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ボクが気づいたとき。
そこは、薄暗い部屋にいた。
「あ、目を覚ましましたか?」
綺麗な女の人が、ボクの顔を覗き込んでいる。
「貴方は?」
「光狩(ひかがり) いずみ」
「光狩さん?」
「いずみでいいですよ」
いずみが、そういって優しく笑う。
「あ、いずみさん。
ここは。どこですか?」
「ここはテオスの館よ」
「テオス!?」
テオス。
神を名乗る組織。
人類の敵。
「そう人類の敵です」
「僕をどうするつもりですか?」
「なにもしないわ」
いずみが、そういってボクにマグカップを渡す。
マグカップには暖かいミルクが入っていた。
「でも、僕を倒せば経験値が沢山入るんですよ?」
「そうね。
でも、私たちは貴方を保護するの」
「保護って?」
「し……
モトフミが戻ってくる。
またね。今度は必ず助けるから……」
いずみは、そういってボクの肩に優しくてを当てた。
「誰じゃ?」
フィサフィーが、そういって部屋に入ってくる。
それと同時に明かりがつく。
「私です」
「なんじゃ、いずみか……」
フィサフィーが、少し安心した表情を浮かべた。
「はい」
フィサフィーは、ボクの手元にあるマグカップに視線を向ける。
「ボクよ、それは美味しいか?」
「あ、はい」
「それはよかった」
フィサフィーが笑う。
そして、言葉を続ける。
「いずみよ、少しボクと話がある。
席を外してもらえんかのう?」
「はい」
いずみは、小さくうなずくと部屋を出た。