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第3章の第93話 どうしようもない問題20



☆彡
【どうしようもない問題の原点回帰】
シュイーン、シュイーン、ピーポーピーポー
夜の摩天楼の下、何台もの空を駆ける車が行き交っていた。
その時、実に不思議な事に、救急車が数台列になって、駆けていくのだった。数台という不可解なほどの……。
――エメラルティさんは、人差し指を顎の下に当てつつ、何事考えている様子だった。
「――う~ん……クリスティ……」
「んっ!?」
「これ、どうしようもない問題だよね!?」
「う~ん……確かにそうね!」
「原点回帰するために、今まで話した内容の中には、その職業訓練校の中で見聞きしたことが含まれるのよ!
あくまで、その職業訓練校の修了日のことがね!」
「………………」
さも、当たり前に戻るのだった。
とそこへ、毒舌口調のサファイアリーさんが。
「あのさ、1つ忘れてない!?」
「……」
「スバル君(この子)が言い出したのは、あくまでポイントであって、まだ、カジノの話が、『途中経過』だったわよね!? あなた達!」
「……」「……」
そう妹のサファイアリーに言われて、
クリスティさん(あたし)は、掌の上にポンと叩いて、あの話の続きを話すのだった。
それは、原点回帰するために、さも必要な事だったのかもしれない。
そして、今、少年は――


☆彡
【話の輪から外れ、疎外感を覚えるスバル君】
【その話に興味の関心事を秘め、その足で向かってアユミちゃん】
【話の輪を外れたエメラルティさん】
【話の中心の中にいるクリスティさん】
「――……」
――僕の元を離れて、アユミちゃんは、向こうの人達の所へ行っていたのだった。
僕はもの悲しくなり、その場に居座る形だったんだ。
そして、そんな僕の様子に気がついたのは、あの小説の愛読者エメラルティさんだったんだ。
「! ……フッ」
彼女はその顔を上げて、なんとなしに僕に近づいていく。
そして、そんな様子に気がついた人物が、もう1人いて、それはクリスティさんだった。
この時、アユミちゃんはまだ気がついていない。
さっき行ったばかりだからだ。
「……どうしたのぉ僕」
「……」
エメラルティさんは、そんな僕に対して、そう優しい言葉をかけてくれたんだ。
僕はその顔を上げる……と。
クリスティさんも、僕の様子に気づき、それとなく、その視線を向けていたんだ。
まぁ、他の人達の視線を浴びていたからだ。
つまりは、その話の中の中心人物だったんだ。
「……お姉さんがなんでも話に乗るわよ? ん~? どうしたのかな僕ぅ」
「………………」
僕は言おうか迷いつつ、何を出だしたらよいものかもわからずにいたんだ。
だから、その顔をあっちに向いて、下げてしまう。
フッ……
彼女はほくそ笑み、こう言ったんだ。
「まるでそうね。話の中に聞いていたヨーシキワーカさんの小さい頃のようね……僕ぅ」
「え……?」
僕はその顔を上げたんだ。
そして、こう思ってしまう。
(もしかして……あの人も、だったの……!?)
「う~ん……その感じひょっとして……ははぁん、そーゆう事ぉ」
彼女はなんとなしか、そーゆう気配がわかり、接してくるのだった。
「神様は、その人の様子を見ていて、その人に最も適した能力をお与えになるわ」
「神様……?」
「ええ、神様……!」
そして、彼女はこうも言ったんだ。
「人は生きるために、何らかの学習をする生き物なの」
「生きるために……」
「そうよ。それは危険を遠ざけたり。
または危険に立ち向かっていくような人もいて。
中には様子を観察見ぃ、動向を見守る人達もいる」
「……」
「人はね。だいたい3種類に分類されるような生き物なのよ!
それぞれ、自己防衛のための護り!
敵と果敢に立ち向かって、仲間と喜びを分かち合う攻撃性!
そして、後方支援に務めるようなサポーターたちね!
この関係性は、切っても切れないところがあるのよ! 護り・攻撃・補助! だいたいがこのグループに属するのよ!」
「……」
それは、まるでゲームのような話だったんだ。
僕の好きな関心事の。
フッ……
彼女は微笑みながら、こう口ずさんだんだ。
「やっぱり似てる……」
「……」
「君は、『護り』が得意な方なんだと思うわ」
「護り……」
「ええ、それは自己防衛の為であって、最も、生存率が高いことを現わしているの! 戦場じゃ、最も重要なポジションなのよ!
そーゆう人達は決まって、仲間の為に体を張れるような人よ!
守護者(ガーディアン)みたいなものね! それとも聖なる騎士(パラディン)かしらね!? フフフ」
「聖なる騎士(パラディン)……」
「ええ、それは王様の眼前に立ちはだかり、如何なることがあっても、護り抜くことを現わす。
それは比すれば、国存続のために、その脅威の前に立ちはだかる人の事よ。
傷だらけの人生を負った人が、最後に辿り着く姿ね」
「……女の人の場合は?」
「そうねぇ……う~ん……あたしが思うに、一番健気だったのは、他ならない、守護霊の彼女さんなんだと思うわ」
「……」
「だって、彼女は死後、賢明に健気になってまで、あの人に尽くしてくれたんだもの。
ハッキングという危機に晒されても、それを護ろうとしていた。
2人の愛の結晶だから……子供みたいなものよ?
だから、切っても切れないのよ、あの人達の糸は――」
一拍の静寂の間が流れて――
少年の口角が段々と持ち上がっていき、それは日華草のような笑みを浮かべるのだった。

