたかったが、舌戦で負けるので止めることにする。

 テナは並んだ椅子の端から話し始めた。

「地球と思われる惑星のピックアップが完了致しましたので報告いたします。
 地球の位置が銀河の中心から約2万8千光年とお聞きしたので、1万年光年を誤差とし1万8千から3万8千光年で範囲を絞りました。

 その範囲の中で地球に類似している惑星は6890個あります、惑星の映像を1個ずつ出していきますので外見で判断してください、一つ表示したら次の惑星を表示するまでに5分の時間を頂きます。

 仮に6890個全て見られると約575時間かかります。
 それでは始めますね」

「待ってください」と瑠偉は慌てた声で言った。
「なんでしょう?」

「575時間も連続で見るんですか?」
「えっ無理ですか?」とテナは無表情で答える。

「さすがに無理だな、休憩・食事・睡眠をはさんで1日10時間120個ほどにしてくれないか? あとは瑠偉が一人で確認するから。
 それと報酬とやらの話し相手に美憂を貸し出す、その間俺はワームホールの情報を頂きたい、試したいからな」

 瑠偉と美憂はそんな話聞いてないよ的な顔を俺に向けた。

「そうでしたね、睡眠と食事が必要でした。では織田様の案にしましょう」
「ちょっと!」

 瑠偉は眉間にしわを寄せ俺を見る、目つきがかなり怒っている。
 俺は、君しかいない頼りにしているぞなど言って押し切った、部屋に戻った時に何か言われそうなのが怖いが・・・

「役割分担といこうぜ美憂、初対面の人と友達になるの得意だろ?」
「わかった」と美憂は素直でいい子だな。

「で、私は何をするのかな?」と麻衣は笑顔で俺に聞いてきた。
「ちと、見てもらいたい。一人じゃできない事をしたいしな」

 よし瑠偉と美憂を上手い事引きはがせた、まずは麻衣を攻略してその大きな胸を頂くとしよう。

「少しニヤつきましたね・・・麻衣、襲われないようにね?」

 瑠偉は俺を見ながら麻衣に警告し、麻衣はうんと頷いた。

「リヴァララ、返答を」

 テナが何もない部屋の中央に向かって突然話しかけた。

『お呼びでしょうか? マスター・テナ=シエル』

 リヴァララと言われた人の音程の無い機械的な声が部屋全体に響き渡る。

「城島様が惑星の確認を行いますので、後は城島様の指示で進めて行ってください」
『了解しました、マスター・テナ=シエル。
 それでは城島様、これから5分ごとに惑星を表示していきますので地球が出てきたら教えてください』

「ところでテナよ、リヴァララってなに?」

 俺はいきなり出てきたその人物について聞いてみた。

「この惑星を管理している、人工知能です」
「なんか普通に会話しているのだが、自我が在ったりするのか?」

 俺は機械に支配された人間を描いた映画を思い出しつつ聞いてみた。

「ええ、ありますよ。仲良くやっていますので問題は出ていませんので大丈夫ですよ」

 テナは大丈夫と言ってるがまさか支配されてないよな?

『城島様、始めさせて頂きます』

 機械的な音声の後に部屋の中央に半透明な巨大なスクリーンが出現し、そこに全てが青い星が映し出された。

「全部海かな? いやメタンの大気だな、まぁ地球じゃないな、さすがに俺でもわかるぞ」

 俺はそう言うと瑠偉が俺を見て、だったらお前がやれとか言いそうな目つきをしてきた。

「じ…じゃあ、頼んだぞ瑠偉。この件は君に任せた!」
「わかりました…その代わりきちんと地球に戻してくださいね?」

「当然だ、35億の愛しき女性陣が俺を待ってるんでな」

 なんだろう瑠偉の表情は、冗談の通じない子だな・・・

「それでは、佐久間様、出雲様、織田様は別室に案内します」

 テナは部屋の出口に向かって歩いて行った、俺達も後を追う。テナに連れられ最初に俺達が面会したに部屋に到着した、部屋の中央に来ると振り返えって俺に向かって歩いてきた。

「失礼します」

 テナはそう言うと俺の両肩を両手で掴み額をくっつけてきた、背丈は俺の方が高いのでどうなっていると思い下を見るとテナの足は浮いていた。

 テナの額が冷たい、とても生きている生命体とは思えないが変温動物なのか? ここは背中に手を回して抱きしめればいいのか? それとも愛撫を始めればいいのか? などと考えているとテナが言った

「それでは情報を流します」

 何とも言えない感覚が俺の頭を襲う、気絶する寸前のような何も考えていない状態か、なんか全身も浮いたような感覚があるな。

「終わりました、あとはワームホールの作り方を考える事を数回繰り返せば記憶として定着します」

 テナが美憂から日本語の情報を読むときは長かったがこれは結構短かったな。

「ところで、俺たちの脳の構造はいつ調べたのだ?」

 俺はふと疑問に思ったので聞いてみた。

「最初の佐久間様から構造を調査しました、でないと言語は読み出せませんから」

 そういう事か、なるほど…まぁ、会話するのに必要ならあまり突っ込んだ質問はやめておこう、テナの機嫌を損ないとも限らないし。
 俺はワームホールの作り方を思い浮かべると、何となく理解していた。

「不思議な感覚だな」
「エネルギーの方は大丈夫そうですか?」

「いや、わかんないな、少し試してから考える」
「大丈夫なの? 帰れるの?」

 麻衣は心配そうに俺に問いかけてきたが、なんとかする、とだけ言っておいた。

「では、美憂を置いておくから気軽に接してくれ。
 俺は外に出て惑星を見て回りたいのだが大丈夫か?」
「いいですよ、その代わり監視は付けますが」

「大丈夫だ、問題ない」

 監視は上手い事まくか、あまり見られたくない事をしたいしな。

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