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第6話ー自宅ー

城をいきなり飛び出したが、今は夜だ。
1晩宿に泊まって、明日家を貰いに行こう。

城の近くの宿屋に宿泊する。1人部屋で1泊金貨2枚だ。日本円にして幾らかは分からないが、ビジネスホテル並の設備だ、都心の方だと2万円位の設備だな。
という事は、金貨1枚1万という計算になる。


そして、現地での硬貨の言い方なのか、ウニケ、ラトバ、カハ。と言う言葉が聞こえたが?


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ウニケ、金貨。
金の含有率は様々で、近年は品質が劣化してして来ている。
これも貴族連中の仕業かと思われるが、真意はわからない。

ラトバ、小銀貨。4枚で銀貨と同等の価値を持つ。
これも品質が劣悪になって来ている。これはもうひどい。

カハ、銀貨。12枚で金貨と同等の価値を持つ。
品質が劣悪になっている。以前と比べて、軽くなった。貨幣が変わった時はもっと重かったのになあ……

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えぇと、てことは。金貨、銀貨、小金貨の順で価値が下がって行くらしい。
金貨が1枚1万円だと考えると、銀貨は833円辺りか?で、小銀貨は208円だと。
特に問題も無く宿が取れたな。
文字も日本語で通じたし、本当に意味がわからない。ここは異世界ではないのか?

城で貰った書類には不動産屋への紹介状と資金は国持ちということが記されている。
費用の心配をしなくて良いのだ。1番高い家でも買おうか。

物件情報を【閲覧】する。この能力でネットショッピングは出来ないが、インターネットのように調べごとにはもってこいだな。

うわ、この物件、学校サイズじゃん。一人暮らしだと扱いきれないな。
4階建て。築21年。39LDK。何でこんなの売ってるんだよ。貴族がこぞって買うだろう?
誰だこんな走り書き書いた奴。3年近く売れて無いじゃないか。物件の維持費が酷いことになってんぞ。

良い物件が見つかった。
築5年。2階建て。6LDK。地下室、屋根裏あり。

1人暮らしにしては大きすぎる気もするが、他の物件はあり得ないくらい部屋数が多いか、一部屋一部屋が広過ぎる。他にも手頃な部屋だが、内装が豪華過ぎるのもあった。
この物件の住所は……第3階層南クラフト通り突き当たり1
あぁ、意味がわからない。

まず、第3階層ってなんだ?

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第3階層
都市の第3階層に位置する場所。森林エリアと居住エリアが存在する。
居住すれば、森林エリアのアイテム採取が可能になる。

森林エリア
森を人工的に作り出した場。様々な生物が居る。
3階層と4階層にある。
居住エリア。人間が住居を構えるエリア。
1階層、2階層、3階層にある。

1階層の時価が最も高く、別荘地である3階層が次に高い。
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うん。この都市は二次的な都市ではなく、地下に伸びて居るのを忘れていたよ。
しかし、森の中か。いい環境そうだな。別荘を持つの夢だったんだ。
南クラフト通りは?

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南クラフト通り
都市の中心にあるエレベーターから南に伸びる大通り。
多くの職人たちがこの地帯に店を構えて居る。
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別荘地地帯に職人って。普通そういうのって、物流を考えると都会に出すんじゃないの?
あれか。その人の物を求めて、人の方が来てしまう方か。それなりの腕が無ければ食っていけないな。

いい家が見つかったな。これで明日見に行って、ここに住めば良いか。
今日はもう寝よう。いろんなことがあり過ぎた。
まず、こっちの世界に飛ばされ、勇者は誰だゲームが始まり。逃げ出した。

あれ、そんなにないな。まあ良いや。

おやすみなさい。


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はい。おはようございます。
ただ今、真夜中でございます。助けてください。
【職業】アサシンのハミさんと、オカヌさんって人が窓の外と天井裏に居るんですよ。
能力によって、敵の能力は分かるけど、弱点とかわからないからなー
武力なんて物は僕は持っていない。
能力でなんとかならない?


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【ハミの日記】
9月18日
今日も妻に仕事の内容が言えなかった……。流石に不味い。
妻は冒険者だと思い込んで居る様だが……夜中に家を出かけるのを不審に思って居る様だ。
これは真実を伝えるべきか?
伝えたら、妻に怖がられるな。しかも知ったら危険が付き纏うしな。
言っても言わなくても危険が付き纏うが……

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ハミさんの弱み見つけましたわ。奥さんに職業のこと言えてないんですね。
さて、どうしようか。この事を言ってもどうしようもなさそうだし……
取り敢えず、布団から出て臨戦態勢を取っておこう。
武器も何も無いが、雷魔法が僕にはある。
雷の初級魔法……えぇと、雷属性の素養がある者が必ず放てる魔法。だと体力が20持ってかれるだけなんだよなぁ。常人でも500回食らわなきゃ死なない。
ほんと弱いよな、これ。他の魔法の方が効率が良いんじゃ無いか?