(男の人は太陽に……女の人はお月様……そして、その子供は大地に芽吹く華のように――)
スバル君は日華草、アユミちゃんは月華草、それは地球が残した希望の芽のようだった。
「まるで君みたいな人を、言ってるのかしらね?」
「――もっと聞きたいな! その話!」
「フッ、いいわよ!」


★彡
【カジノ】
『……最後に勝利の女神が微笑んだのは、……スバルだったようだな……』
『……』
【それは映画の結末を語る一部始終を物語るものだった――】
『賭け事(アンティールール)だ! 教えてくれ……そのタカハシ先生の話を……!』
『………………』

【アストル選手は、そう、語り継ぐ】
【それを見聞きするトヨボシ選手にイチハさん達に観衆たち】
「……」「……」「……」
【それは、その職業訓練校の修了日に起きた出来事だったという――】
「――私は、そう聞いている」
「……」
【――アストル選手は、そう、物語ってくれたのだった】
【それは、あの時、あの場にいた生徒達やその講師たち】
【もしくは卒業していった修了生達や、そのその外の世界で関わった人達の見解と認識による話しぶりだったんだ――】
「……」
「……?」
その顔を下げるアストル選手。
俺は、何だと思ったんだ。
その人が顔を上げると、こう続けて、語りかけてきたんだ。
『そしてこれは、お節介な話だが……。私が聴いたところによれば、あれは、まだ、そのハーバード大学姉妹校の職業訓練校ができたばかりの頃だ』
『できたばかりの頃……』
『あぁ、そうだ』
『あの年は、『リーマンショックの再来とも呼ばれた年』だった――』

【リーマンショック】
【それは例えるんならば、2008年9月15日に起きた世界経済の株価暴落、金融不安(危機)の事だ】
【その発祥はアメリカであり、アメリカの有力投資銀行であるリーマンブラザーズが破綻し】
【それを契機として、広がった世界的な株価下落、金融不安(危機)、同時不況を総称するものだ】
【その負債額は、総額6000億ドル(約64兆円)という空前の破綻を招いたものだ】
【リーマンブラザーズ社の破綻は、連鎖的に大手金融機関の経営危機を招き、世界的な金融危機を加速化させるに至ったのだった――】

『――だが、その株価暴落で損をするものがいれば、得する者がいて』
『その株を買い買い漁ったものも、またいる!』
『……君は、その株取引で、勝つためには何%保有すればいいか知ってるか!?』
『100%中51%なんだろ!」
『正解だ!』
フッ……
と私は笑みを深める。
『その時の下落率は、過去最高のドル高だったと聞く!』
『ドル高か……』

【2008年のリーマンショック、その日本での影響は!?】
【1ドル100円台を下回り、その後も円高が止まらず、2011年10月31日に一時75.58円を記録している】
【それは世界経済的に見ても、最悪の衝撃とも言われており、巨額破綻が招いた結果だった……】

