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第3章の第95話 どうしようもない問題22



★彡
【カジノ】
【名刺交換を通して、情報を得る』
――トヨボシサイド
『……そのお隣のご婦人は……!?』
『……』
トヨボシ(俺)は、すぐ隣にいるイチハさんと顔を合わせる。
『……』
『……』
もちろん、この時俺は、顔立ちを変えているので、普通は気づかないんだが……。
さすがに気づく当たり、さすがだ。その優しい顔で、頷き得るイチハさん。
俺は、頼もしい彼女達を見て。
『……フッ、……仲間……ですかね!?』
そう言わざる得ない俺。
ですかね……か、いけないな……。まだ俺の心の中に、迷いがある証拠だ。
対面のアストル選手は、こう呟きを零す。
『……仲間……。……そうか……そうした会社の身内関係か……何かですかな?』
『……まぁ、似たようなものです』
トヨボシ(俺)は、そう建前を通しておく。
向こうが勝手に勘違いしてくれているので、体裁上はそれが良く、都合がいいので、そう済ませておくんだ。
『……』
『……』
そして、ここぞとばかりに、イチハさんは横目で、サクヤさんに目配り合図(アイサイン)を送り、自己紹介をしてきた。
『私共は、こーゆう会社の者です!』
名刺を差し出すサクヤさん。ビジネスマンとして、筋を通す。
それを受け取るアストル選手。
『……』
そう、打ち合わせ通りだ。
ここにはビジネスマンとして来たことにし、そう印象づける。
(そう、これは裏の伝手と呼ばれる手法だ……!
何も会社に訪問し、私はこういうものですという企業訪問する必要はない。
そんなのは後ですればいいし、ここで、こうしてインパクトを与えておけば、後できっと役立つはずだ……!)

『ホゥ、これはスゴイ……!!』
『!』
気になり、後ろに控えていた紳士服の男性たちも、それを覗き込んで確認をする。
それにはこう書かれていた――

【静止軌道ステーション 特別管理部門】
【更待(ふけまち)咲夜(さくや)】

『――あんなところから降りてきたのか!?』
『はい!』
『……ハァ……これはスゴイ……!!』
感心の思いのアストル選手。
(静止軌道ステーションと言えば、各国家間の一大プロジェクトだ……! そこの特別管理部門を任されているだなんて……!!)
最早、驚嘆の思いだ。
とその後ろで控えていた紳士服の男性は。
『……で、では、あなた方も……!?』
コクリ
と頷き得るイチハさんに、アサヒさんの姿がいた。
『『……ッ』』
もう驚きしかない2人。
(道理であんなに、凄い金をポンッと出せるわけだ……)
胸に手を当てて、礼儀正しく、その2人に声をかけてくるサクヤさん。
『……失礼ですが……』
『『!』』
『あなた方2人は、ドクターイリヤマ達と何らかの形で知り合っているものと存じ上げます』
『……』
『……』
『もう少し詳しく、話していただけますか?』
フッ
と笑みを浮かべるサクヤさん。
その2人の対応はというと。
『おい……』
『あぁ……』
アストル選手と紳士服の男性の人は、肘で宛がいつつ、こんなチャンスはないぞとばかりに応対を心掛けてきた。
そして、スッ……
と名刺交換だ。

【製薬会社職員 ファルナコーポレーション(ファイザー兼モデルナの後の法人化された事業組織)】
【アストル】
【アメリカ食品医薬品局職員(FDA)】
【テラコル】

『――私は、大手の製薬会社のものだ』
『私は、それに付随する形で請け負う、『FDA』の者で、認可の審査を通している者だ』
(『アメリカ食品医薬品局』FDA……)