できない物は仕方ないか。

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いくら待っても、仕掛けてこないまま、夜が明けた。
寝不足だが仕方ない。朝食後にチェックアウトしよう。
僕が泊まったのは2食付きの宿屋で、昨晩はパンとクリームシチューだった。
パン単体だとパサパサしていて食べずらかったが、クリームシチューにつける事で美味しくいただけた。
朝食は……サンドウィッチか。中身は、ハム、キャベツ、チーズ。至って普通だな。
料金は泊まる時に支払ったのでそのまま宿を出る。

不動産屋は第1階層中央サンシ通り2ー3か。
地図によるとかなり城に近い所だな。それだけ儲かっているのか。

不動産屋に到着した。
3階建のコンクリート造りのビルだ。異世界だからコンクリート造りのビルがあるなんて想像していなかったが、そういえば先に泊まったホテルもそんな感じだったなぁ。

中に入ると爽やかな青年が挨拶をして来た。
「いらっしゃいませ。本日はどの様な物件をお探しで?」
ゲームのNPCの会話を思い浮かべてしまった。これがマニュアル通りなんだろう。
「築5年。2階建て。6LDK。地下室、屋根裏あり。の物件を3階層で探しているのだが……」

ピンポイントで言った。他に良い物件が見当たらなかったのだ。仕方ない。

「お客さん、貴方は誰です?その情報をどこで手に入れました?」
うはぁ、警戒心を強められちゃったよ。
「王から紹介状を貰ってきた。これじゃダメか?」
紹介状を出す。
紹介状を読み、警戒心が無くなったのか先の青年はヘコヘコしだした。
「先のご無礼をお許しください。王の友人様だとは知らずに申し訳ございませんでした」
おい、そんな事書いたのかよあの王。王の友人て、昨日初対面だぞ。
「そんな事はどうでもいい。早く物件をくれ」
せっかちだと思う。けど、早く休みたいのだ。
「内覧に行きましょうか。しばしお待ちください」
椅子に座り、10数分待った。
「お待たせしました。それでは行きましょう」
ファイルやら鍵の束を持ち青年が出てきた。
「本日は一軒のみの内覧となられますか?他の物件もご覧になりますか?」
他の物件に興味がない旨を伝える。
「そうですか。しかし、よくあの小さい物件のご購入を検討されましたね。あの物件、貴族様方には小さすぎて売れず、平民には料金が高すぎて売れず。建てたは良いものの、誰もご購入されず、困っていたんですよ」
ほう、そうなのか。という事は新築なのか。良いね。

それからは不動産会社とたわいもない会話が続いた。
そして内覧も終わり、今日からここに住む事となった。

「その他の書類はこちらにお任せください。支払いは王様に御一括払い。家具は…どうなさいます?私の所で今、ご購入されると20%引きで購入でき、かつ本日お届けいたしますが?」
家具の事を忘れていた。というか即日お届けって密林さんかな?
取り敢えず、布団があればいいだろう。
布団はいくらか尋ねると。
「すみません。布団はございません。ベッドならありますけど……」
布団は無いのか。まぁ、合わないしな。全部屋フローリングだし。
「じゃぁ、ベッドで」
「シングルだと、1ウニケ11カハ3ラトバですが?それでよろしいでしょうか?」
計算するのがめんどくさいが、2万円以下だろう。大丈夫だ。

財布から金貨2枚を出す。
「ありがとうございます。本日中にお持ちいたしますね。他に何かご用件は?」
「無い」
「わかりました。今後ともご贔屓に。それでは私はこれにて失礼します」
青年が出て行った。今日からここが我が居城だ。

現在は昼を少し回ったあたりか。地下だというのに、人工的に作られた空に浮かぶ太陽からの日差しを受けた木々の緑が眩しい。
遠くからリズムよくカーン、カーンと鉄を打ちつける音も聞こえる。
ハミさん達は未だに付いてきているが、何も仕掛けて来ないようだ。
近くの人達に挨拶回りをした方がいいか?あ、粗品がない。
粗品を買いに行こうにも近くにデパートが無い。コンビニも無い。商業施設は第1階層に集まっているのだ。買いに行くのは明日にしよう。
武器も買った方がいいな。ハミさん達がいつ仕掛けて来るか分からない以上、護身用の武器は必要だ。
しかし、やることが無くなったぞ。
普段から1日2食の生活だったので、食事の必要もない。
買い物は明日行く。財布の残金は金貨46枚だ。食事だけなら3日で金貨1枚だろう。
なら、138日生きていける。
しかし、ここで生活して行くのだから、職は必要だ。

あの不動産屋の青年にハローワークの場所は聞いてある。
今の服装はヨレヨレのシワシワだが一応制服だ。問題はなかろう。

善は急げだ早速ハロワへ行こうではないか。

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