『当然、その煽りは世界中で起きて、世界恐慌になった訳だ……! その時、その土地を買い漁った訳だ。……その職業訓練校が!!』
『!!』
驚くべき事態が発覚したのだった。
『よくよく考えてもみろ!? あれだけの敷地面積がある土地が、普通にあるか――ッ!?』
『……』
『ポーンと街中の一角に、そう都合良く……!!
……あの学校には、いくつもの複合設備が整っていて、それだけの敷地面積が必要だったんだ。……つまり、立ち退きだ!』
『……』
『その後、あのハーバード大学姉妹校の職業訓練校が創立したんだ!』
『……』
それが誕生の経緯だった。

――そして、その話を、クリスティさんが、聞き耳を立てていて、偶然にも聞いていたのだった。
「……」
「……」
そして、もう1人、ヨーシキワーカも。
その心の内では。
(何だこの、心の中に沸き立つような言い知れない不安は……!?)

アストル選手は、何食わぬ顔をして、こう語り継いでいた。
『その話に台頭していたのが、まだ若かった時代のイリヤマ氏だ! なんでも当時は、設備管理科関係の水関連の資格で、そうそう、配管技能士だったハズだ』
『配管技能士……水関連か……』
『当然、悪い連中も多く、電話で取り次いで周るなどして、その身内関係から、外から圧制を仕掛けていたわけだ! ……なぜだかわかるか!?』
『……』


☆彡
過去から現在に返り、クリスティさんは、こう語るのだった。
「――はーい! ここで注意点が1つ! 『人を騙す』ためには、どうしたら良いでしょうか!?」
「うえっ!? いきなり!?」
それに驚きを買ったのは、スバル君だった。
彼女は、こう続けるのだった。
「うん! 大事な処だからね! この時、この時点で、決して、その事には誰もが、気づかなかったと記載(ある)わ!」
「気づかなかった……!?」
「ええ、そうよ! 誰も気づかなかったの!
そのトヨボシ選手も! イチハさんも! アサヒさんも! サクヤさんも! ヨーシキワーカさんも! そして、その場にいたあたしも含めてね!
みんながみんな、その時のアストル選手の術中にかかっていたからよ!
もちろん、何も真実は報されていなかったアストル選手も含めてね……!」
「どーゆう事!?」
「真実を報せられていない!? その人も!?」
「ええ、そうよアユミちゃん! 『間違った情報を寄こされたある種の情報屋』だからね! だから、『その人も騙されていた』の!」
「……」

【――スバル君が、アユミちゃんが、そして皆が、その驚きを買うのだった】
【もちろん、シャルロットさんもアンドロメダ王女様も】
「……」
「……クッ」
【その王女様は、もしや……と勘繰り初め、その厳しい視線をクリスティさんに注力するのだった】
【まるで、聞き逃さない、とばかりに】
【その情報屋すら、間違えらた情報を誤って運び、自分も含め、みんなを騙していたからだ】
【アンドロメダ王女様の関心は、まさしくここにあった――】
(もしや……わらわがやったのは……!?)
その解に至るのだった。

そのまま、クリスティさんが、こう言の葉を宣告する。
「ヨーシキワーカさんの時にも、それとなく弟君から、そうした事があったみたいだけど……。要点がつかめず、訳の分からない説明だったそうよ。
確か、こんな感じだったかしらね……!?」
『リーマンショックって知ってるー!?』
『何でも、10年ぐらいを目途に、そーゆう事がさあってさ』
『世界経済事情を狂わせたような事があって、世界中の金融危機によって、世界恐慌が起きてた年があるんだよ』
『リーマンショックの再来とも言ってお(?)いてね』
『簡単な話で言えば、紙のトイレットペーパーを1つ買うのかさえ、家庭事情に置いて、重く負担にのしかかってきて』
『それを擦る紙おむつ(?)の製作所でさえ、世界から輸入したりなんかしちゃって、こう店頭に並んでいくんだけども』
『その時、店頭でも商品の売れ残りが事情があって、余るほどのものだったんだよ!』
――その弟君のセリフの中の言い回しを見る限り、
守護霊の彼女の読みの中では、その情報ソースの誤りを持ってきたのは、ミシマさん達繋がりであって。
その当時、息子さんか誰かが紙おむつの中を、履き替えて、
ジメジメしてて嫌な気持ちだったから……それを思い出してて、それとなく弟さん達に告げ口してたんだと思いたいわ!
多分きっと、奥さんの方に任せきりで、
父親のミシマさんも、嫌気が差していたんだと思うわ……で、家庭を放り出して、仕事や問題に没頭してた……と!」
「……」
その話ぶりを聞くスバル君たち。
そこへ王女様が。
「どこかで、その者の私情が絡んできおったのか……!?」
「ですね……人という組織が多いほど、その中には時に間違いや誤解が生じやすいですから……それが組織です」
「……」

