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第3章の第107話 どうしようもない問題34 答えモーター2


★彡
【『月見エビバーガ―オーロラソース社』Tsukimi Shrimp Burger Aorora Sauce Company(ツキミ シュリンプ バーガー オーロラ ソース カンパニー)』】
【ボイラーマンに詰め寄る品質管理のおばさん達】
【建築物CADの伏線図、各種取得免許により、その制限を受け、触れるところと触れないところがある法令順守】
――それは、ヨーシキワーカが菓子パンラインの廊下前を通りがかった時だった。
オオコウチさんの奥様が、同じく品質管理の女性陣を引き連れて、そのボイラーマンさんに、詰め寄った話だった。
『……』
【オオコウチ・メリッサミント】
珍しい緑毛の髪(ミントグリーン)が生えていて、灰色の瞳(ライトグレー)に、白人男性特有の白い肌。
いつも、ツキミエビバーガーオーロラソース社の制服を着こなし、頭巾とマスクをしている為、その素顔を知っている人は、意外と少ない。
この会社の中での美人さんランキングは、5位。
『月見エビバーガ―オーロラソース社』で働く傍ら、品質管理の偉い立ち位置についている。
総務課の旦那さんを持っている人。
モーターの安売り買いを初め、各ラインの色々なものを安く叩き売っている有名人。
――彼女は、ボイラーマンさんに対して、こう唾棄する。
『――あっちの向こうの会社の人は、その『適合規格』じゃなくても、それを取りつけることができていたらしいわよ!?
何でそれができないのかって、こっちは今、あんたにそれを聞いてんのよ!?
ただ、そこに合わせればいいだけの簡単な話じゃないでしょうがッ!?』
『……ッ』
そんな簡単な話じゃないんだ。
で、また別の娘が。
『その寸法をこっちの方で合わせればさー!』
で、またオオコウチの奥様が。
『それができないぐらいなら、あんた、もうここを辞めて、どこへなりとも行ってもいいんじゃないの!?
そこまでお高い給料を、もう、こっちの方から何も無理してまで出さなくてもさー!?』
『……ッッ』
何という罵詈雑言ものだった事だろうか。
彼女達は寄ってたかって、たった1人しかいないボイラーマンさんに、そう詰めよったものだ。
ボイラーマンは、ボイラーを取り扱う人であって、電気とかモーターとは、無縁の方である。
それでもこの人は、この会社のために人事を尽くそうとしてくれていて、日夜懸命に働いていたようなものなんだ。
これには、たまらずその人も、悔し顔を浮かべ、その頭を抱え込み、何も言い出さなかった。
『まだ、あんたなんかをそのお高い給料で雇うよりも、
まだ、学校から出てきた子のように、(建築物関係の伏線図の)3DCADが扱える優秀な人を雇った方が、まだこの会社のためにもなるわ!』
それから、人事派遣という目論見だった。
結果は知らないし、わからない。
『まだ、その子にあなたが持っているボイラー免許を1つ持たせちゃったりしてね!
こんな事すら、この中で黙々と長年働いているあんた達は知らないだろうけど、うち等は知ってるのよ!
あたし達、女性同士を繋ぐ強力で凶悪な、外に張り巡らされたアンテナを使ってね!
どうやら、あの学校から出てきた子の中で、その優秀な能力を持っていた子はどうやら、その子たった1人しかいなくて、
どこかの会社さんも、何だかその子を手放したようなのよね!? 聞けば、その時から優秀な子さんだったようだけど……。
ここまでその子を面倒を見てて、育ててきたようだけれども、
お給料の面でも、その時、入ってきた入社当初の時期は、低かったもんだからしら!? それが気に入らなかったわけね。
まぁ、あの学校の恐い先生も、何やら愚痴っていたようだけども……』
『……』
『まぁ、その後どうやら、あたし等が知らなかっただけで、、先にどこかの会社の人に、いい値で引き抜かれちゃったみたいね!?
ここから出す分よりは、まだ幾らかは安い賃金で……フンッ!』
『……』
『まぁ、いいわ。その後からでも、こっちの方から、まだお高い金をいくらか積めば、その子もそれぐらいでいいって納得しちゃって、
こっちの方に、その頭を下げてまで、着てくれちゃうでしょうね!?
幾らかそれぐらいでいいって、こっちから引き抜きも、『容易』にできちゃうでしょうね!?』
『……ッ』
(いったい、誰の事を言っているんだ……!? まさか、人の安く叩き売りか!?)
『フンッ、精々そこで、ない頭を振り絞ってまで、良ーく考えておきなさい!
どっちに転んだ方が、この会社のために、その今後の経営方針のために尽くせるのかをね!?』
『……』
これには、ボイラーマンさんも何も言えなかったものだった。
『……』
その時、、ヨーシキワーカ(俺)は、その様子を見ていて、こう思ったものだ。
(いや……馬鹿だろお前等……!?
その人の正体を知っているのか? その人はな、この会社の『創立記メンバーの御人』なんだぞ!?
しかも、ここには、ボイラーマンが1人しかいないし……。
仮にもしも、この会社の工場長が、その重い腰を上げれば――お前等、もう終わりなんだぞ!?』
『……あら? 何かよう?』
『いえ』
『フンッ!』
ヨーシキワーカと目があったのは、品質管理の女だった。
ここでは、俺は、下に見られていたんだ。
(それに、知らないのか!?
建築物関係の伏線図CADにもいろいろとあって、水道、電気、ガスに加え、消防法まで関わってくるんだぞ!?
土地建物等の複数の緑図の伏線図なんだぞ!? それ、わかってて言ってんのか!?
その水道なら1つだけでしか、ほとんど記入されていないんだぞ!?
一応、電気もガスも、その伏線図には書き足されているけどさ……。
全般は、すべては書き足されていなんだぞ!? それ、知ってて言ってるんだよね? あんた達は!?
水道、危険物、ボイラー、電気、消防、ガス……上げれば上げるだけ切りがないんだぞ!?
どんなに多くても、人は、2つ3つ持っていれば、いい方なんだぞ!? それだけ持っていれば上出来なんだ!!
完璧を求め過ぎなんだよ、お前等は!!)


☆彡
過去から現在に返り、エメラルティさんは、こう語る。
「――ってな事が会っていたそうよ。
この建築物関係の伏線図が、ちょっとした尾を引いていてね……。
当時の伏線図は、企業内に在庫としては残っていても、
工事関係者の人達が、書き足す伏線図は、『限定された職種の伏線図』であって、その『元の上から書き足されていった』ものなのよ!?
それが、10回以上も度重なっていけば、『その途中でどうなるか』!?」
これには、アユミちゃんが、スバル君が、アヤネさんが、ミノルさんが、
「あ……」
「あ……」
「もしかして……」
「そーゆう事か……」
事の真相に気づき出していき、
エメラルティさんは、こう言うのだった。
「そう、同じものの上に、上書き保存という形で、書き足されていったものではなくて、
途中で、分岐されていったような伏線図として、場に残りやすい。
要は、そうした『抜け落ち』が生じていくものよ!?
それを読み解いていくような、読解力がある人は、残念ながら、その企業にはいなかったわ……。
その企業は、自分で自分の首を絞めていったものよ。
安売り買いという商売(あこぎ)の手法が、思わぬ弊害を残すことも、時には、起こり得るんだからね!?」
「……」
これには、僕達、あたし達、私達は、何も言えず。
エメラルティさんは、こうも語るのだった。
「問題の取り組み方は、こうしたものよ?
ちょっと言っただけで、ちょっと聞いただけで、わかればそいつは、『優秀』と……!
そうやって周りには、ちょっとそいつには言うだけで、言える言葉の『制限』をかけていく。それはちょっと少ないぐらいの物言いだった……と聞くわ。
本人がそこで気づけば、そこでその事を言った当事者は、こう思ってしまう。
あぁ、これは、あの人が言っていた、あの学校の先生達が行っていた『問題』なんだなぁ……と!?」
これには、アユミちゃんが、スバル君が、アヤネさんが、ミノルさんが。
「優秀……」
「制限……」
「ちょっと少ないぐらいの物言い……」
「問題……」
さらに王女様が、シャルロットさんが、Lちゃんが。
「余計な事になり兼ねんぞ……それは!? それが数か月単位や、年単位も続けば……」
「どこがどうなっていったのかわからず、混乱の素でしかありませんよ……」
「できる人は、1人もいないって……」
エメラルティさんは、こう語る。
「そこには、実に様々な『負の側面』が付きものなのよ?
電話などで取り次いで周り、言った、としても、よくはわからないものよ?
外注工事を請け負っていた仕事先へ行っていたり。
商談の場で、話し合い中だったり、
休みの日であったりする場合もある。
また、他の誰かさんに話せば、大丈夫だろうと……する人達さえいる。
すぐに対応して、動けない状況下である場合もあるのだしね!」
「……」
「また、それを聞いていた人がいて、他の誰かさん伝いに話しても、その当事者本人の耳まで、届いていたのかどうかでさえ、わからないものよ!?
それは伝言ゲームのやり取りに似ていて、
言った言葉が段々と、抜け落ちたり、後から付け加えられたりして、変貌していくキライがある……のだから、
当然、できる人とできない人に分かれていき、
『抜け落ち』が……『永遠とそのままである場合(ケース)』もあるものよ?」
「……」
永遠の抜け落ちのケース。
最悪だ。
「例えば、どこかの伏線図を書き起こす会社がありました。
そこで、とある問題事が持ち込まれて、
その伏線図のデータに、不正の『抜け落ち』改ざんが生じました。
さあ、それに気がつくかどうかです。
ですが、請け負っていた職種は、実に多岐に渡り、1日に外注工事に出かけていた人が、2人一組で、実に6組以上と会った場合、
どうなるでしょうか!?
ハッキングの不正改ざんソフトウェアにより、もみ消し改ざんが生じた場合は!?
当然相手側は、そのマウス1機だけではなく、他多数のマウスも、同じようにして不正改ざんをして、合わせて周りますので、
どれが、元あったデータかはわからなくなります。
さあ、この会社は、どうなったでしょうか!?」
これには、アユミちゃんも、ミノルさんも。
「……潰れるよね? それ?」
「……いや、多分だが……、その問題を受けていた当事者がいて、標的にされていた場合、その子1人のせいにして、周りに取り次いで周り、
そーゆう風にして、仕立て上げる事もできるんじゃないのか?」
それを聞き、アユミちゃんを推しても。
「あ……そっか……!?」
そこへ、アヤネさんが、こう言ってきて、
「もちろん、周りの人達や、各企業間には、そーゆう風にして、印象付ける事だってできるわね。問題という体で」
それを聞いたスバル君を推しても。
「とんでもない話だ……」
それに対して、エメラルティさんは、こう切り返すのだった。
「……そうよ。みんな!」
「……」
「潰れるのは、その標的や、会社だけじゃなくて、その業務を請け負った取引先の会社との信用問題にも関わってくるから、
その抜け落ち1つで、いやそれ以上で、
そのハッキングができる人達の、さらに『裏』から『攻撃できる』事も考えられるからね!?
第三者を介してのハッキングによる『飛び乗り攻撃』ね!
それによって、他の会社間にも、同様の被害が相次いで、生じていっちゃうものよ!?」
「……」
「数年は、なんともなくても……。それが10年近く相前後したら、どうなっていくか……!?
その問題が、突然、牙を向いてくるわけよ?
矛先は、何もわからずに、潰れていくいくつもの会社。
いわゆる、あの中がどうなっているのかわからない、『謎会議』と呼ばれている由縁よ!」
「謎会議……」
「とんでもねぇ……」
「つまり、そうした責任話も持てないから、誰か1人のせいに仕向けて周って、多重債務者に陥り易いものよ?
『複数の人員的要因による取り次ぎ回し』だったのにね!?
で、その煽りを受けた人がいて、ヨーシキワーカさんだった訳。
でもね、よくよく考えてみたら、箱洗いの中だけで、働いていただけであって、
彼には、そんな能力はない。
さらに、言わせていただければ、そうした商談の場に、居合わせていないのだから、
彼は、除外とされていく事になる。
よって、本件は、自然とその商談の場に居合わせていた複数人たちに絞られてきちゃうわけよ? ……クスッ」


★彡
【『月見エビバーガ―オーロラソース社』Tsukimi Shrimp Burger Aorora Sauce Company(ツキミ シュリンプ バーガー オーロラ ソース カンパニー)』】
【仲介業者の卸売業、安物買いの銭失い……】
――それは、オオコウチさんの奥様の一言から始まるものだった。
『――あんた達、見えるー!? あっちの方に見える部屋の中』

【オオコウチ・メリッサミント】
珍しい緑毛の髪(ミントグリーン)が生えていて、灰色の瞳(ライトグレー)に、白人男性特有の白い肌。
いつも、ツキミエビバーガーオーロラソース社の制服を着こなし、頭巾とマスクをしている為、その素顔を知っている人は、意外と少ない。
この会社の中での美人さんランキングは、5位。
『月見エビバーガ―オーロラソース社』で働く傍ら、品質管理の偉い立ち位置についている。
総務課の旦那さんを持っている人。
モーターの安売り買いを初め、各ラインの色々なものを安く叩き売っている有名人。

『!?』
業者さん達2人は、その奥様へ促されて、壁際の廊下へその視線を向けるのだった
その先にあったのは、そう、総務課だった。
『あそこにはね! ここの会社の会計を預かっている偉(えら~)い人達がいて、その中の1人に、あたしの主人がいるのよ!?』
これには、ギョッ、と驚き得る商談に来た2人。
『……ッ!?』『……えっ!?』
これには、若い方の卸売り業者の人も。
(その人の所の奥さんが、何だって、こんな場に着ているんだ!?)
そのオオコウチさんの奥様は、こう自慢気に上機嫌に語るものだった。
旦那様の権力を振りかざして。
『その中でも、結構、とても偉いぐらいの地位についている人なんだからね!?
その人に何だって頼めば、ここに来てもらったあなた達2人の商談の件を、無かった事にしてもらえるんだからね!?
さあ、どうするの!? こっちはその値段まで、この交渉の値段をそこまで落としなさいって、こっちは言ってんのよ!?
別にこっちはしなくてもいいんだからね!? さあ、どうするの!? このままオメオメと帰ってもいいのよ!?』
だが、これには、その先輩を推しても。
(そうか! 奥さんを介した、懐柔の手だな!?)