☆彡
――過去から現在に戻り。
「FDAって!?」
「『アメリカ食品医薬品局』Food And Drug Administration』(フード アンド ドラッグ アドミニストレーション)! 縮めて……FDA!
FDAは、日本で言えば、厚生労働省を指すわね!」
((((また難しい問題を……))))
「スバル君……わかる!?」
「無理……」
「だよねぇ~……アユミちゃんだって、わかんないもん……」
「……」
とんでもない話の連発だった。
激流の如く洪水の嵐だ。
これには困った感じのクリスティさんがいて、その対応にスゴイ苦慮したのだった。もう汗々よォ……ッッ。
横のサファイアリーさんは、だろうなーとは思いつつ頷き得て。
横のエメラルティさんは、何でこんなタイミングなんだろうと、一考思案するばかりだ。
「……で、チャンスとばかりに、他の紳士服の人も、婦人服を着た人も、名刺交換を求めていたわ。向こうは凄かったわよ!」
「悪目立ち過ぎじゃない……!?」
それはアユミちゃんの、真っ当な意見だったわ。
「ええ……確かにそうね……」
(まるで、わらわのようなやり口じゃな……)
そう、思わんばかりのアンドロメダ王女様がいたのだった……。

――多くの人達がこぞって、イチハさん、アサヒさん、サクヤさん達に歩み寄り、そのお近づきの印に、様々な名刺交換を執り行う。
このカジノは、そうした情報のるつぼと化していた。

――その様子を距離を置いて観察していたのは、クレメンティナーともう1人。
『……』
『……』
そう、ヨーシキワーカ氏、ただ1人だった。
そう、2面作戦だ。
あっちが引き付けている間に、多大な情報を得る。
こっちは人知れず、あの娘、クレメンティナーさんに歩み寄り、ちょっとした信頼関係を築いていく。
『……! あら?』
『お嬢さん! お嬢さん! 少しよろしいですか?』
それは、ヨーシキワーカとクレメンティナーの2度目の接触だった。
1回目は、何も知らずに。
2回目は、変装して彼女に近づいたものだった。


☆彡
【2面作戦】
「――2、2面作戦!?」
「ええ、イチハさん達が請け負っていたのは、そのカジノ内にいる人達の職業柄とそうした役職……! つまりは人脈ね!」
「人脈……!」
と感心の思いの僕。
と横からシャルロットさんが。
「――これはいい話ですねぇ!」
「シャルロットさん!?」
「このヨーシキワーカさんの半生は、特にタメになります!」
「!!」
「人脈……!! これほど、大いに役立つものはありません!!」
「!」
「これからあたし達は、いえいえ……。
引いては、スバル君がプロトニア後……いえ。
今からでも、大きな意味を持つようになって行きます! それこそあたし達や、王女様に会った時から!!」
「あ……」
(僕は、スゴイ話となんだ思う。繋がっているんだ。こうして繋がっていくんだ……)
「気になったので、もう1つ訪ねますがクリスティさん!?」
「はい……!?」
「そのヨーシキワーカ氏とは、何の話を……!?」


★彡
【意外にも、頭が低いヨーシキワーカ氏】
(なによ……馴れ馴れしい人ね……。フンッ、まぁいいわ!)
『……』
『!』
あたしは、その人を眼に関さず、あっちの方に目配りすると。
その人はこう言ってきたわ。
『……あぁ、私はあーした場に加わるのが、どうにも苦手な性分なんですよ……済みません……』
へこへこ
『……』
と何度も頭を下げる、その人がいたわ。
その人はヘラヘラ顔で、何とも頼りなさげに見える。
男としては、低水準とみて見ていいわね。それが実直なあたしの感想よ?
『……』
笑みを深めるその人。
混ざりたいんだろうなぁとは思いつつも、なんかやるせなさを感じさせる顔立ちも同居してたわ。
『フ~ン……あなたは行かないのね?』
『! ……ええ、あ――した場は苦手なので、……奇麗なお姉さん』
『フッ……」
年上の人に褒められても、なんら嬉しくもないわ。
それにあたしは、誰に言われなくたってわかるぐらい奇麗よ。
『……あなたは、ここには何しに?』
『……あらっ? 普通はレディーファーストじゃない?』
『あっ、これは失礼!』
『……』
あたしは腕を組んで、不機嫌さを臭わせる。
それがいけなかったわ。
『……お嬢さん』
『なに?』
『……昔何があったかまではわかりませんが、綺麗なお嬢さんが、あからさまに不機嫌なのはよろしくありませんよ?』
『!』
それは以前にも、そうして誰かに注意された言葉だったわ。
思わずあたしは、この人に顔を向ける。
『思うに、これは私の推測ですが……。