【――僕は、そんな王女様とシャルロットさんの話に、聞き耳を立てていたんだ】
【そして、その弟君の後ろにいたのは、ほぼ間違いなくミシマさん達繋がりであって、その間違った情報ソースの元を持ち込まれていた事になる……】
【全員が全員、騙された訳だ……】
「……」
【そして、スバル(僕)はこう思うんだ……。その守護霊の彼女の読みもまた恐い……と――】

そこへ、その小説の愛読者エメラルティさんが。
「まぁ、あの人の話す真実の物語では、
そのリーマンショックの再来があった年、ちょうどニンテンドーのTVゲームの大乱闘スマッシュブラザーズが発売されていた年でもあって、
その日の職業訓練校のオープンカレッジに、その足を運んでいた事があるの。
受けようとしていたのは、ボイラー課、金属加工課のどちらかのカリキュラムだったそうよ!
で、面接も受けれずに、門前払いにされてたそう……。
1年以上の何かしらの仕事についていなければ、そもそも、本校の定めるカリキュラムを受けられないとね。
その日の前日の夜、お好み焼きとか食べて、精をつけてから、その学校の門を叩きなさいと、お父さんが言っていたらしいからね!?
恥ずかしいらしいけど、現実(リアルティ)のあった話な訳よ!」
【――とここで、まるでワザとらしく、クリスティさん(イタズラ好きな黒猫ちゃん)が、意地悪な笑みを浮かべて――】
「にゃお~ん♪」
「!?」
「注意しなきゃ危ないにゃ~! にゃおん~♪」
「……」
【とまるで可愛らしくあり、注意喚起を促すようにして】
【そーゆう間違いを犯さないための暗示を、逆に歯止めをかけるようにして、刷り込ませるのだった】
【……まるで、何も知らない子供たちの危険回避のように――】
そこへ、サファイアリーさんが。
「この黒猫が……!」
その様子を黙った様子で伺うは、少年少女スバル君とアユミちゃんの姿。
「……」「……」
そこへミノルさんが、こう言ってきたんだ。
「……なるほどなぁ……そうやって、『話を結び付けてきた』わけですかぁ」
「! 話を……」
「結び付けてくる……!?
アユミちゃんが僕が、その言葉の呟きを落とすのだった。
「!」
ミノルさんは、僕たちの方に振り返り、こう言うのだった。
「ああ、そうか! ……君達はよくわからないんだね!?」
「……」「……」
あたしとスバル君は、小さく頷いたの。
ミノルさんは、こう言ってきたんだけども、しどろもどろで、何とも頼りなさそうで。
「う~ん……う~ん……何て言ったものかな……!? アメリカの事はようわからん」
それが当たり前だった。
そこで、仕方なくエメラルティさんが。
「……そうですね。アメリカで起った事ですから、日本人のあなた方では、良くわかりませんよね?」
「……頼めますかな?」
「ええ、もちろん!」
ニコリ
と花のような笑みを咲かせるエメラルティさん。可愛らしくもあった。
彼女はこう語る。
「その年に、その職業訓練校が、既に設立されていて、
ちょうどたまたま、その時期に『リーマンショックの再来』が起こった場合は!?
そして、その2年前、
たまたま、ハーバードカレッジ(4年制大学)とハーバードセンター(半月)が、
その州の譲渡について、誤った報告書が提出された年だった場合は!?
そして付け加えて、その1年以上前、その土地を買い漁るための何らかの動きがあっていた場合は!?」
「……」
その話を聴く僕達、あたし達、私達。
時系列にすると、だいたいこんな感じだ。
・リーマンショックの再来、職業訓練校オープン年。
・その2年前、元あった株式会社や民家を、行政からの勧告指令を出して、強制立ち退きさせる。
・それ以前に、犯人当てゲームかどうしようもない問題による騙しの騒ぎがあっていた……可能性がある。
そして、この時、彼女は語らなかったが……。
忘れてはならないのがあって、カレッジとセンターの言葉の意味の違いについてだ。
カレッジは4年大学を指し、センターは半月の職業訓練校である。
これは都道府県によって、その時に建てられたとき、誤って呼称づけられた名前である。
つまり、行政手続き上、間違った名前をつけたことになる。
例えば、独立行政法人 職業能力技能開発センター ポリテクカレッジ長崎がこれにあたり、
2006年から2008年の竣工工事を終えて、その年にオープンしたばかりの時、ポリテクカレッジ長崎だった……と思う。
そして、どこかの銀行を駆けずり回り、借金までして、建てたはいいが……。
そのお金を回収する必要が、あったという訳だ。
その為の手段が、どうしようもない問題、特殊集団詐欺事件の発端である。