――そして、その頃、その総務課の人は、事務仕事をしていて、エアディスプレイと睨み合いっこしていたのだった。
『――……』
【オオコウチ・トウガミント】
珍しい緑毛の髪(ミントグリーン)が生えていて、灰色の瞳(ライトグレー)に、白人男性特有の白い肌。
『月見エビバーガ―オーロラソース社』で働く傍ら、総務課の偉い立ち位置についている。
気に入らない社員がいれば、その総務課の権限を職権乱用し、1万円差し引いていた実行犯でもある。
労働基準法の法律を守らない人。
ここ、ツキミエビバーガー社でも、5位の美しさを持つ、品質管理の奥さんを持っている人。
なお、結婚前は2位だった。
領収書、紛失事件に大きく関与している人。
――そして、もう1人、怪しい人物がいたのだった。
(どうやって、あの企業の株取引を落とすために、売り上げ利益を落ち込ませてやろうか!?
まぁ、狙うなら、新参者の上場企業辺りだな……何も知らないから……フフフ。
まぁ、下の者の土地から安く叩き売っていけばいいか? 順調に、毒巡りの問題で……。
どうせ、国の旗本の力には逆らえないだろうからな!? クククッ)

――でその頃、ヨーシキワーカはというと、弁当と醤油ラーメンを食べていました。
ここから、その商談をしている人達までの距離は、おおよそ約5、6mほどだった。
ズズーーッ、と麺をすすって食べていた。
(う~ん……予定通りに進まないな……。また、1人辞めてしまったしな……。ハァ……どうしたらいいんだろう? ……味噌が食べたい)
そんな仕事の話を考えていて、味噌ラーメンが恋しくなっていた……という。
何てしょうもない……。

――で、その場にいたのは、製造事務所の人、総務課の人、品質管理の奥様に加え、商談に着ていた卸売業者の2人だったんだ。
そこへ男性の人が。
『オイッ、どうすんだ!? このまま何もせずに帰っていいのか!?』
『せったく遠路はるばる来たってのに、このまま何もできずにスゴスゴと帰っていいの!?』
『何かそうした手土産の1つぐらい持って帰った方が、向こうの会社のもんも喜ばられるんじゃないのか!?』
『ちょっちょっと待ってください! 今、会社の上司の方に伺いますから!』
その卸売業者の若い人が、その動きをしようとしたところで、ストップがかかるのだった。
だが、何も悪い事ではない。むしろ、正解である。
勝手にそんな事は、決めてはいけないのだ。
『オイッ、お前1人で何も決め切れないのか!? そこまでしか能力がないのかお前はよぉ!?』
『そんなのこっちとしても、勝手に決め切れませんよ!! 今、会社の方に掛け合っていますので、ちょっと待ってください!』
その若い卸売業の考え方は、とてもまともな人だった。
そう、かってに自己判断で決めてはいけないのだ。その権限を預かるのはあくまで、上の役職の者の責任業務範囲である。
ここの月見エビバーガーオーロラソース社の者達は、それを知っていても、わかっていても、
そうした立場の低いものを、無理矢理にでも責めかかってくるキライがあるのだった。
『オイッ、こいつから、それだけを取っとけ!!』
『あっ! 何するんですか!? ちょっと待ってくださいよ!』
その言動や行為に嫌がる、若い卸売業の者がいたのだった。

――その頃、ヨーシキワーカはというと、昼飯を食べている最中だった。
パクパク、モグモグ
と良く噛んで、細かくしてから、喉にそれを通すのだった。
腹が減っては戦ができず、この仕事もままならないからだ。

――で、その商談に着ていた若い男の1人は、そこから離れていったのだった。
バタバタ、と走る音を立てて、
バンッ、とドアを開けて、そこから逃げ出していったのだった。
この行為を見て、ここの社員たちは。
『あっ待って!! それを置いていけ!!』
『ハァ……やっぱり、こんなところにきて、耐え切れずに逃げ出しやがったか……。案外と速かったもんだな……まだ、そうした見込みがある!』
『……』
その言動や行為を称賛する卸売業の先輩がいたのだった。
……だが、目論見通りに上手くいなかったここの社員は。
『……それは違うんじゃないのか!?』
と意見してきたものだった。
それに対して、卸売業の先輩は、こう異議を唱えるものだった。
『何でだ!? 危なくなる前に、まだあーして逃げ出した方が、案外と賢い生き方なんだぞ!? ここに黙って突っ立っている、こんな俺なんかとは違ってな!』
『……』
両者の見解は、大きく違っていた。
正論は、やはり、卸売業の先輩だろう。
……だが、目論見通りに上手くいきそうにない、ここの社員たちは、こう異議を唱えてきた。
『いや、それは違うな。断じて!』
『……』
(なるほど、そうやって、捻じ曲げてくるわけか……!? まだ、あいつがそうした見込みがあるほうだ……)
フッ、と笑ってしまう卸売業の先輩がいたのだった。
そんな俺に対して、お前達は、こう異議を唱えてきたな。
『あんただけは、まだ見込みがある方みたいだけど。あっちの逃げていった人なんかとは違ってね!』
(なるほど、そうやって、俺をおだてる狙いか……。……だが、ここでの仕事上、あいつを譲歩する必要があるな!)
そう、俺達は、ここには仕事をしにきているんだ。
『フッ……。あいつはまだ入ってから日が浅く、1週間も経ってないからな。……日が浅いんだ』
(1週間……ッ!?)
それじゃ幾らなんでも、無理がある……ッ。
『あぁ、それでか……』
『それじゃ逃げ出しちゃってもしょうがないか……』
『脅かしすぎちゃったわね……』
(ウソも方便だな)
そう、睨む卸売業者の方がいたのだった。
『この世界の事を深く知らされてないんだよ……! そこまで明るくないやつだからな』
『関係者か……!?』
『イヤァ……。何も、俺もそこまで深くは何も知らされていない。
ただ、現場をよく見て回って、そうした学習と経験を経て、1つ1つずつ物事を学んでいっているだけだ』
『いったい幾らぐらいあるの?』
『そんなの聞いて何になるってんだ?』
『『どうしようもない問題(借金の返済の盗り立て計画』)に手伝ってやらんでもないぞ!?』
『考えてやろうか?』
『……』
これには、商談に着ていた人も。
『いったいいくらぐらいで、その値段で引いてくれるんだ?
俺は、そのどうしようもない問題(特殊集団詐欺事件)に、関わりたくないからな!?
ここで、真面目に仕事をして、そうした信頼の元、日銭を稼いで暮らしていければ、それで充分なんだ!
悪どい商売元が暴露されれば、今の生活だって、困窮し、いよいよもって、首が回らなくなるからな!?
それだけは避けたい!
今まで育ててくれたうちの親や、
妻との間でできた、子供を養っていくためにも、面倒をかけられないんだ!?』
この言葉を聴いた、この会社の人達を推しても。
『……』
『……考えてきたわね……』
『……意外と賢いな……』
素直に、そう、感服してしまう。製造事務所の人、総務課の人、品質管理の奥様。
『いや、そうでもないさ!』
『!?』
『この世界をよく見て回っていると、どこも同じもんで、そうした黒い深い闇が、どこまでも広がっていたもんだ!』
『どこまでも……!?』
『ああ』
『……』
『……で、いくらぐらいで、引き下がってくれるんだ!?』
『……』
その商談の値段は、明らかになっていない――
守秘義務により、どこの卸売業者さんが何を卸していたのかは、それは、こちらかではわからないからだ。
――仮にもしも、箱洗いのモーターならば、
安さ優先であれば
・日立三機システム 足取付 全閉外扇屋内型 4P ザ・モートルNeo100 Premium
出力0.75kw
電源三相交流
電圧200V
極数4P
周波数50/60
取付方式足取付
ブレーキの有無なし
使用環境全閉外扇屋内型
品番TFO-LK4P 0.75kw
モーターの適正値段、モノタロウで30690円(233米ドル)
――作業効率優先であれば、
・三菱 高性能省エネモーター スーパーラインプレミアムシリーズ SFーPR型
出力0.75kw
電源三相交流
電圧200V
極数4P
周波数50/60
取付方式足取付
ブレーキ有無なし
種類汎用モーター
使用環境記載なし
外被構造全閉外扇屋内形
品番SF-PR-4P-0.75kw-200V
モーターの適正値段、モノタロウで51590円(391米ドル)
――清音設計優先であれば、
・東芝 プレミアムゴールドモートル
出力1.5kw
電源三相交流
電圧200V
極数6P
周波数50/60
取付方式足取付
ブレーキ有無なし
使用環境屋内
型式全閉外扇型
種類汎用モーター
品番IKH3-FBKA21E-6-1.5kw200V
モーターの適正値段、モノタロウで86790円(658米ドル)となる。
この中でも、特に重要になってくるのは、年間出力kwhであり、極数の4P(フォーポール)と6P(シックスポール)だ。
これは、コイルの巻いてある塊(ポール)を現わし、1サイクル運動で表している。
簡単な例では、2ポールは1回転。4ポールは2分の1回転。6ポールは3分の1の回転だ。
これが、1分間の60サイクルの場合は、60秒掛ける60秒で3600回転となるから、
2ポールは3600回転。
4ポールは1800回転。
6ポールは1200回転以上の磁界運動を起こす。……だが、厳密には数%ほど回転運動が少なるのが実情なのだ。
これをスベリという。
一般的に、2Pは回転数が高く馬力が必要となるところで使われる。4Pは回転数が平均的で仕事向き。6Pは回転数が低く清音向きとなっている。
一般的に、2P4Pは高速機、6Pは低速機と呼ばれているんだ。
つまり、作業効率優先で取るならば4Pであり、なるべく静かなところで作業をしたいのであれば6Pとなるわけだ。
さあ、この会社の人事部は、いったいどっちを取るのだろうか?
安さか? 作業効率か? それとも静音か?
(――まぁ、ここでの商談の場が、あの人の言うように、モーターとは限らんのだがな。フゥ……やれやれ……)
『……あいつが、ここに戻ってくる前に、この話をして、済ませておきたい』
『……話?』
『オイオイ、こっちは協力してやらんでもないぞ!?』
『御冗談を! こっちは長年卸売り業者にお世話になっている身で、そこまで迷惑にあやかれないんだ。
そうした信頼関係の元の仕事関係(ビジネス)だからな!
だから、ここに入ってこないでくれ、頼むから!』
『……』
『……話とは?』
『あぁ、あんたは、まだ、話ができる方だな! 何もそこまで小難しい話じゃあない!
そこ等ちゅうの街中や、あの遠くの地方まで、何でだか、電話口からあんた達の声がしていたらしいんだが!?』
『……何のこと?』
『……さぁな?』
『どこでそんな事あってたんだよ!? こっちの方からその文句の1つ言ってやらんでもないぞ!?』
ニヤニヤ
と笑うゲス共。
『最近、小耳に挟んだ話じゃ、『20社』か『80社』ぐらい、また仲間周りに誘い込んで入れていたらしいな!?
そこら中迷惑がってとぞ!?
何でそーゆう事ができっとや!?
ここみたいな『工場』を辞めた人がたくさんいて、何でそんな問題みたいなことが起きて、何で平然としてられっとや!?』
『フン、ここ最近じゃ20社ぐらいと少なかったな』
『前年度比のいいやつと比べればな!』
それを聞き、卸売り業者の先輩を推しても。
『……やっぱりか……。
あの問題がどこまでも広がっていて、
こうした問題事が、度重なる度にどうしようもないほど暴走し、暴徒化していっている話は、あながちウソなんかじゃなく、
あれは真実のホントの話だったんだな!? 何てことだ……ッ!!』
『……』
『……あの、そこまで落ち込まないないまでも!?』
『そこまで気にしないでください!?』
『気にしないでください? 気にしないでくださいだと!?』
『えっ……!?』
『バカにしてっとやお前達は!! あのコンピューターウィルスの事も知らないとや!? そこら中、どこまでも国に広がっていってとぞ!!』
『コンピューターウィルス……?』
『オイオイ、いったい何なんだ事なんだ?』
『ハァ……やっぱりか……』
卸売業者の先輩(俺)は大いに頭を痛めてしまう。
こいつ等は、ホントにものを知らん。
何だってそんな奴等が、非正規雇用よりも、上の立ち位置なんかについているんだ。
『どう説明していいのか、こっちとしても、よぅわからん……』
『……?』
『この国まで飛び出していて、どこの国までも広がっていってる……あの噂はやっぱりホントだっただな!?
……売地や死人まで出しているって話は!?
そうした国元の旗印の傘下まで入っているという――』