『――何かそうした大事(だいじ)を得るなら、相手の懐に潜り込むなら、
『笑顔で接し、相手とのそうした心の距離間を、会話を通して歩み寄るのが、一番かと』
――私は思います』
『……言うわね……!』
フッ……
と笑みを浮かべるヨーシキワーカ。掴みは中々ものだった。
『……』
怪しむ様子のクレメンティーナ。
大きく出たわね、この人ときたら。
目の前の紳士ぶったその人は、いい笑みを浮かべたものだわ。
『……』
なるほどな……。スバルやイチハさん達を通しての情報通りだ。
目の前の気娘は、まだ高校生時代の事もあり、大学生になっても、そうした事が抜け切れていなかった……。
まだまだ垢が抜けない少女に思える。
これは先達者として、少しアドバイスしていかないとな。
ニッ
と笑みを浮かべるヨーシキワーカ(私)。こう紳士ぶって、彼女との応対を心掛ける。
『……レディーファーストですか……。……では、私がここに着た目的から……』
『……』
『情報です!』
『……情報……!?』
『ええ、私は情報を求めて、ここに着たのです。さすがにこれは、大人の社会の守秘義務もあり、深くは話せませんね』
『フ~ン……』
『次はあなたの番です』
『えっ!? あたしの番!? ちょっと早くない!?』
『フフッ、できのいい返事を期待してますよ?』
『そうねぇ……』
あたしの脳裏に過ったのは、彼、スプリングとの会話だったわ。
それはここを意味していた、今、この場に彼はいない。
『……あたしも用があって、ここに着たわ。あなたと同じ、情報を求めてね』
『フフッ、では私たちは似た者同士ということで』
『……そうね……』
【――こうして私は、彼女との心の距離感を歩み寄った。初戦としては上々だ】
『……』
『……』
【睨み合いを利かせてくるクレメンティーナ】
【のほほんと何でもない様子で接する、自然体のヨーシキワーカ】
【互いの名を交換する流れは、極々、自然の流れだったわ――】
『……クレメンティーナよ』
『!』
『あなたは……!?』
『フッ……』
わたしはあっちへ顔を向ける。そこには守護霊の彼女がいた。
その後ろには、バーテンダーさんがいて、奥に見えるワイングラスとたくさんのワインを見て、こう呟きを零す。
『――トラピストーー』
その名が、この世界に広がり、満ちていき、自然と溶け込んでいくのだった。
にっこり顔の顔を浮かべる守護霊(彼女)がいた。
『トラピスト……?』
『ええ』
『………………』





