バナー画像 お気に入り登録 応援する

文字の大きさ

01

 ――大阪高校・屋上

「君たちに選択肢をあげる」

 少年がそう呟く。

「ああん?」

 ガラの悪そうな高校生がその少年をにらみつける。

「僕に撃たれて死ぬか……
 それとも飛び降りて死ぬか……
 どっちがいい?」

「んなもん、どっちも嫌に決まっているだろう?」

 別の高校生がそういった。

「こんなことをしなければよかったのに……」

 少年がそういうと高校生たちがケラケラと笑う。

「知っているのか?
 コイツの父親は人殺しなんだぜ?
 母親は風俗で、あぶらっこいおっさんの相手しているんだ。
 こんなヤツ生きている価値ないんだよ!」

 そういってつばを吐く。

「この子はこの子、父親は父親でしょ?」

 少年の言葉に高校生たちがイラつく。

「一緒だよ!
 犯罪者の子どもも犯罪者なんだよ!
 そんな遺伝子残しちゃいけないんだよ!」

「そっか」

 少年は頷く。

「ああ。わかったら消えろ。
 見なかったことにしてやる」

 高校生たちがそういった。

「でも、どうするの?」

「なにがだ?」

「下で潰れたトマトのようになっているその子……
 確実に生きてないよ?」

 少年の言葉に高校生たちが笑う。

「ああん?言ったろ?
 犯罪者の遺伝子は残しちゃいけねぇ。
 俺たちはその遺伝子を潰した。
 つまり讃えられても咎められることはねぇ!!」

「答えは出たね」

 少年が小さく笑う。

「ようこそこちら側へ……」

 少年は、そういうと屋上から飛び降りた。
 するとその下から大きな人型ロボットが少年を腕に乗せるとそのまま飛び去った。

しおり