――その頃、ヨーシキワーカはというと、ズズッ、とお茶を飲んでいた。
『フゥ……』
と落ち着きを得る。

――で、その卸売業の先輩の人が。
『向こうのアメリカ合衆国エネルギー省が、この一件の問題に関わっていたというのは、あながち誇張でもなんでもなかったという事か……!?』
『アメリカのエネルギー省!?』
『オイオイ、何だって、そんな所が出てくっとや!?』
『バカにしてとやっ!? お前!?』
『ハァ……さっきまでの勢いは良かったと言うのにね……!?』
『……』
『……』
その昔の会社の者と、卸売業者の先輩との間で、疑い深い視線が交わされるものだった。
その卸売業者の先輩は。
『ハァ……世界政府、その政治圧力の外交上の圧力問題というやつさ……!?
お前等に、こんな事言ってみても、良くはわからないだろうが……。
この世界経済貿易の水準の裏には、いくつかの目論見があって、とんだカラクリの目が潜んでいるんだよ!?
こんな話、あんた達に話しても、いったい何の話だかは、よくはわかんないものだろうが……』
『……』
『……』
だが、ここで、昔の会社の人から、まともな意見で、棄却されるものだった。
『……あんた、さっきから、いったい何言ってんの!?』
『……その頭、おかしいんじゃない!?』
それは、憐みの声だったと聞く。
これには、この場に1人残った卸売り業者の先輩を推しても、
『……へ?』
とマヌケな呟きを得るものだったと聞く。
で、ここの会社の人達は、次々と相槌の声を打つものだった。
『ああ……』
『そうだな……』
『その途中までは、良かったんだけどねぇ……』
『クソッ、やっぱこれでもダメかぁ……!?
あの人ほど、あそこにそれを途中から書き出して、あれは上手く口に出して言えんしなぁ……!? どがんして言えばいいとやコレ……!?』
そこには、辛辣ものの卸売業者の先輩の姿があったという。
口に出して言う場合、人は決して、上手く物事を言えないものだ。
それが、世の中の道理だ。

――それから、さっき逃げていった人も呼び戻されていて、その先輩の方と一緒に、商談の話を請け負いしていた。
正直、辛い立場だったと思う。
『こちらからも、いい値回しになれるように、
うち等が知っている、知り合い関係の周りの会社間にも掛け合って回れる!
そちらの会社さんの卸売業さん達の周りを介したものであっても、こことは専属の卸売業の締結の話を結んだ後なのですから、
そちらに取っても今後、いい商談にもなれるよう、
こちらからも、前もって裏から働きかけることもできない事も、なさそうなんだしね!?
で今、周りは、あなた達の勤めている会社と同じようなところがたくさんあって、
そちらの企業にとっても、優位性なものが何1つないようなところなんだしね……!?
ねっ! 決して悪いばかりの話じゃなかとでしょ!?』
『……ッ』
『……耐えろ、耐えるんだ……今は黙ってな』
『? 先輩……!?』
『……』
『後は、あの人が、この時代のあの人が、あそこにそれを書き出してくれる。
それであれば、いくらかは誰かが、後で救われていく事だろう』
『……そうですね』
サイは投げられた。
(これは、AとBの捨取選択なんだ……!!)
ちなみに、さっきの話がAで、今から話すのがBだ。
『今回の話の商談は、そもそもなかった事になって、
うちの方からちょっと物言いを言って、それをここにいて聞いていた、この子達からの連絡先などを伝って、
それを周りの会社間にも伝えて周って、今後のあなた達2人の取引が、より一層、難しくなっていく事でしょうしね!?』
それがBだ。
Aのいい話に乗るか? Bの悪い噂に脅されて乗るか? 選ぶのはお前だ。
だが、そうした中で信頼得つつ、商談をするなら、さっき言った俺の言葉が、ヒントだ。
ABのどちらでもなく、新たに設けたCを選ぶんだ。
安売りで済ませて、穏便に済ませ、荒波を立てない。
事が過ぎるのを待つんだ。こことは喧嘩を売ってはいけない。
『……さあ、どうされるんですか!?
どちらを取っても、こちらとしては全然構いませんし、
後になって、そうした言動の翻って、そうした足取りなどを追ってきたとしても、
こちらとしても何の事だかは決してわかりませんから、
そうした証拠なんかも、今までに、洗い出されてなんかおりませんしね……!?』
『フッ……』
『こちらとしても、いったい何の事だか決してわからず
そちらの方から、どんなに泣きついてきたとしても、その首を垂れてきてみても、助けられない訳なんですよ!?』
『……フフッ、さあ、どうされるんですかァ!?
こちらとしても今後は、ここまで、わざわざ来て下さったあなた達2人と、良好な関係を築けていけるんじゃないかと、
私達一同、誠心誠意、そう心に思っているんですけども……ねェ!?』
製造事務所の人、総務課の人、品質管理の奥さん声が、入れ替わり入れ替わりで発言していくのだった。
『……ッ』
『……クッ、ここに書けばいいんだな?』
『ええ、その通りです』
『はい、この社用サインペンを使ってください』
『……』
それを受け取るのだった。
『さあ、あなたも』
コトッ
とその紙の上に、社用サインペンが置かれたのだった。
それに畏怖・恐怖し、慟哭を覚えつつも胸の内に秘め、発声を控えるのだった。
押し寄せるは、ここに来たことに後悔し、震撼し、戦慄する思いだった。
――サインを認めていく。
背後には、黒塗りの人達が控えていて、嘲笑うかのように怪しげな笑みを浮かべていた。
『こっこんな事初めてですよ!』
『ああ……』
『前言った会社には、そもそもこんな事は書かれてなかったですよ……!? 何で『名前以外にもこんなに求められる』んですか!?』
『……それが、問題作りの伏線なんだからだ!』
『……ッ』
これには、その後ろにいた取り巻き達も。
『伏線!?』
『何言ってんだこいつ!?』
と驚いたものだった。
『ただのここに商談に着た人達のじゃないの!?』
『おかしかぞこいつ等!?』
『……ッ』
そこへ、この昔の会社に勤める男性の方が、こう意見をしてきて。
『それは、あんた達が、その向こうに行った時の会社の話なんだろ!?』
で、別の男性が、こう言ってきて。
『こっちにはこっちの事情があって、『昔からのしきたり』みたいなものが、そもそもあるんだよ!? こっちには!!』
これには、さすがにまいったかの如く、その卸売業者の2人は。
『ッ』
『し……信じられない……!? ……こ、こんなに書かせられるだなんて!? なっ何で、『名前』や『住所など』も書かせられるんですか!?
そっそれにこれ!? 自分等の『個人用携帯電話番号』も記載書きがあるじゃないですか!?』
いったい何に使われて、利用されるんですか!?
『……フッ』
(任務完了だ)