「良くこの手で、案外と騙されていた人達の数が多くて、名誉棄損だとばかりに訴えられて、逆に返り討ちにあっていたぐらいだからよ!?
『ワザと引っかけの間違い』になるようにして、誘ってきたんだと思うわ……そのアストル選手さんは!」
「……」「……」
これにはスバル君もアユミちゃんも、何も言えなくなり、簡単に騙されたのだった。
「要は、そーゆ訳さ!」
「うん!」
とミノルさんが、エメラルティさんが、そう相槌を打つのだった。
その様子を、奥さんのアヤネさんが見ていて、こう感心の意を示すのだった。
「なるほどねぇ……これは、その職業訓練校の創立日がわからない限り、知らんぷりが大正解だった訳だ!
その証拠の品もきっと向こうの人達も、前もって押さえていて、その職業訓練校の竣工日を控えたものを、見せればいいわけ……!
反対にあっち側は、グウの音も出なくなって、逆に返り討ちに合う……という筋書きになる訳ね!」
「「ああっ!」」
ポンッ
と掌の上に拳の腹を叩いて、その関心の音を出したのは、アユミちゃんだったんだ。
「要はそーゆう事!」


★彡
【カジノ】
【当然、悪い連中も多く、電話で取り次いで周るなどして、その身内関係から、外から圧制を仕掛けていた】
【株の証券は100%といってもきっかり100枚ではなく、103枚や107枚の場合もある】
【株式会社を立てた親が、子に残した親権分野】
――アストル選手は、こう語り部を続けるのだった。
『――当然、悪い連中も多く、電話で取り次いで周るなどして、その身内関係から、外から圧制を仕掛けていたわけだ! ……なぜだかわかるか!?』
『……』
『――それはな……。
その株取引の証券とは、100%といいつつも、きっかりとした100枚ではなく! 103枚や107枚あったりする場合があるからだ!!
その為、決して、表の市場には出回っていない可能性(もの)もあり、
どこかの誰かが、それを隠し持っているのかもしれない……!!
丁度親が、お世話になったあの人に、ちょうどせめてもの贈答品の品だとばかりに、それとなくそれを贈る。
当時はそこまではないが……時代や年数が経る度に変動していき、その株の資産価値が段々と大きくなっていく!
そして、どうしようもない問題が起こり、
その親の子供が、何だか大変な事態になる……!
そこへ絡んできたのが、当時、まだ若かったイリヤマ氏達だ。
まぁ、結構後ろの方に控えていて、影のような存在だったと聞く、台頭してくるのは、まだ後の話だ!』
トヨボシ選手(俺)は、その話を聴き、こう読み解ていく。
『なるほど……それが人の噂話、集団で束になって、見ず知らずの赤の他人(その人)を、攻撃してたんだな!?』
『ああ、そうだ……!
あいつは、それを頑として効かず、周りの意見を伺いつつ、電話で取り次いで周り、
偽電話詐欺の要領で、強迫や恫喝を繰り返していたという。
なんの確認も取らなくてな……。その事実の証拠を何も確かめもせずに……!』
『……』
(間違いが起きていた訳か……。いや、違うな、周りからの声で誘発されたんだ。
周りの人達からの話を聴いて、それが、多数決の意に買っていく話になる訳なんだな……。
どこかで、ウソの間違いが吹き込まれていたとも、知らずに……。
それが、ミシマさんのような人か……? ヨシュディアエさんのような人か……?
金周りのいい話になるようにして、そう仕込んでいく訳か……。
だから、他の人達やその人の教え子達も、似たような共謀を担がられたわけか……。
ハッ! まるで飴と鞭だな……!
たった1人だけ弱るなら、その人を痛めつけて、面白おかしくなって、飴(金)をもらう代わりに、代わって、虐めてたようなもんだ。
御大層なもんだな、そのイリヤマって奴等は……! どこかのサル山の大将のようだ……。気に入らない、そのまま、ふんぞり返ってろよ……!?)
トヨボシ選手(俺)は、そう察するのだった。
アストル選手は、こうも言っていた。
『そして、何だか困った事態になり、その子は、その株の親権分野の話を聴きつけて、そこへお願いしに行ったわけだ』
(泣きついてくるわけだな……そこへ、誰かがタレコミを流していた訳か……!?)
フッ……
トヨボシ選手(俺)は、その話をぶり聴き、薄ら寒くもなり、混同したような軽薄な笑みを浮かべるのだった。
『そして、裏からの攻撃に会い、その親権分野の株の話が、その人達に横取りされてしまった……と!?』
フッ……
とアストル選手(わたし)は、笑みを深め。
『……正解だ!』
と言い渡したのだった。