☆彡
【トラピスト=ヨーシキワーカの偽名!?】
――過去から現在に戻り、クリスティさんはこう語る。
「――トラピスト……ヨーシキワーカさんの偽名の1つよ!」
「!?」
これに強く反応示したのは、質問を投げかけたシャルロットさんだったわ。
「……」
でもあっちを向いて黙る。
「……?」
いったい何事だろうか?
そこへ、ミノルさんが、こう声をかけてきて。
「トラピスト……? 変な名前だなぁ……?」
「うん……」
これには、妻アヤネさんも頷き得るほどだった。
とそこへ、エメラルティさんが。
「一応、ヨーシキワーカさんの偽名はねぇ」
偽名と反応を覚える僕達、あたし達、私達。
「約20種類ぐらいあってね。
男性名義は、良くゲームで使っていたランディ。
次いで、女性名義は、ゲームで使っていたハルカ、ヒカリ、ユキ。
そして、仮初の名前のトラピスト! 計5種類ぐらいは、ハッキングしていた連中に知られてしまったわけよ!」
(((((……ゲームって、なんともしょうもない……)))))
しょうもなさ過ぎる……ッ。
で、あっちの様子が気になっていたクリスティさんは――
「――そうね……」
「!」
クリスティさん(彼女)に振り返っていく一同の姿。
彼女は、こう言の葉を零す。
「一応、酒の名前に、そーゆうのがあるらしいけど、トラピスト修道院が作ったものだとされているわ」
「修道院!? 何でまた!?」
「えーと……ここにお酒に詳しい人……いる?」
フルフル
と首を振るう一同。
これには困るクリスティさん。
「あちゃ~~……こうなるかぁ……」
誰も知らないんだからもうッ。
「ってことでよろしくクリスティ!!」
「ハァ……あたしも詳しくはないのよぉ~……!?」
もう勘弁して~~ぇ……あたし、説明キャラじゃないのにぃ……。
「……」
僕は、そんなクリスティさんの様子を見ていた。
どうやら、お酒に関しては、あまり詳しくはないらしい……。
普通、一般常識的に考えてそうだからだ。
彼女は、あくまで医者なのだから。
一応、アルコール、エタノール、焼酎も、消毒の意味では、お酒に近い性質はあるんだけどね……。
「簡単にわかりやすく言うとね……。
キリスト教の中には、修道院内でビールを作っているところがあるのよ!
幻のビールって言われててね……それだけ珍しいって事よ!?
これはキリスト教にとって、ワイン=キリストの血。
そして、パン=キリストの肉と考えられているの。
だから、キリスト教信者にとって、パンを食べ、ワインを飲むことをすなわち、『聖体拝領』(せいたいはいりょう)という、神聖な儀式を指すのよ!
つまり、元々を質していけば、『儀式用の神聖なお酒』だったわけよ!』
『儀式用のお酒――ッ!?』
『そうよ!!
……まぁ今では、収益源の1つに数えられているわね……フ~ムゥ……。
その設備上の維持管理、修道院経営と。
多くの信者たちのフレコミによる、慈善活動にのみ使われているわ。
あっ……と! 良く勘違いされてるようだけど、お金の営利目的じゃなくて。
修道士たちが、断食中に栄養を採れる様に、本当に栄養価が高いもので作られているそうよ!?』
とここで恵アヤネさんが。
『日本の『養命酒』みたいなものかしら?』
『う~ん……それは薬膳酒であって、薬効効果のある品目が主でしょ?』
『……』
『少し、違うと思うわね……原材料がそもそも違うもの。こっちではワイン種のブドウと、麦酒のポップと、ハーブが使われているもの……』
『品目が、そもそも違うということね……』
コクリ
『……』
と頷き得るクリスティさんがいたのだった。


★彡
【人探し、ルート依頼にともなう協力関係の結びつき】
――ヨーシキワーカ(トラピスト)は、こう言の葉を零す。
『――それが私の名前の由来です』
それに対し、クレメンティーナは、
『変な名前の人ね……』
と単直に思ったものだわ。
『……』
『……』
視線を交わし合うトラピストにクレメンティーナ。
互いの腹のうちを探り合う。
(この話題には、あえて触れないで置く方が……。……うん、賢慮だわ)
なんとなく察してくれるクレメンティーナさん。お優しい。
『……』
仮にこれを、アントラローダイトに振ったら、
リューコの線も有り、なんとなくそうした名前になりそうな気がしたからだ。
それは何となく痛い……ッ。
『……あなたは?』
『そうね……あたしは、人探しよ……』
『人探し……』
『ええ、今付き合っている彼、医療関係の彼にちょっと頼まれてね』
(医療関係……)
それがポイントか。
『なるほどルートの依頼にともなう協力関係の結びつきですか……!?』
『鋭いわね……』
『フッ……』
やはり、当たりか。