☆彡
【商談詐欺】
【モーターを安く叩いてしまったために、その値段まで費用を抑えるしかなく、必要な部品である、逆ネジが使われていなかった】
――過去から現在に返り、エメラルティさんは、こう語る。
「――わかる? その着てくれた業者の方々は、始めはこう言ったのよ!
いや、それはこちらとしてもダメだと!
うちの会社はその提携している電気工事会社とやり取りしていて、特別にその値段で卸してもらっているのだと!
それが商談による信頼上の提携話よ!」
「……」
それが商談における提携話だ。
「でもね、あそこにいた人達ときたら……。
じゃあ、後でこちらから、その業者さんに物言いを言って、そのやり方だけを教わればいいと!
そう、強く見栄を切ったのよ!」
「……」
時に、その見栄はロクな事にならない。
「つまり、本来の流れであれば、紹介、電気工事会社の手配となるところを――
あの奥様たちの独断専行により、紹介、昔の会社、お抱えの電気工事会社となってしまった……ッッ!!
その電気工事会社同士のやり取りを経て、機密情報の動きが、『特務情報』が『社外部秘』となり、周りに漏れてしまったわけよ!
それは、会社としては、秘匿保持しなければならない情報を、『守秘義務』が護れず、『秘匿情報』の『流出』といっても、差し支えないわけよ!」
「どーゆう事!?」
「3つで分けると……それが良くわかるわ。
1つは、モーターの製造会社の大元!
1つは、それを取りつけるための電気工事会社!
1つは、商談に着て下さった某卸売業のその2人ね!
その値段で、卸すことが決めている以上、どっちかが損を請け負わないといけないわけよ! ……どうなると思う?」
「えーと……電気工事会社を別の電気工事会社の人達が請け負うのだから、明らかにマイナスだよね……」
「そうねぇ。まぁ、答えだけを先に言ってしまえば、その3つともマイナスになって、その負担が行くのは、決まって下の方なのよ!」
「えええええ!!! そうだったの!?」
「ハァ……実はそーゆう造りになってるのよ……。
しかも、その奥様は、言葉巧みにそうなるだろうと予め打算していて、
Aを取るか? それともBを取るか? その人達に問いかけたそうなの。
Aを取れば、
『こちらからも、いい値回しになれるように』
『うち等が知っている、知り合い関係の周りの会社間にも掛け合って回れる』
『そちらの会社さんの卸売業さん達の周りを介したものであっても、こことは専属の卸売業の締結の話を結んだ後なのですから』
『そちらに取っても今後、いい商談にもなれるよう』
『こちらからも、前もって裏から働きかけることもできない事もなさそうなんだしね!?』
『で今、周りは、あなた達の勤めている会社と同じようなところがたくさんあって』
『そちらの企業にとっても、優位性なものが何1つないようなところなんだしね……!?』
『ねっ! 決して悪いばかりの話じゃなかとでしょ!?』
Bを取れば、
『今回の話の商談はそもそもなかった事になって』
『うちの方からちょっと物言いを言って、それをここにいて聞いていた、この子達からの連絡先などを伝って』
『それを周りの会社間にも伝えて周って、今後のあなた達2人の取引が、より一層、難しくなっていく事でしょうしね!?』
――と、そして。
『……さあ、どうされるんですか!?』
『どちらを取っても、こちらとしては全然構いませんし』
『後になって、そうした言動の翻って、そうした足取りなどを追ってきたとしても』
『こちらとしても何の事だかは決してわかりませんから』
『そうした証拠なんかも、今までに、洗い出されてなんかおりませんしね……!?』
『こちらとしても、いったい何の事だか決してわからず』
『そちらの方から、どんなに泣きついてきたとしても、その首を垂れてきてみても、助けられないわけなんですよ!?』
『……フフッ、さあ、どうされるんですかァ!?』
『こちらとしても今後は、ここまで、わざわざ来て下さったあなた達2人と、良好な関係を築けていけるんじゃないかと』
『――私達一同、誠心誠意、そう心に思っているんですけども……ねェ!?』
そのエメラルティさんの言葉を聴いた僕たちは、震撼し、戦慄する思いだったんだ。
「なっ!?」
「加えて、その2人に対し、ある紙にサインを求めた事があったそうよ!?」
その時、聞こえたのは、こんなものだった……。
『こんな事初めてですよ』
『ああ……』
『前言った会社には、そもそもこんな事は書かれてなかったですよ……!? 何で『名前以外にもこんなに求めらる』んですか!?』
――って。そこへ、別の男性の方が。
『それは、あんた達が、その向こうに行った時の会社の話なんだろ!?』
で、また別の。
『こっちにはこっちの事情があって、『昔からのしきたり』みたいなものが、そもそもあるんだよ!? こっちには!!』
――これには、さすがにまいったかの如く、その卸売業者の2人は。
『し……信じられない……!? ……こ、こんなに書かせられるだなんて!? なっ何で、『名前』や『住所など』も書かせられるんですか!?
そっそれにこれ!? 自分等の『個人用携帯電話番号』も記載書きがあるじゃないですか!?』
――ってね」
「え……」
「え……」
「え……」
「え……」
えっ……
ミノルさんがアヤネさんが、
スバル君がアユミちゃんが、
シャルロットさんがアンドロメダ王女様がLちゃんが。
そして、その廊下のどこかで、コッソリとその聞く耳を立てて、その話を聴いていた他の誰かが、
間の抜けたその声が、その空間に静かに浸透していくのだった……。
エメラルティさん(彼女)は、こう語り部を続ける。
「『個人情報』の『控え』を取ったって理由(わけ)よ! さっき話したドクターイリヤマ達の話とも、通じるものがあるでしょ!?」
「……」
――ここで、その2つの話が『関連』LINK(リンク)してしまうのだった。
エメラルティさん(彼女)は、こう語る。
「――後日、その商談に着て下さったその卸売業の人達に『限らないかもしれない』んだけども……。
その付近にあった喫煙室などの人の話を聴いたり、1階下の情報屋にも聞いたら、
自分等の給料水準にコッソリと後で充てられたものらしいわ……。
その個人情報の控えを、周りの他の人達に流す等してね……。
顔の見えないTV電話を介した詐欺電話は、実はここにも起因していた……のかもしれないわ。
ここ近年の『詐欺犯罪の増加件数の裏』には、その『個人情報の流出』があっていたって経緯(わけ)よ! わかる? これはそうした恐い話よ?」
これには、アユミちゃんが、スバル君が、ミノルさんが、アヤネさんが、
「詐欺じゃん……」
「商談詐欺……」
「オイオイ……マジか……!?」
「ちょっとそんな事って……ありぃ~!?」
と思い想いに、そう口を零すものだった。
で、シャルロットさんが。
「こっ……これはホントにいい話ですねぇ……王女様……!?」
「うっ……うむ……! 今後、大層、タメになる話じゃわ……」
(戦慄をッッッ拭い切れんわ……!! ホントにその者も大したものじゃわ!!)
わらわは、胸脇苦満(きょうきょうくまん)ものじゃったわ……。
良くぞ、その者は、ここまで記してくれてたものじゃわ。実に天晴れ。
「今後、こう言った事があってもいいように、こちら側も、何らかの対処方法を講じていきましょうか!?」
「異論なしじゃ!」
――そして、ここで一拍の間を置き、「………………」彼女、エメラルティさんは、こうも綴るのだった。
「――フッ、向こうは、まんまと『個人情報』を『奪取』したことになるわ!
目的は、『特殊集団詐欺事件』に関する事柄よ!
次の身代わりの保証人システム、損害賠償責任報酬システムでもあり、
人伝を経ての攻撃者としても扱われるからよ!
それは騙された口であり、周りから、そうした証拠を辿れないようにして、揉み消していくためよ!
たった1人の標的に、そうした責任話を無理やりにでも、負わせるためにね!」
「……」
ホントに、恐い話だった……身の毛がよだつ……ッ。
「そして、そのモーターの真犯人は、誰なのか!?」
「……」
いよいよ、審議の時だ。
「月見エビバーガーオーロラソース社から端を発し、ドクターイリヤマ達が取り次いで周り、それがミシマさん達やヨシュディアエ達に捕まり、
その犯人として、名指しされたのが、かのヨーシキワーカさんだったわ……!
それに対して、ヨーシキワーカさんは、一言も違うと証言せず、自分の無罪を信じて、小説の中に自分の無実の潔白の証明を残した。
これは、警察のその後の捜査でも、充分な証言となる、証拠なのよ!」
「証拠……」
「これほど、大きな偉業はないわ!」
フッ
とまるで、勝ち得たかの如く笑みを浮かべるエメラルティさん。
続いて、こう語る。
「ポイントは、誰が壊したかじゃなく、いつ、『取り付けられた』かよ!?」
「……」
「それが、2週間……」
「ええ、でも、たったの2週間の間で、小さなボルト、ネジ、ワッシャー、六角ナットが外れたのは、どう考えてみてもおかしく、
本来であれば、そこに使われるべき、部品が使われてなかった……。
そう、それは――逆ネジよ!」
そこへ、呟きを落としたのは、ミノルさん。
「逆ネジ……」
続いて、アユミちゃんがそれに気がつき出して、アヤネさんはそれに続いていく。
「あっそっかぁ……モーターを安く叩いちゃったから、その必要な部品点数まで、安く抑えちゃったんだわ!」
「あぁ、なるほど、その値段まで、費用を抑えるしかなかった訳ね!」
それに対して、エメラルティさんは、こう答える。
「ええ、そうよ! アヤネさんに、アユミちゃん!
奇しくも、その人達は、そうした商談の場に来た卸売業者さんの信頼を落としてまで、費用を取った訳ね!」
とこれには、スバル君、アユミちゃん、アヤネさん、ミノルを推しても。
「……」
「まるで、安物の銭失いだわ……」
「うん、たったの2週間で……」
「モーターが壊れたのか……」
と呟きを落とし、アンドロメダ王女様、Lちゃん、シャルロットさんが。
「それで、会社の機械全体を壊しては、シャレにもならんぞ……!? ハァ……」
「うわぁ……そんなスゴイおばさんもいたんだ……」
「まるで女王様と取り巻きの侍従のような関係ですね……ハァ……。ショウ様でも、そんな失敗は犯しませんよ……」
そして、エメラルティさんは、こう語る。
「昔、ミシマさんが、ヨーシキワーカさんに、こう言った事があるわ――」


★彡
【ミシマさんに関わった年、6ー7月ぐらい】
【1日だけのアルバイト、照明取り付けを学ぶために、電気工事士としてついていった日】
――それは、車の中での出来事だった。
今この中にいるのは、ミシマさんとヨーシキワーカの2人だけだった。
『オイッ、お前! 俺がちょっと前ぐらいに、お前の昔いた会社が行って、『入ってきた事がある』んだが……。
その取り付けられたモーターの下に、こんぐらいの小さな穴が空いてやしなかったか!?
そこへお前が、掃除の時、その穴に向かって、そこら辺に転がっていたホースの先端でも突っ込んで、
水でも吹っかけて掃除でもしたんじゃないのか!?
どうなんだ!? お前がやったんじゃないのか!?』
『……?』
『んっ……何だ……何かこうハッキリせんな!? ……どうなってんだこれ??? あっちの人達の言ってた通りに言ってみたんだけど???』
『……?』
『どうなってんだこれ……!? こいつはとぼけてるような感じには見えないし、何も反応がねぇしな……?』
『……』
(えーと……何いったい……!? 確かに掃除はした事はあるけどさぁ、どこを言ってんのあんた……?)
モーターのある怪しい場所。
・流し台のアンスタッカーの下部
・ベストコンベアの流し台に2台
・クルリと反転して、そのまま洗浄機の中へ流れていくところの上に1台
・洗浄機の下部に2台
・乾燥機の上部に取り付けられた大型のモーター
・最後の出の方のアンスタッカーの下部
少なくとも、入りと出を加えて、8か所はある事になる。
念のために断っておくと、確かに、乾燥機の中の天井部に小さな穴が空いている。
だが、電気工事士資格の者が、わかっていて、そんな事をやらかすのだろうか?
『おかしいなぁ? そんなハズはないんだけど……?』
とミシマさんは、車を運転中にその後ろ頭をかいていたのだった。


☆彡
【部外者の人は、工場の中には入れない】
【年にパートの人が、5人も辞めていった年もある】
【1日3時間働いただけで、辞めていった人】
過去から現在に返り、エメラルティさんは、こう語る。
「――と! それが、ミシマさんからの言葉よ!」
でも、残念ながらミシマさんはね、ちょっと昔の会社の者と電話相談をして持ち掛けて、
その人伝いに、箱洗いの誰かに聞き、そうした情報ソースを得ただけのものなのよ!」
そこへ、アヤネさんが。
「どうしてそんな事がわかるのよ! 実際に行ってみてきたのかもしれないじゃないのよ!?」
「それがわかるのよ!」
「えっ……!?」
「そもそも、工場には入れても、2階から下にある仕事場まで入れないのよ! あくまでミシマさん達は、『部外者扱い』だからね!」
「あっそっか……」
「……」
そう、ミシマさんは部外者である。
あくまで、電話で取り次いで周って、あそこに入ってきたぞ、とする嘘の吹聴をして、周りに取り次いで周って、そうだとするような誤った認識になった訳だ。
騙し屋が考えそうな手口である。
エメラルティさんは、コクッ……、と軽く頷き得、こう話す。
「そもそも、掃除の時は、『不特定多数』であって、年にパートの人が『5人』も『辞めていった年』もあるぐらいだからねぇ!
時には、『1日3時間』『働いただけで、辞めていった人』もいるぐらいだわ。
一概に、誰が犯人だかは言えないのよ……!? わかるー!?」
「……」
「一日、3時間で……!?」
これには、ミノルさんも言っていて、驚きだ。
そう、そーゆう職場環境なのだ。
エメラルティさんは、こう話す。
「基本的に掃除は、上から下へ向かってしていくものだからね……。
つまり、『犯人の炙り出し』には、まず『使い難い』のよ……。人が入れ替わりで入ってくるような職場環境ではね……」
これには、ミノルさんも、アヤネさんも。
「特定の人数ではなく、不特定多数の分類だったのか……!?」
「そりゃあ、犯人探しもできないわよ! ……あっ待って!」
「!」
アヤネさんが、何かにお気づきになったようだわ。
「うん……考えられるかも……?!
確証はないんだけど、そのヨーシキワーカさんがいた時には、『機械は動いていた』の!?」
「ええ、もちろん! 『動いていた』わ!」
エメラルティさん(彼女)から、そう同意の核心を得ると、私達夫婦は。
「なら、大丈夫ね! その小さな穴を使って、モーター内部が水浸しになったら、フツー急に動かなくなるからね! 車と同じよ!」
「それもそうだな! 私共のホテルでも、よく清掃員の従事者が、掃除の為に水をかけるのだが、トイレの便座に……! それで急に動かなくなるもんな!」
「それもそうね! フフッ」
と恵ご夫妻が、世の中の常識を説くのだった。
そこへスバル君が、アユミちゃんが、Lちゃんが。
「そもそも子供でも、機械の中に水をぶっかけたら、中の電子回路が短絡(ショート)するって知ってるよ! そんな事は!」
「ねえ!」
「だよねー!」
と同意の声を買うのだった。
ミシマさんの目論見は、こうやって棄却されたのだった……。


☆彡
【適合規格上の記載書き】
【その最大電力量Whワットアワーと最小電力量Whワットアワーの適合規格に準じているか否か!? それは電化製品が安全に出力できる電力量か否か!?】
――エメラルティさんは、コクリ、と軽く頷き得、こう語る。
「――この時、電気工事士のミシマさんは、『大きな思い違いをしていた』……!
それは、電気工事士として、大きな欠陥とも取れるもので……何でだと思う!?」
とここでスバル君が。
「えーと……それは電気だよね……?」
「厳密に言えば、モーターの分野ね……」
「えーと……わかりません……」
ハァ……
このスバル君の言葉を聴き、あたしは溜息をつく思いだったわ。
「わかんないなら、何も言わないで頂戴、かえって黙っている方がいいのよ?」
「はい……」
「……」
このスバル君とのやり取りを見て、エメラルティ(あたし)は、嘆息を覚えたわ。
続いてこう語る。
「……まぁ、ミシマさんがそのポイントを見逃しても……、……まぁ、仕方がない話だったわ」
「?」
「だって、添えつけられたラベルが、『当時から除去されていた』もの。もしくは、『何も確認ができる位置には、それがなかった』……』
「えっ……どーゆう事?」
「フツーは、その製造規格の詳細を、乾燥機とモーター、その両方に控えておくものよ!
初代のモーターがない以上、乾燥機にそれがないと、後々困った事態になるからねぇ……!?」
「……」
「でも、安心して! フツーそーゆうものは、工務の方々が控えているものだから!
おそらく、その商品の取扱説明書などのようなものに、『その適合規格上の記載書き』があるはずよ!」
「……」
希望が、見えてくるような思いだった。
エメラルティさん(彼女)は、こう続けたわ。
「この時、ポイントになってくるのは、ボイラーマンさんが、例え、それを知っていても、
何も知らない人達に道理の説明を説くことができない点よ!?
それだけ、工務の方と品質管理の娘達とでは、『専門分野が違っていた』からね!」
「専門分野……」