――そこへイチハさんが。
『――つまり、こーゆう事ですか!?』
『!』
『その後になって台頭してくるのが、そのイリヤマ氏達であって、その手柄を立てたから、優秀な男として扱われた!?
そのタカハシ先生は、その事は詳しくは知らなくて、『その優秀な男』としては、周りからの意見が飛んでいたから知っていただけ……と!?』
それに対し、アストル選手は、こう答えるのだった。
『……ああ、私も話を聴く限りでは、そうである可能性がある……という事だけだ!
元々、あそこの周辺には、小さな古民家と小資本のいくつかの会社があって、株式だったからな!
そこについでに中々の土地があったから、横からちょっとばかりきて、分けてもらったわけだ!』
『……』
その話を聴き、戦慄が走り抜け、同様しかない。
そこへ、アサヒさんが。
『株式会社か……! ……それだけ聞ければ、充分だ! ……おい、どうしたトヨボシ!?』
それは、未来のスバル(トヨボシ)が何事かを考えている姿だった。
『いや……なんか……頭の片隅に引っかかってるものがあって、こう、もう少しで思い出しそうなんだがな……あれ、何だったっけなぁ……!?』
『フッ、時期に思い出すわよ!』
『……うん』
そう、サクヤさんが元気づけるのだった。
そして――
『――だが、その土地から元居た住人を立ち退きさせて、そこに新たに、ハーバード大学姉妹校の職業訓練校を建てたまではいいが……。
その学校を創る以上、どこかの銀行などに頭を下げて回り、駆けずり回り、借金までして建てたわけだ!
とんでもないほどの金策だぞ!?
さあ、それをどうやって工面してまで、取り戻す!? 回収しようというのか……!?』
そこへ、振り返りざまのサクヤさんが。
『……まさか、それがどうしようもない問題……!?』
『フッ……正解だ! 頭がいいな!』
『……』
驚きしかない……。