★彡
一方、トヨボシサイドでは。
【――そうだ。あなたは、ここには何しに来たのですか?』
それはアストル選手からの質問だった。
『!』
『……そのヨーシキワーカさんがメインではないのでしょう?』
『ああ、ある彼女の行方を追っている……!』
『彼女?』
『……名前は明かせないが……大きな組織がバックに付いている……とだけ言っておきましょうか?』
『なるほど……。……それなら、山のように数えられますね……!?』
『……まぁ、だろうなぁ……』
トヨボシ選手(俺)はその心の内では、
(そうなるなぁ……とは思ってたんだ……)
それが実直な感想だ。
俺は、アストル選手から視線を切り、店内を見渡して、彼女を探す。
『………………』
だが、まだここには着ていないようだ。彼女の気配もない……。
一応、クリスティさん……いや、この時代では、クレメンティーナさんはいるが……。まだドイツ人の彼女は着ていないようだ……。
『誰かお探しで……!?』
『!』
勘がいいなぁ、さすがに……。まぁ、俺から話を振ったんだが……。
『……』
さあ、どうするか……。
『あぁ……まだ着ていないようだ……!』
彼女が来るまで待つか。
『……何やら訳ありで?』
『そう、察してくれると助かる……』
『フッ……』
(やはり、訳ありか……)
紳士服の男(私)はそう睨んだ。
『……では、その彼女と思しき人が、ここへ来るまでの間、話の合間に、そのヨーシキワーカさんの話でも続けましょうか?』
『!』
それは、是非もない反応が返ってきたものだった。これにはトヨボシ選手(俺)としても。
『……そうだな……こちらとしても、そうしてくれると助かる!』
『フッ……』
やはり、そのヨーシキワーカ絡みか……。あの人(奴)は、強いからな。
その時のトヨボシ選手(俺)の心の内は――
(――先ずは、御兄さんの無実の罪を晴らしていかないとな……。後々、身内同士で諍(いさか)いの原因にもなるし……!?)
そうしたトラブルの原因となるものを、身内ないに持ち込むのは、俺としても気が引けるからだ。
イチハさんは、大丈夫だって言うだろうけれど、いつまでも、あの人に甘えてばかりもいられない……。
(彼女にこれ以上、迷惑をかけるわけにもいかないし……あの人は、大丈夫だって言うけれど……)
『……』
先々まで考えていけば、大いに不安材料しかない。
御兄さんの力を借りられば、強力なカードにもなるが、同時に自分達を殺めるような危険性も孕んでくるわけで。
脳裏に浮かんだのは、諸刃の剣のイメージだった。
(……だが! ここでそうした情報を拾えるなら、こっちとしても儲けものだ! 虎穴に入らずんば虎子を得ずというしな!)
その様子を俯瞰している女性がいた。
それは、イチハさんだった。
『……』
(そんな事を考えているんでしょう? スバル君。フフッ、つくづく甘い子やね? でも、木乃伊取りが木乃伊になってしまえば、本末転倒ものやよ……!?)
イチハ(うち)は、それだけを危惧して、胸のうちに不安を抱え込むのやった。
そして、アストル選手が。
『フフッ、話のウマが合いますね!? ……では次に何を……?』
『そうだなぁ……『人の噂』やその『ドクターイリヤマ達の黒い噂』はないか?』
『あぁそれなら存じてますね!』
『話してくれ!』
『いいですとも!』


★彡
おまけ
ステンレスのトレイを片手に持ち、注文客にお酒を届けるバニーガールのお姉さんがいたのだった。
そこへ、後ろからこんな声がかかってきた。
「あ――っ! そこのバニーガールのお姉さん!」
「!」
声をかけられた事で、振り返るバニーガールの彼女。
声をかけてきたのは、ヨーシキワーカ(変装中のトラピスト)だった。
「は~い! 何でしょうか!?」
「ちょっと審判を買ってくれる?」
「は……?」
「ちょっとゲームしない? クレメンティーナさん?」
「……」
クレメンティーナ(あたし)は、トラピストさんにゲームの話を持ち掛けられるのだった。


TO BE CONTINUD……

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