――それは、こーゆう事だった。
『――あっちの向こうの会社の人は、その『適合規格』じゃなくても、それを取りつけることができていたらしいわよ!?
何でそれができないのかって、こっちは今、あんたにそれを聞いてんのよ!?
ただ、そこに合わせればいいだけの簡単な話じゃないでしょうがッ!?』
『……ッ』
そんな簡単な話じゃないんだ。
で、また別の娘が。
『その寸法をこっちの方で合わせればさー!』
で、またオオコウチの奥様が。
『それができないぐらいなら、あんた、もうここを辞めて、どこへなりとも行ってもいいんじゃないの!?
そこまでお高い給料を、もう、こっちの方から何も無理してまで出さなくてもさー!?』
『……ッッ』
何という罵詈雑言ものだった事だろうか。
彼女達は寄ってたかって、たった1人しかいないボイラーマンさんに、そう詰めよったものだ。
ボイラーマンは、ボイラーを取り扱う人であって、電気とかモーターとは、無縁の方である。
それでもこの人は、この会社のために人事を尽くそうとしてくれていて、日夜懸命に働いていてくれていたようなものだった。
これには、たまらずその人も、悔し顔を浮かべ、その頭を抱え込み、何も言い出さなかったものだ。

「――と! これには対面にいたボイラーマンさんも、その悔し顔を浮かべ、その頭を抱え、その娘たちに対して、何も物言いをできなかったそうよ!』
そう、エメラルティさんは、当時の出来事を語るのだった。
それを見聞きしたアヤネさんは。
「まぁ、歳のいった感じのおばさん達が集まると恐いからね……。
自分達の意見が間違っていても、その時の場の感じや取り巻きもあって、
そうした先行意識の我の元、突き進んじゃうからね。わがままもいいところよ!?」
とこれには、ミノルさんも、スバル君も。
「うんうん」
と力強く頷いたものだった。
で、アヤネさんが振り返りざま、「何?」と言い。
これには2人とも、「いえいえ、何も!?」と、そうした場を濁すのだった。
「……」
「……」「……」
睨みを利かせるアヤネさんに。
蛇に睨まされた蛙の2人は、何も言えず……。
そこへ、空気を読んで場を利かせたアユミちゃんが、こう機転を利かせてくれたのだった。
「ヒドイ!? そんな酷い言葉を吐いたわけ!? その品質管理の人達は!?」
「ええ、そうよ、アユミちゃん!」
「……」「……」
これには、ホッ、とする2人がいたのだった。
エメラルティさんは、こう続ける。
「そのお金のルートが、その人から、ご主人の方に流れるように仕向けていってね。……そして、協力してくれたその品質管理科の娘たちにも……ね」
「あ……」
「弱肉強食なのよ……その社会構図は……」
「……」
これには、あたしも何も言えなくなるのだった……。
(大人の世界って、ホントに汚い……)
心底、そう思うアユミ(あたし)がいたの……。
――とそこへ、クコンちゃんにも負けない、毒舌口調のサファイアリーさんが。
「――まぁ、あたしがその話を読んだ分じゃ」
その顔を上げるアユミちゃん。
「……」
「後々、顔面蒼白になっていくのは、そのおばさん達になるんだけどねぇ……!?」
そこへ、アヤネさんが、こう進言してきて。
「どーゆう事? サファイアリーさん? 顔面蒼白って……!?」
それに対して、サファイアリー(あたし)は、こう切り返したの。
「ああ、実に簡単な話よ! そのボイラーマンさんは、その昔の会社の創立記メンバーの御人だったからよ!
工場長等が、その重い腰を上げれば、どうなると思う――!?」
「あ……」
アヤネさんは、心の内でこう思わんばかりだった。
(完全に詰んでる……。こればかりは、その品質管理の奥さんたちが悪い……)
――そんな彼女に対して、サファイアリーさん(彼女)は、フンッ、鼻を鳴らして、こう言うのだった。
ここから語るは、クコンちゃん並みの毒舌の彼女の出番だ。
「――何も知らずに、商談の場にしゃしゃり出るからよ! その場に、電気の知識を持った娘でもいれば、まだ、被害は少なかったと思うわ!」
「電気の知識を持った娘……!?」
それが今後の課題だった。
サファイアリーさんは、続けてこう語る。
「商談の場において、必要なのは、
1つ、上の役職の人!
1つ、その専門分野の知識を修めた人!
1つ、その場所で使われる人、その責任者預かりの人よ!
最低限、この3つを遵守しないといけないって事よ!
まぁ、ハッキリ言える事は、そうした場には、ヨーシキワーカさんの姿は、なかったと言うわ!
あくまで、あの人は、たまたま、そうした場に居合わせていただけの人なのだからね!」
「……」
いたのは、ただの偶然だった。言外に、サファイアリーさんは、そう進言してきたのだ。
彼女は、続けてこう語る。
「工場などの電圧は、三相交流の200Vぐらいで、それでポンプや電動機といったモーターを動かしているのよ!
ここまでは、どの電気工事士さんでも、容易に想像つく事よ!
でもね……! その大元の乾燥機の規格と初代のモーターとの兼ね合いとの製品規格ってものがあって、これを――」
とここで、アユミちゃんが。
「あっ、さっき言ってた『適合規格』なんだね!?」
「そうよ、お嬢ちゃん!」
「そうか――納得納得! ……で?」
アユミ(あたし)は、その適合規格というものを、なんとなく理解したわ。で、あたしは、そのお姉さんに続きを求めると。
お姉さんは、こう答えてきたの。
「ポイントとなってくるのは、最大電力量Whワットアワーと最小電力量Whワットアワーの適合規格に準じているかって事!
これは、定格消費電力といって、『電化製品が安全に出力できる最大の電力量』を意味しているのよ!
つまり、その最大電力量を超過してはならない……という取り決めの基準でもあったって事!
良く、口の上手い電気工事屋たちなんかは、50-60Hz(ヘルツ)の適合規格だけは、守っていれば安全上大丈夫だとは言うんだけどね……。
実際は、それだけじゃいけなかったって事よ!?
それを守んないと、そのモーターの寿命を短くするものだからね!」
そうした道理の説明をするサファイアリーさん(お姉さん)がいたの。
これには、アユミちゃん(あたし)を推しても。
「つまり、その最大電力量の規格を、守ってなかった……!?」
「フッ……それは、最小の電力量の規格も含むよ……! 昔、工務の人達はこう言ったそうよ! 『前と比べて、パワーアップしたぞ』――とね!」
「つまり、最大……」
「NO(ノー)! 違うわよ!」
「えっ……ちっ違うの!?」
「正しいのは、その最小電力量ワットアワーも超過していたという事実よ! 最低すら守らなかったって事!!
それで、大幅にモーターの寿命を縮めてしまい、壊れてしまった理由(わけ)!
まぁ、変圧器の『周波数帯の変動』も含むんだけどね……! それも、『電気的に故意的な仕掛け』がね……」
「……」
これには、アユミちゃんもビックリ仰天だったわ。
そのサファイアリーさんの知識量も、大概馬鹿げているが……。何よりそれは、かのヨーシキワーカさんから持たされたものだからだ。
それは、また、別の線が考えられるものだった。
彼女、シャルロットさんは、怪しむような疑問の素振りを浮かべていた。
「フムゥ……」
――そして、サファイアリーさん(彼女)は、こう結果を短くまとめる。
「それは、一代目と比べれば、過大なパワーだったと聞くわ!
口やかましいぐらいの機械の騒音を上げて動くものだから、
確かに、そこの機械のベルトコンベアなどが、比較して、早い速度で動いていた。
それは、生産効率重視だった。
けど、そのモーターが取りつけられてから、約2週間後の事……そのモーターが焼けつくような悲鳴を上げ、
白い煙と焼けつくような金属異臭がしていた。
となれば、どうなっていくか……!?」
「……」
「どうなっていっちゃうの!?」
サファイアリー(あたし)も、その両手を上げてから、問答を問う。
それは、かって、ヨーシキワーカさんが、ファウンフォレストさんにやったやり口だったわ。
「それは、他の機械やモーターなどにも、影響を及ぼすでしょうか!? それとも及ばさないでしょうか!?」
「……」
もちろん、あたしは、かってのヨーシキワーカさんと同じようにして、自分から答えたものだったわ。
「影響を及ぼします。
少なくとも、箱洗いの機械、ほぼ全般に影響を及ぼしていきます。
それは、乾燥機から始まり、洗浄機と出の方のアンスタッカーにも、影響が出て行きます。
その後、入りの方のアンスタッカーにも、遅れてから影響が出た訳なのです。
機械同士を繋ぐ、設定画面があって、同機接続(ペアリング)している以上はね」
これには、ミノルさんも。
「やっぱり出るのか……」
「同機接続(ペアリング)なら、そうなっても仕方がないわね……」
とそこへ、アユミちゃんが、ちょっと物言いを言ってきて。
「そしたらさぁ、犯人はいったい誰なの!?」
「……」
「……」
「……」
判断が難しいところだ。
それに対して、サファイアリーさんは、淡々とした様子で、こう答えたわ。
「つまり、真犯人は、箱洗い作業員の誰でもない――という事よ!」
「誰でもない……」
「ええ、そうよ。取り扱った事があるから、犯人、という訳にもいかないの。
根底から行けば、不正による違法改造モーターにあり、それを知らずに、そのまま、使っていただけ」
「……」
「つまり、遡及的(そきゅうてき)に遡っていけば、それは、商談の時期に遡り、
その時にいた、その品質管理のオオ……なんとか奥様が、
その時にお越しになっていた会社の人達と商談をしていた事が、原因だと見ていいの!
その時に、そのモーターを安く叩き売ってしまった事が、そもそもの原因だったのよ!?」
「……」
ポイントは、その商談の時期に当たる訳だ。
――次いで、語るは、クリスティさん。
「――あたしが思うに、その品行方正を疑うばかるよ」
うんうん
と他の美人三姉妹、エメラルティさん、サファイアリーさんが頷き得るのだった。
クリスティさんは、こう告げる。
「そのオオ……なんとか奥さんは、その来てもらった2人に対し、ここまでせっかく来たのに、
何の商談もできずにすごすご帰ったらとか、その会社の品性方正の話を、こっちの方で、周りの会社にも告げ口して回って、
周りからの圧力で、何もできないような!?
そう、取引の中断を呼びかける事だって、できたそうよ!?」
「……マジ……!?」
アユミちゃんから、そんな驚きの言葉が飛び出したのだった。
「ハァ……大真面目な話よ! この世界じゃ、実に『ありふれた話』だからね」
「つ、つまり犯人は、1人だけじゃなくて、『複合的な要因』だったって事!?」
「ええ、そうよアユミちゃん!
これには、その時、商談に着てくれた人達も反感の思いで、他の人達に告げ口して言ったらどうなると思う!?」
「……」
「こうなるのよ。
卸売業者を介して、モーターを生産する工場へ行く。
そこで、こうした事が会ったと報告し、そこの会社の上司取締役は、なんだか反感の思いに立ち、
ここでちょっとした、イタズラを行ってしまう。
本来であれば、使われる部品を抜き取り、他の部品点数と会わせるようにして、組み込んだり。
一度、耐久試験を通して、劣化不良の部品と交換したりもできる。
もしくは、気づかれにくいような電圧が過大になる部品と付け加えたりとね。
逆ネジも、この時に、部品点数から外されたんだと思うわ」
「……」
「で、何も知らずに、そのモーターを生産する工場から、
卸売業者を通じて、指定の電気工事会社ではなく、委託を請け負った別の電気工事会社へ、
電話で取り次いで周り、ちょっとした小細工を仕掛けるようになる。
一次巻線と二次巻線との巻き数の違いとかね!?
そうした電圧の変動比を与え、予定よりも早いぐらいにして、あそこのモーターが早々と壊れ出していったわけよ!?
……まぁ、それに、乾燥機上のモーター取り付け工事は、『夜間』を通して、電気工事会社が取り付け工事を行ったでしょうから、
そこで、『意図的な何かがあっていた』のかもしれないしね!
最も、可能性が高いのは、コレかしらね!?」
「……」
これには、アユミちゃんも、なんだか顔が、ヒクヒク、と痙攣ものだったわ。
「だから、何でもかんでも、たった1人の原因に結び付けてはいけないものよ!?
今回の場合は、箱洗いに中だけじゃなくて、
月見エビバーガーオーロラソース社全体や、
その外の方にまで、広げていかないとダメって事よ! うん!」
「外にまで……」
ゴォオオオオオ