★彡
【ヨーシキワーカの高校生時代の話、そこのありがたい理事長先生の講談もあって、今回は助かりました】
【――これは実際にあった話だけど、そのヨーシキワーカさんの高校生時代の高校も、
その学校を建てる際、方々のどこかの銀行に頭を下げて回り、借金までして、その学校を建てたわけよ!
そこの理事長は、こう自慢気に語っていたわ――】
『――あぁ、今この場にいる諸君等に、本校で起った問題行動についてだが……!
これは実際に、前にあった話だ。良ーく聞くように』
ザワザワ
とちょっとしたざわめきが起こる。
その時、女性教師の叱責に声が飛ぶのだった。その指を、高校生たちに指して。
『静かにッ!! そこっ!! 見てますからね!!』
『……』
『どうぞ! 理事長』
『フッ』
中々、優秀な女性教師を持ったものだった。
私は、諸君等にこう告げる。
『――もしも、自分が建てた学校になんか文句があり、学校の中の備品を壊した者がいたら、
うちの方も、その喧嘩を買ってやるんだからな!?
私の方には、今、皆さんの周りに見える先生方という頼もしい人達がいて、その人達が周りにかけて周っていけば、
すぐにでも、それをやった人物も容易に特定できるんだからな!?
おいっ、逃げるだなんて思うなよ!?
お前が逃げている間に、その家の窓から、火元なんかを投げ込んでやるんだからな!
その窓も、叩き割って……な!
ならばもう、そこへ出てくるしかないじゃないか!? ………………』
その強面の顔を、しきりに左右に動かして、その高校生たちの反応をつぶさに見ていく。
その中で、特に怪しい人物を見ていく。
そして、フッ……と笑う。
『こんな事は、実際に前にも会った事なんだからな!?』
腕時計型携帯端末(フューチャーウォッチ)に、そう語りかける。
その体育館に備え付けられた拡声器(アンプ)により、その声が大きく拡張するのだった。
ドスを利かせる理事長。
『そこで、どこかの工場などからクレーン車などを借りてきて、
そこの家の外壁等を、こっちから取り壊してやるんだからな!!
おいっ、聞いているかそこのお前!! ……こっちは見てるんだからな……!!』
『……』
その生徒は、左右やその周りの高校生たちと談笑していて、その理事長の話を、まともに聞いていなかった。
その理事長はこう言ったんだ。
『……ったく、何をヘラヘラと笑っているんだか……。ハァ……これは本校を卒業して、めでたく巣立っていくお前達の為にも言ってある事なんだからな!!』
『オイッ!! そこっ!! ちゃんと理事長の話を聴きなさい!! 後でお前達の教室へ行って、そこで注意してやるんだからな!!』
今度は、男性教師の方が、その注意に当たるのだった。
これには、ヨーシキワーカも。
(もうこれ、毎年恒例の恒例行事と化しているからな……。ハァ……1時間近くもここに閉じ込められていて、そろそろ、尻が痛い……)
こんな事はもう、この高校に3年間もいたのだから、3回も同じことを聞いている事だった。
『……後はまぁ、それをやった生徒さんがどんなにこっちの方に泣きついてきても無駄だぞッ!!
こっちとしてもそれを許してやれず、そのまま、その家の窓の外壁を取り壊してやるんだからな!!
そこで散々になった、自分が元居た住処が散々になった様を見て、せいぜいそこで首を垂れてろっ!!
それがお前がやった事への仕打ちだ!!
後はまぁ、壊れたうちの学校の備品と同額の金を払って、そこで終わりだ。
それ以上、続けるんってんならこっちとしても、その対応を取らせてもらうんだからな!? ……わかったかお前達!!」
『……』
『……』
『――よしっ! 今言った言葉は、ちゃんと自分ん家に帰ったら、その親にもキチンと話しておくんだぞ!?
自分達をここまで、育ててもらった、その親に感謝の気持ちを込めてな……!』
『………………』

ナレーションの語り手は、ヨーシキワーカ。
【――この時、私は深くは考えなかった……】
【もっと深くに考えておけば良かったと思う】
【……もしも仮に、会社や工場等の備品を壊した場合の話だった……】
【子供が、その責任を負いきれないなら、それは親の責任であり】
【周りの人達は、集団で束になって、あれこれ文句を言う。理不尽な時代だ】
【例えそれが見ず知らずの赤の他人であれ……】
【泣く泣くその親は、ご先祖様からの代の所縁のある大事な土地を質屋や担保に出し、結局は安く叩かられて、それ以上に持っていかれるという話だ】
【そうなる前の唯一無二の対処方法は、最低でも子供を2人作り、どちらかを活かし、どちらかを切り捨てて、絶縁状を叩きつけるしかないわけだ】
【私の場合は、それがミシマさんに関わった年であり、その人が、勝手に1人で動いたがために、結果的により多くの人が不幸に見舞われた訳だ――】
【――だから、今こそ語ろう。恥ずかしながら、当時の私の出来事を……】
【第2、第3の私のような不幸な目に会う人達をできるだけ、防ぎたいから】
【それは、この世界中のどこの国地域でもありふれていて】
【そーゆう、非日常な目に会うのを、できるだけ、避けたい狙いがあったのだから……――】


