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「どうして?」
「水谷さんは、女の子だからわからないかも知れないけど……
あいつの真似ばかりしていると、嫁の貰い手が居なくなるよ?」
「それは、困ります」
「でしょ?
瞳みたいに、筋肉少女になってしまうから真似しちゃダメだよ」
「誰が、筋肉少女ですって?」
その声の方に振り向くと足を構えている瞳の姿が、僕の瞳に映った。
「とりゃ!」
そして、その足は僕のみぞおちに見事に命中した。
「うぐぅ」
僕は思わずその場にうずくまった。
「乙女の純情を汚すな!」
「酷い。
酷い……よ……」
「アンタの方が、何倍も酷い!」
「どこが……?」
「乙女に筋肉なんて言うな!」