☆彡
【壊れたモーターの弊害、それはどんなところに悪い影響を及ぼしていくか!?】
【モーターの騒音は、音だけではなくて、その異常振動も考えられる】
――クリスティさんから、エメラルティさん(彼女)に代わり、彼女は、こう語り部を説いていく。
「――複数の人為的要因による、犯人が絞られてきたところで……」
「……」
「……」
「次は、その壊れたモーターの弊害は、どんな所に悪い影響を及ぼしていくかよ!?」
「えっ!? 犯人を挙げるんじゃないの!?」
それに関しては、断じて否。
「挙げる気はないそうよ? あくまで、オオ……なんとか奥さんは、その人達の1人でしか過ぎないのだからね。
言ったでしょ!? 複数の人為的要因によるものでしかないと……!?」
「……」
「複数の人為的要因によるもの……」
フッ
と笑みを浮かべるエメラルティさん。彼女は、こう続けるのだった。
「商談の場で、モーターを安く叩いただけだからね。一概に犯人とは言えず、そこにいた人達のために、良くしようとして、働いてくれたものでしかないって事よ?」
「……」
「だから、ヨーシキワーカさんも、その一件に関しては、降りたようなものよ?
昔の会社だからね? 攻撃的には、なれないって事よ?」
「……」
「だから、今後を考えて、あたし達がどのようにして、取り組んでいくかが、今後の課題なのよ!?」
「今後の課題……」
「……フッ、大人になれ! ってことよ!」
「……」

【――それは辞めた後に、ものをどうこう言っても、その人の心象が悪くなるだけだった】
【それが、外の人達から見た、その人の印象なのだ】
【口で言っても、どんなに言っても、それは受け取った人にとって、汚い言葉でしかない】
【これは、私にも覚えがある事だ】
【だから、今は、職への斡旋への話が大事であり、今後の課題への取り組み方こそが、そうした心の現われであり、取り組む姿勢だと言えよう――】

少女、アユミちゃんは、こう呟きを落とす。
「どんなところに悪い影響を及ぼしていくか……か!?」
「フッ、そうよ、大事な話だからね!」
「……」
「こればかりは、そのモーターの『安売り買い』の『原因』によって、他の誰かが、端的に弊害を被る事があるからよ!?
その一件に、オオ……なんとか奥様も絡んできて、そうした上の役職の方々からの不始末から始まり、
件の原因へとなっていった……!」
「……」
問題は、まさしくそこである。
「それにより、ヨーシキワーカさんを初め、箱洗いのみんなも困った事になり、
誰が機械を壊したのかとする、犯人探しゲームや、どうしようもない問題へと発展していき、
職業訓練校を経て、ミシマさんの所へ行って、あのカジノの話となったのよ!」
「……」
そう、これは、そうした物語(ストーリー)だ。
彼女、エメラルティさんは、こう続ける。
「職業訓練校のみんなやミシマさんがなんだか、ヨーシキワーカさんの様子がおかしいと言っていたようだけど、
それは、概ね認めているらしくて、
9月の時点で、発生しているのだから、そうした身の危険性を感じていたものよ?
それは、更衣室でのヒソヒソ話だったと聞くわ。
あれは、冬の時期だったそうよ――」


【月見エビバーガーオーロラソース社、冬の時期】
【更衣室】
――それは、ヨーシキワーカが、作業着から私服に着替えていた時だった。
聴こえてきたのは、後ろにあるロッカー越しから、聞こえてきた会話だった。
『なぁ、なんか最近、あそこが急にうるさくないか!?』
その言葉を聴き、ヨーシキワーカ(俺)は、聞き耳を立てたものだった。
『あぁ、やっぱ、お前もそう思うか!?』
『あぁ、お前もか、何でなんだろうなぁこれはいったいよ!?』
『あそこの中の誰が、いったい誰が壊したんだろうな!?』
それを聞き、ヨーシキワーカ(俺)はその手を止めたんだ。
『……ッ』
犯人は、この時、4人上がっていて、その中に俺が含まれていたんだ。
犯人という名指しを受けて。
『ちょっとそいつよぉ、こっちの方から、探り当てて、そいつにその機械の損害賠償責任を負わせてやろうぜ!』
『……ッ』
『となると、あの中にいるのは、ヨーシキワーカさんと他の奴等だよな!?』
『誰が犯人なんだろうな!?』
『お前は、誰だと思うよ!?』
『そうだなぁ……あの中で、一番怪しいのは……』
『~~!』
『~~!』
(聞きたくない、聞きたくない!)
『やっぱり、ヨーシキワーカさんじゃねぇ!?』
『――ッ』
落雷に打たれたほどの衝撃を覚える。
ガックリ、と俺は、その方を落としたんだ。
俺には、訳が分からなくなっていた……。
『………………』
『あいつ、ちっともこっちのいう事を何も聞かないからな!』
『あっやっぱ、お前もそう思うか? あいつ1人だけ、嫌にやけに多いぐらいに、工務の方に言ってたからなぁ!?』
『あぁ、やっぱあいつかなぁ!?』
【――この時点で、犯人がヨーシキワーカ氏と名指しされていた訳だ――】
【で、その2人が試着が終わって、出て行こうとした時だった】
『あれ? あいつこんなところまだいたのか!?』
『やべっ、さっきの話聞かれてたか……!?』
『……』
『あっいや、あの感じからして、何も聞かれてなかった思うぞ!?』
『……』
【そのまま、その2人は、この更衣室から静かに出て行ったのだった】
バタンッ
と静かにドアが閉まる音。
(俺が、犯人か………………)
【実は、こーゆう話は、他のラインの方にも、チラホラと上がっていて、誰が犯人なのかが、早ければ9月の時点で挙がっていたのだ】
【よくある話だ。1人だけ、いやに多く、工務の方に修理のお願いをしている以上、その人物に非難の声が集まる訳だ】
(辞め時かもしれないな……)
『は……はは……』
ヨーシキワーカ(俺)は、1人、その場に取り残された感じだったんだ……。


☆彡
――過去から現在に返り、ミノルさんがこう呟きを落とす。
「――それが冬の時期の話なのですな!?」
「ええ、そうよ」
そのミノルさんの返事に、彼女は、そう答えたのだった。
そして、こう続ける。
「ヨーシキワーカさんは、辞める年から遡って、去年の9月の時点で、そうした身の危険を感じていた……!
さっきの更衣室の話は、あくまで、その1つでしかないって事!」
時系列参照用。
0123456789
XABCDEFGHI
22BA(21)年、ミシマさんに関わった年。
22BX(20)年、職業訓練校時代。
22BI(19)年、そのモーターの異常騒音と地響き似たような異常振動。
「1つは、箱洗浄全体の責任問題と賠償責任。その当時から、既にヒソヒソ話がどこかで挙がっていたの。
もう1つは、自分の身体が、この時、既に壊れかけていた事よ!
これは、長期の療養により回復中……ね!
実際、そーゆう声が上がっていたものだから、そうした風評被害に耐え切れず、あの人は逃げ出したのよ……!?
もう、自分の手には、負えないところまできてたからね……。
人の噂話が、かえって、あの人の退職理由を促していったようなものよ!?」
「……」
「でもね、そんな彼でも、何とかしようしていたようなものよ?」
そう、エメラルティさんが道理の説明を説くのだった。


★彡
【月見エビバーガーオーロラソース社、辞める前の1月】
【全ネジ】
ゴォオオオオオ
地響きにも似た異常騒音に、が鳴りたてるような異常振動が起きていた。
そして、それは、不意にいきなり、上から落ちてくるものだった。
カッツン、カララン
『――!』
一瞬見えたのは、銀色の線だった。
気になったヨーシキワーカ(俺)は、その場に行くと。
――歩み寄り、それを認める事になる。
『……』
(……何だこれ……?)
当初は、その部品名がわからなかった……ものだが、後の職業訓練校へ行った際、それが『全ネジ』である事を知る事になる。
――その後、ヨーシキワーカの足が向かう先は、1階の製造事務所だった。
コンコン、とドアをノックをしてから、『失礼します』といい、入ってくるは、ヨーシキワーカ。
その時、その場にいた人は、ヨーシキワーカが、その手に持っているものを見て、こう驚き得るものだった。
『はい、なんでしょ……うわっ!? 何だそれ!? いったいどこから持ってきたんだそれ!?』
『さあ?』
『さあって……えっ? わかんないの……!?』
『気がついた時には、乾燥機近くのレールの近くに落ちてたから……』
『落ちてたから……って、これが!?』
『うん……』
『何の部品なんですかこれ?』
『さあ?』
『さあって、えっ? ヨーシキワーカさんでもわかんないの!?』
『うん、こんなものは、初めて見るから……多分、『上から落ちてきた』んじゃないかと……『凄い振動』だったから、(モーター)機械が壊れていて。
それで、一度、工務の所に行ったんだけど、誰もいなくて、で、ここに……』
『へぇ~……こんなものが上から、落っこちてきてねぇ……フ~ン』
その製造事務所の人も、何だか初めて見るものであり、マジマジと見るものだった。
『でも、何の用途で、これ使われるんでしょうね!? 金属の棒に、なんだかネジの溝が全部ついていますよ?』
『……』
『ヨーシキワーカさんでも、これが何だかわからないんですか? 今までに何度も、ここや、あの工務の所にも足かげく通っていたぐらいでしょ?』
『うん』
『そうか……やっぱり知らないか……。わかりました』
『……!?』
『ヨーシキワーカさんが、また、それを持ってブラブラと歩いて回ると、周りの人達が何だろうと不信がりますからね』
『ああ、それも確かに……言えてる』
『もう今日は6時過ぎを周っていて、工務の方も、いつ戻ってくるのかわかりませんから、
一度、こちらで預かってから、翌日の朝ぐらいに掛けて、誰か、工務の方に渡しておきましょうか!?』
『そうしてくれると助かるよ』
そして、ヨーシキワーカ(俺)は、その親切な製造事務所の男性に、それを預けるのだった。
全ネジ。
それが扱われる場所は、軽天作業時の吊ボルト着脱に使わられる時である。
いわゆる天井の構造や配線の固定、機器の吊り下げなどに、この全ネジが使用される訳だ。
使わられる工具は、『TOPの全ネジソケットアダプター(W3/8用)ZSA-3』である。
初めのうちは、インパクトドライバーで軽く回し、
その後、穴の開いたラチェットレンチなどで、増し締めしていくわけだ。
まぁ、最も簡単で楽で方法は、インパクトドライバーに取りつけた、『ナット回し』である。
その商品名は、『未来工業 ナットくるくる2 MKK2-L(全ネジソケット)がある。


