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私は、走った。
一生懸命走った。
由香を隠せる場所。
そこは、私は知っている。
絶対にママにばれない場所を知っている。
テレビでやってた。
あの場所なら……
そこは……
それは……
私は、駅に向かって走った。
家から駅まで結構な距離がある。
だから、私はヘトヘトになった。
そして、私はコインロッカーに由香を隠した。
「由香……
バイバイ……
鍵はかけないからドアも開けておくから……
いい人に見つかってね」
由香は、今眠っている。
カギは、かけない。
カギをかけてしまえば、警察の人が助けるのが遅れるかもしれない。
そしたら、由香は多分死ぬ。
だから、私は、ロッカーに鍵をかけない。
「由香……
優しい人に拾われてね……」
私は、走った。
家に向かって走った。
家に変えると、ママは武さんは、裸で抱き合っている。
私は、2人に気付かれないように自分の部屋に戻った。
私は、布団の中に潜り覚悟を決めた。
私も逃げればよかったのかもしれない。
だけど、もしかしたら、ママは、私を助けてくれるかもしれない。
そんな淡い希望が、私の胸の中にあった。