☆彡
――過去から現在に返り、エメラルティさんは、こう語る。
「――普通、そこまでして、報せると思う!?」
「思わな~い」
「でしょう!? その時に、機械が壊れているんだから、その余波を受けて、全ネジが外れたようなものよ? 振動で、こうブルブルしてね………………」
「……」
「何、見てるの? ミノルさんに、スバル君?」
「……」
「……」
ジトリ
とおっさんと少年は、周りから冷ややかな視線を浴びるのだった。
「真面目な話をしてるんだから、そーゆうのはオフよ、しっかりしてよね?」
「ハハハハハ、バレましたか?」
「ハハッ、笑えない……」
ギロリ
とアヤネさんが、アユミちゃんが、何だか恐い視線を向けていたものだった。
「……」
「……」
これには、2人とも何も言えず。
ふぅ……
と溜息を零したエメラルティさんは、こう語るものだった。
「で、その会社を辞めてからの半年後の事よ。
その会社の機械が壊れて、にっちもさっちもいかず、その運転が止まった事があるらしいわ……」
「半年後……」
ヨーシキワーカが、辞めたのは4月の時期。それから半年後、という事は10月ぐらいに当たる。
まぁ、人の噂程度みたいなもので、相前後する程度のものと思った方がいい。
……だが、その話を聴いてしまったアユミちゃんを推しても。
「……それって、一番マズいパターンなんじゃ……?」
と、言わしめるものであり、マズい予感を感じさせるものだった。
それに対して、エメラルティさんは。
「そう、まさしくその通りよ……アユミちゃん!」
「……」
「でもね……! その人の外の周りで、噂話を広げていた人達もいたし!
その中で仕事に携わっていて、そうした人の噂話の渦中にあった人達とでは、往々にして、その認識の視点が違うものよ!?」
「……」
「それは、誤解を招き出すような偏見的な視方だった……!
当然、中にいる人達の心象は悪くなり、そうした声を真に受けて、内部犯の犯行を疑い出すようになっていく。
誰が犯人なのか!?
そこからは、もう身内同士で、疑い出していくようになり、仲間割れの様相となっていく。
そう、『外から持ち込まれた問題作り』のせいで、『その中から空中分解しちゃった』わけよ?」
「空中分解……」
「外から持ち込まれた問題作り……!?」
コクリ
頷き得るエメラルティさん。
彼女は、こう語る。
「うん……でもね……当初は、あのヨーシキワーカさんさんですら、それには気づけなかったと仰っていたわ。
でも、外部の人達は、そうなる事が予めわかっていたらしくて、
時限式の爆弾が、発動する時を、虎視眈々と待っていた。
標的が、そこから出てくるまでね」
――とそこへクリスティさんが。
「だから、いったでしょ? でっち上げるってね」
これには、ミノルさんも、アヤネさんもなんとなく。
「あっ……そーゆう事か」
「そーゆう事だった訳ね」
それに対して、少年少女達は、訳が分からなかった。
「……?」
「……?」
ふぅ……
と溜息を零すエメラルティさん。彼女はこう語る。
「だから、ヨーシキワーカさんが、出ていく必要があり、『注目の視点』を自分1人に集め、何とかして『時間稼ぎをする必要』があった。
自分1人に、そうした風評被害の目を向けさせている間に、
中に、残った人達に、後の事を託した訳よ!」
「……」
――エメラルティさんは、ヨーシキワーカさんの、当時の心象に近づいていく。


★彡
【犯人探しゲーム】
――それは、ヨーシキワーカからの物言いだった。
『お前は知らないだろが……。今、この箱洗いの周りの方で、何て言われているかわかるか?』
『……』
『あの機械の騒音を聞いてわかるだろ? 今周りの方で、あの機械を壊したのが誰なのか!? それが、人知れず、騒がられているんだ!?』
『あぁ、それでですか……道理で……あの時。この箱を持っていく時、道理で周りの人達から、あんなにヒソヒソ話が立っていたんですね?』
『あぁ、犯人は俺になってる』
『ヨーシキワーカさんがですか!? えっ!? あんなになって、よく工務の所に行ってたのに!?』
『ハァ~……しょうがないだろ?』
『……』
『もう、周りで犯人だって、言われてる……』
『……』
『しょうがないからな……わかんないんだし……ホントに……!? 何で、あんなに機械が壊れて、うるさいほどの音が出ているのか……かが!?』
『……』
『俺が、ここを出た後、後は頼んだぞ! ヴィウノビブリオさん!』


☆彡
――過去から現在に返り、エメラルティさんはこう語る。
「――そう、だから、誰かが辞めないといけなかったのよ……!?
そうなるようにして、その当時から、その場にいた人達は、蔑みの声に惑わされて、欺かれていたものよ!?
精神的に追い詰められていき、
箱洗いの中はうるさく、その外に出てもどこかで噂話が挙がっていた……」
「……」
「そんな折、犯人が誰なのかって声が立てばどうなるか!? 想像に難くないでしょ……!?」
「……ッ」
「その場にいた人達はもがき苦しみ、荒れていってしまう。
ヨーシキワーカさんは、そうした傾向をつぶさに感じ取っていて、そうした暴れ馬を乗りこなす力もなく、また御せる力もなく、
ついには耐え切れなくなって、自己都合退職を促してしまった……」
「……」
「わかる!? これが、中と外の偏見的な視方の違いよ!?
その当時のヨーシキワーカさんでも、そこまでは頭が回らなかったものよ!?
奇しくも、当事者はその中の4人であって、
周りのラインの人から、偏見的な誤解と偏見的な視方で見られていたんだから……、そんな悪いタイミングで、逃げ出したらどうなるか……!?」
「……」
「想像に難くないわ……!
そう、それは、人伝手を経て、伝言ゲームのやり取りで伝わってしまい、こうではないのかとする説の話が仕込まれ、飛び火していき、
間違った船の情報工作となってしまった所以なのよ!?」
「……」
それが件の犯人探しゲーム、どうしようもない問題であり、とんでもない思い違いの経緯だったものだ。
そこへ、クリスティさんが、サファイアリーさんが。
「いわゆる早とちりだったわけよ!」
「みんなも、これには当てが外れてしまい、とんだハズレぱっなしだったそうよ!?」
これには、アユミちゃんを推しても。
「どうして!?」
といい。
それに対して、エメラルティさんは、こう答える。
「第一に、間の悪いタイミングで、お父さんの『定年の時期』が迫っていたからね……。丁度時期が悪く、重なってしまったのよ……
丁度その時期に、運悪くも、課長さんもどこかへ異動になってしまってね……。
バタバタしてた時期だったものよ?
それに、再就職もしたかったしね……。いつまでもパートじゃねぇ……結婚もできないし……」
ああ……
と嘆く一同の姿……。そう、パートでは、食っていけない……。1人暮らしすら、ままならないのだ。
今度は、自分が、ここまで育ててくれた親を養っていく番だ。
「なんて間の悪い……人なの……」
ハァ……
とアヤネさんは、その人をなんとも同情する想いだった……。
(なんて、間の悪い人なんだろう……? なんて、とんだ犯人探しゲームなんだろう……? もう、運が悪いとしか形容できないわ……)
そして、それは、エメラルティさん(彼女)を推しても同様であり、「うん……」と悲哀にも、頷き得るものだった。
彼女も、また、同じ想いだった。
エメラルティさん(彼女)は、一拍の間を置き、「………………」こうみんなに諭すものだった。
「……でも、それでも……! ヨーシキワーカさんなりに何とかしようとしたものよ!?」
「……」
一同、俯いていたその顔を上げる。
彼女の話に、その耳を傾ける。
「そんな時だった。食堂にふと立ち寄った時、横受け会社さんの人がいたのは――」


☆彡
【月見エビバーガーオーロラソース社、2月】
【新しい箱洗いの機械の搬入の話、来年の1月頃を予定していて、2000万円以上もした】
――それは、退職願を出し、しばらくしてからの事だった。
それは、食堂内で、見慣れない工務の方(?)がいて、図面を見ていた時だった。
『……?』
ヨーシキワーカ(俺)は、何だろうと思い、近づいたものだった。
『あぁ、何だそこにいるお前は!?』
『あっ済みません』
『今、こっちは忙しいんだ、あっちへ行ってろ!』
『……』
その言葉を受けて、ちょっと向こうの方へ行くヨーシキワーカ(俺)がいたのだった。
1回目は、こんなものだった。
どうやら、その人は、月見エビバーガーオーロラソース社の工務の方ではないらしい。
いわゆる横受け会社の人みたいだった。
――で、2回目は、下の仕事の場の方へ降りる必要があって、その人の近くに立ち寄った時だった。
『――何だ? またお前か?』
『……』
『気になるのかコレが!? ここに書かれている新しい機械の図面が、結構高くついたもんなんだぞ? この機械の搬入の話?
いくらしたと思う? 2100万円(159091米ドル)以上もの凄い値が張ったものなんだぞ!?
まぁ、何でも実際に搬入するのは、『来年の1月頃』になりそうなんだが……。
今妙な、季節性のウィルスが流行っていてな……。
いつ頃、これができあがって、入ってくるのかが、皆目見当もつかないぐらい、こっちとしてもわからないんだ!?」
「2000万円(159091米ドル)!? うは~っ……」
(すげぇ……)
俺は、感心したものだった。
『だがなぁ、どうやって搬入しようものなのか考えていてなぁ!?』
『……? 搬入』
『あぁ、あそこの箱洗いの方の使われる機械らしくて、
あそこの置かれている機械は、随分前から置かれているらしく、相当ガタが気だしているらしくてな。
ここに席に座って、訪ねてくる際、ここの工務のあそこの外にいた人達も言うには、念入りに修理し出しているようだが、にっちもさっちもいかないらしい。
で、何でも、以前から度々、足かげく通ってきだしている、箱洗いの人間が1人いるらしくてな。
まぁ、そいつならば、この会社の機械を預かる責任者として、迎え入れて、新しく雇用してやってもいいという、話がどこかで挙がってきているらしいだんだが……』
『箱洗い?』
『何だお前知ってんのか?』
『はい、自分、箱洗いなんで』
『はっ、何だそれ? へぇ~』
『でも自分、もうこの『会社を辞めます』よ、もう『退職願い』も出してますんで!」
『ハッ!? 何だそれ!? そこに置く責任者はどうするんだ!? ここの機械を任せようとする話が出ているんだが!?』
『えっと、もう自分時間なんで、下の方に降りないと……じゃあ』
『ハァ!? ちょっと待て待て!? じゃあ、ここに置く責任者の話とかどうなっていて、ここの下の所のボルトを止める話とが出ていて、
今、あっちの話はどがんなっているとや!?
こっちはなーんも知らされておらんとぞ!? あの中の方でどがんなってとや!?』
『……』
その背を向けることなく、立ち去ってゆくヨーシキワーカ。
すれ違う、両者の見解の相違。もう、この時点で、手遅れだった。
一般的に、石の上にも3年という言葉もあり、3年間の間ならば、まだそうした望みと希望はあるが、それを超過していた場合は、完全に手遅れである。
後で、驚かそうと思ってみても、時間の経過とは、時に無情なのものであり、完全に手落ちだった訳だ。
そのまま、ヨーシキワーカは、振り返る事もなく、1階下の仕事場へ戻っていくのだった――


☆彡
――過去から現在に返り、エメラルティさんは、こう語る。
「――これが、その後、月見エビバーガーオーロラソース社の上の人達を通じて、それがミシマさんに伝わり、
そのミシマさんが、そこの会社の機械を『建て替えた』というウソの話になった訳よ!
でも、その頃には、その人の心象の悪い、噂話が蔓延していたものだった。
それが、ちょうど、ミシマさんに関わった年の3月であって、
その機械の搬入の話は、1月だったのよ」
この時期は、ミシマさんに関わった年、だが、その当時は、まだ、搬入されていない。
「けどね……!
季節性のウィルス騒ぎがあっていて、遅れが生じてしまっていたの。
で、実際に搬入されるようになったのは、『予測の仮説』だけど、ヨーシキワーカさんが、小説を執筆し始めた時期ぐらいだったのよ」
この時期は、小説公開年に当たり、ようやく、新しい機械が、搬入されるようになったらしい。
あくまで、予測の仮説だが。
で、領収書が見つかった事件解決年ぐらいに、そこの弟君から、妙な物言いがあってね――」

『せっかくミシマさんが、お兄ちゃんの会社の方に行って、そこで謝って『建て替えた(?)』というのに、
もう、そこの中の2人は、たった1年間ぐらいで使い潰してしまったとや!!
責任問題ぞこんなのは!! ちょっとこっちの方から、周りのもんに取り次いで周って、
そこの中の2人に、責任を取らせてやる!!』

「――ってね。
それを、盗聴傍受していた人から聴いて、アヤさん伝いで、ヨーシキワーカさんも、ガッカリ……してたそうよ。
いい加減に、気づけよ……ってね」
これには、ミノルさんも。
「えーと……つまり、どーゆう事ですかそれ?」
それに対して、エメラルティさんは。
「ハァ~~……あんのバカ弟が、中の様子がわかんないんだから、変な噂で踊らされていた訳よ」
「変な噂……」
「結論!!
その1年間ぐらいで使い潰してしまったのは、『真っ赤な大ウソ』で、実際に壊れていたのは、『設立当初の乾燥機』だったわけよ!!
で、『新規に入ってくる乾燥機』は、まだ無事なのよ!!
で、その弟君からの申し入れもあって、その中の2人が、次の責任者に選ばられたわけよ!
こんな事知ってるのは、正直、ヨーシキワーカさんとアヤさんぐらいなものよ!
まぁ、簡潔に言えば、昔の会社を辞めた者同士、何かしらの情報伝いだったわけよ――」


★彡
【怒りと嘆きの仮面の人物アヤの進言】
【あの会社の話と、新たに入って辞めて出たきたところで、その話を上手い具合に結び付けてくる、とんだくわせ物の女】
『――職業安定所の方で、あのヨシヅがこんな事を言ってました』
『……』
――振り返るは、当時の出来事。
それは、アヤ視点のものだった。
怪しい女、ヨシヅは、職員さんの誰かとこんな会話をしていたんだ。
『あっそうねぇ! だったらさ、そこの会社で、こんな問題事がまた起きて、辞めたら……。
そっちの会社のものと、こっちの月見エビバーガーオーロラソース社の話を繋げて、
無理やりにでも何でも、あの子に支払わせましょうか!?』
『……』
『そしたらもう、その頃には、何億という馬鹿げた数字にもなっている頃だし! 死んでも払いきれないほどの額になっている頃でしょう!?
たまらず、自殺してもそれでもいいし!
それでならいくらか、こっちの溜飲も下がるし、気も落ち着くし、それぐらいなもんでいいでしょ!?
それであの子が死んだなら、こっちとしても、とんだ儲けものだし!
あの話と、こっちの方で、あのお父さんの方を通じて知ったあのノートのアカウントやらメールアドレスが、ここに控えが、もう『ある』んだしね!?
後で、それを乗っ取ちゃえばいいのよ!?
それが嫌なら、あの子もあたしの方に泣きついちゃってきちゃって、
で、どうしようかな~って話になって、あの子と、なんだかいい感じに付き合えそうな話なんでしょ!?
ねっ!? どうこの案!? 素敵なものとでしょ!?』
(何言ってんだこいつ……!?)
(ヨシュディアエさん、あんた最低だな……そこまで、性根が腐っていたか……。ババア臭……)
((誰が騙されるんだよ!?))
――回想修了。
『――えっ!? あの時いたんですか!?』
『あぁ、まぁな……』
『あの女は、胸がデカい事をいいことに、やりたいことの言い放題の悪政の手腕だからなぁ……』
『普通、職安は、職を探すところであって、騒ぎを持ち込むところじゃないんだぞ?』
『……あぁ、まぁ、確かに……そうなんですよね……』
『騒ぎの原因を、持ち込んだのは、ミシマさんだけど……。あんなにまでやって、長く継続しているのは……』
『あの女か……臭か……』
――回想修了。
ミノルさんも、これには納得の思いだったわ。
「――な……なるほど……」
「で、アヤさんも、もうこれ以上は必要ない、という事で、絶縁したわ!」
「は?」
「妙なぐらいに、その人の噂が立っていたぐらいだからね。
元がゲーム仲間だからね……! 風評被害もいいところよ!
それを見兼ねて、あの人も、必要なものだけを残して、アヤさん関連にまつわるものは、すべて、燃やすなり、壊すなり、したわけよ!!
つまり、これ以上の追跡は、不可能――って訳!
これには、今までハッキングしていた人達も、酷く、大きく落胆していたらしくてね。
もう、このクソ野郎――っ!! いったいどこのどいつや―ーッ!? そいつの顔、一目でも拝めてなかとぞこっちは!?
って、酷く荒れていたらしいわよ?」
とこれのは、アヤネさんも。
「まぁ、でしょうね……」
(いったい、誰なのよ、その正体は……!?)
アヤに関する謎が深まるばかりだ……。


☆彡
【……だが、昔の乾燥機が残した遺産の爪痕が、深く大きく刻んでいて】
――エメラルティさんは、こう語る。
「――ってね。でもね。乾燥機のモーターが壊れてから、新しい乾燥機の機械が入ってくるまでの間に、実に5年間ものインターバルがあって、
昔の乾燥機が、遺した遺産の爪痕が、深く大きく刻んでいたのよ?」
「遺産の爪痕……」
「まさか、モーターって……ヒドイ音って!?」
(((((騒音管理区分)))))
ゴォオオオオオ
「ええ、そうよ! 騒音と聞けば、が鳴りたてるほどうるさい音だけかと思うけれど……、
実際問題、それだけに留まらないのよ!?
そう、激しい振動が付きものなの。
その激しい振動が原因で、どのように伝わり、設備全体に悪影響を及ぼすか、想像に難くないものでしょ……!?」
「……」
ホテル経営者妻アヤネさんと、その夫ミノルさんの顔が青ざめていく……。
――次いで、語るは、サファイアリーさん。
「――例えばの話をしましょうか!?
剥き出しのパイプ管があって、そのパイプ管を伝っていけば、天井や壁の中に埋没されていたりするのよ!
ステップルという固定金具で抑えられていてもね。
う~ん……ちょっとここで、ビル50階建てだと仮にしましょうか!?」
「ビル50階建て……!?」
「ふんふん」
「そこで、もしも、地震が起きたらどうなると思う――?」
「……あ……!?」
「そう、耐震強度をしていても、ビルの屋上になるにつれて、こうグワングワンと揺れるものよね!? それを振動というのよ」
「振動……」
コクリ
とその横で頷き得るエメラルティさん。
両の腕を掴んで抱いた姿のサファイアリーさんは、続けて、こうも語るのだった。
「その周辺には、他のパイプ管などが納まっていたりすれば、1つの配管内でウォーターハンマー現象が起き、他の管すらダメになるの!
サビや狐食が空き、そこに目に見えない害虫などが湧き、どのように転じるかはわからない……。
ふとした拍子に、壁が湿ったり、水漏れの原因だったり、腐ってたりするものよ!?
必要経費な設備費を、安く抑えようとして、ケチった事で、
その代わり、他の設備が壊れ出していき、
ついには、周りにもその被害が鯨波(げいは)して行っては、とんだお笑い種(ぐさ)よね!?」
「……」
顔面蒼白になる僕達、あたし達、私達。
その人達は、重大な過失を犯したのだ……。

【さて、ここに1冊の本がある】
【Ohmsha(オーム社)のマンガでわかる発電・送配電という見出しのタイトルだ】
【32Pからが最大のポイントだ】
【仮にもしも、何かしらの不手際があり、周波数が変動するとどうなるだろうか!?】
【そう、工場などの機械の中にあるモーターの回転数も、変動してしまうという恐ろしい危険が潜んでいる……】
【機会が安定しないという事は、どうなるだろうか!?】
【それは、偶発的な故障の原因にも成り、生産する製品にムラが発生するという事だ】
【モーターの回転数の変動が原因で、異常振動が発生し、その科・ラインだけに留まらず】
【隣接するすべての設備にも影響が及び兼ねない……】
【メイン機械の故障、工場設備の空調、給水設備などの圧力の変調にも及び、最悪、倒産寸前まで追い込まれるわけだ】
【そもそもの原因と発端は、誠実な対応を求めて、来てくれた業者の方々に、もっと安く売れと叩き売った品質管理の奥さんが、そもそもの原因であった――】

【そして、もう1つ】
【Ohmsha(オーム社)のマンガでわかるモータという見出しのタイトルだ】
【10Pからが最大のポイントで】
【実は、1年間に約1兆Kwhも発電された電力は、そのモーターを動かすために消費されているのだ】
【このモーターの効率が、1%でも上がると……発電所が、何ヵ所もいらなくなるわけだ】
【引いては、国際情勢の経済貿易発展のカギを担ってくるのは、このモーターなのだ!!】

――次いで語るは、クリスティ先生。
「――すべての原因は、モーターを安く叩き売ってしまった事だった言うわ!
でもね……そんなモーター1つを取っても、1年間の消費電力量で捉えれば、どうなるか……!?」
「1年間の消費電力量!?」
「ええ、そうよ! モーターの効率が1%でも上がればね。 毎年家計にかかる、電力料金がお安く抑えられるのよ!?」
これには、目聡いアユミちゃんが、アヤネさんが。
「毎年……お安く……」
「家計の経費……削減……」
まぁ
と奥様は喜んだものだわ。ホント現金なものね……。
「1番確実なのは、交流のACモーターを選んで、作業効率優先を取るか!? それとも、直流DCモーターを選んで、毎年かかる消費電力量を如何に安く抑えるかよ!
DCモーターは直流で、交流のACモーターと比べて、レベルゲージの調整ができ、駆動音も静か、何より機能性に優れる分、
透徹した長い目で見れば、電気代をいくらは安く抑えられるからよ!
次にポイントになってくるのは、そのモーターの出力と、最小電力量、最大電力量で、考えていく事よ!
小さな出力で、最小電力量で抑えれば、今年と比べて、来年は、お安くなっているはずよ!
逆にあのおばさんは、効率よりもパワーを求め過ぎたがゆえに、毎年かかる電気料金が、逆にかさんでしまい、かえって逆に湯水をどぶの中に棄てたようなものよ!」
「うわぁ……あり得ない……ぃ」
「そうした知識すらないだろうしね……周りに有識者層がいれば、ホント良かったんだけね……」
まぁ、電気分野に詳しい人であれば、AC/DC変換アダプターか、ACからDCに切り替えるコンバーターを使ってきちゃうでしょうね。
ちなみに逆は、DCからACに切り替えるインバーターというのよ。
フッ、とあたしは笑うと、続けてこう語る。
「年間、あたし達の国の消費電力はね!
コケや藻などのバイオエネルギー16%、植物を使った発電エヌエナジー(ボタニカルライト)7%、
天然ガス都市ガス15%、核融合炉9%、水力19%、風力14%、太陽光発電6%、その他14%となっているのよ!」

――現在のアメリカと日本のエネルギー消費量。
アメリカ
石炭石油22.8%、天然ガス都市ガス37.5%、原子力18.6%、水力5.8%、風力8.0%、太陽光発電12.4%、その他14.9%
日本
石炭石油31.0%、天然ガス都市ガス34.6%、原子力6.8%、水力7.6%、風力1.0%、太陽光発電10.9%、その他8.1%
――200年後のアメリカと日本のエネルギー消費量予想。
アメリカ、
藻類バイオマス燃料16%、植物を使った発電エヌエナジー(ボタニカルライト)7%、天然ガス都市ガス15%、核融合炉9%、水力19%、風力14%、太陽光発電6%、その他14%。
日本
藻類バイオマス燃料18%、植物を使った発電エヌエナジー(ボタニカルライト)9%、天然ガス都市ガス26%、核融合炉5%、水力10%、風力8%、太陽光発電8%、その他16%。

「この事から顧みるに、今日までの経済貿易発展の裏には、モーターの効率化生産分野が欠かせなかったわけよ!
世界各国のどの分野でも、そこに注力していったはずよ!
そうなれば、もう価格帯の世界経済貿易戦争ね!
たった1%でも燃費効率を上げることによって、そうした価格帯の製品コストによって、人の手によって渡る事で、そうした評価が見直される!
地球温暖化防止に、これ以上ない、いい手なんだからね!
よく昔から、言われてるでしょ!? アメリカ製品はいい、あそこの日本製のものはしっかりしてて商品(もの)はいいぞってね!」
そして、クリスティ先生(彼女)は、こうも語る。
「そして、一般的に、どのご家庭でも、モーター、照明、電熱、情報、その他があって、その70%台を占めるのが――モーターなのよ!」
これには、スバル君が、アヤネさんが、ミノルさんが。
「えっそうなの!?」
「知らなかったわ……」
「ああ、タメになるな……」
みんなに驚きになったものだわ。
(フフッ、気分がいいわね)
にっこり
と笑顔を咲かせるクリスティ先生(あたし)。
「みんなが前に付けていた腕時計型携帯端末(フューチャーウォッチ)にも、その小型モーターが入ってたのよ!」
これには、アユミちゃん達も。
「えっそうだったの!? あんな小さなものに!?」
大層、驚いたものだったわ。
(あらぁ、やっぱり知らなかったのね……フフッ)
「実はそうなのよ! このモーターの効率を『1%』でも上げれば、年間の電気代の『節約』に大きく役立つのよ!
さらに、『地球温暖化』の『抑制』にも大いに役立つからね!
モーターに化学産業を注ぎ込んでも、損はないわ!!
逆に、モーターの効率を低く抑え、安く叩き売った場合は、年間の電気料金が増し、地球温暖化の悪化にも招く要因だったりもするのよ!
みんなは、どっちがいいかしら!?」
とここで、可愛らしいアユミちゃん、スバル君、Lちゃんが揃って。
「せーの……」
「「「モーターの効率を1%でも上げた方がいい(よね)!」」」
「うん! よくできました!」
パチパチ、と拍手を送り、クリスティ先生が、笑って答えるのだった。


TO BE CONTINUD……

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