★彡
【『月見エビバーガ―オーロラソース社』Tsukimi Shrimp Burger Aorora Sauce Company(ツキミ シュリンプ バーガー オーロラ ソース カンパニー)』】
その時の面接官は、2人か3人だった。どちらも男性の方だった。
そして、対面にいるのは、ヨーシキワーカ(私)と、母(マム)と、ある施設の女性職員さんの方だった。
当時、2,3カ月間付き添って頂いた担当の女性職員の方だ。
随分昔の事なので、彼女の名前は憶えていない。
その当時の面接の怪しいやり取りの話だ。
『――こっちは、お前をその給料で雇うんだから、この会社を辞めていく際……。
もしも、あなたがうちの工場ものを壊した場合、耳を揃えてそれを払ってもらうんだからな!?
キッチリ元通りに戻してから、うちを辞めていくように……!!』
それが、うちの会社で働く上での社会人としての常識だかんな……!? ……で、どうなんだ!?』
『……』
『それでもいいんなら、こっちとしてもお前を、その給料で雇ってやる……どうなんだ!?』
『こっちは、そっちからの提示の話を、いくつか、こっちも譲歩していて、これだけの条件をこっち側でも吞んでんだ!?
まさか、ここで、今更、……引き下がろうだなんて夢にも思わないよな!? ……で、どうなんだアンタ!?』
『……』『……』『……』
黙る俺。
そこへ当時の女性職員さんが、うちの母が、こう進言してきたんだ。
不甲斐ない私に代わって……。
『ヨーシキワーカ君、辞めましょこんな会社!! とんだ期待外れだわ!! 何で今更になって、そんな脅し言葉をしてくるんだか……!!
最初はそっちの方も、それでいいって話を進めてたじゃないですか!?
職業安定所のヨシュディアエさん達を通して、こう進言して上げますからね!?
最初のうちは、こっちの方でも『正社員としての雇用上の話』を進めていたのに、
何も今更になって、それよりも『一番と低いなにもパートの話』だなんて……!!
いいとこ『丁稚奉公もいいところ』じゃないですか!!
『ヨッシーちゃん……まだ、他にも会社を探せば、ここ意外にももっと所があるんだから……! 何もここじゃなくてもいいんだから……ね!?』
そこへ、面接官の男性の方が、こう、心に揺さぶってきたんだ。
こう、世にも甘い言葉を投げかけつつ。
それは、心理状態を、上手く巧みに揺さぶり、こっちからの反応を買ってくる言葉だった……かに見える。
『君は、こんな女達の間で、ただ黙って、その後ろの方で、指をくわえているだけかい!?』
『……』
(ムッ……指はくわえてない……)
『その後ろで、ただジッと黙って、燻っているだけなのかい!?』
『……』
『こっちは、この2、3ヶ月間、君を研修目的制度の動きを見てきた身だ……!
そこで、うちの会社の人事部の者達と話し合った結果……、中々のものだった。その働きには、こっちとしても高く評価している』
そこへ、また別の面接官が。
『今、君のお家にいるお父さんのことを、こっちの方でも取り調べた結果、中々のものだった。中々のご実家に住んでいたのだね?』
(……?)
【――この時、私はこう思ってしまった……】
(何で、今家にいる父(ダット)の話が、こっちの方で出てくるんだ……!?)
【――と、そして……】
『……』『……』
【そこには何だか怪しい視線を投げかける母の姿と、ある施設の女性職員さんの姿があったんだ……――】

『で、こっちとしても、君をこんなにも高くついた金で雇い、これだけの(雀の涙ほどの最低賃金水準)お金を出している……どうなんだ!?
先ずもって、他のところではこんなにも出してくれるような、こんなにも良心的な会社は、まずもってないと思うが……!?』
『……そちらの担当の職員さんや君のお母さんからの意見もあるが……どうなんだ……!? それは男として……!?』
『!!』
『いっちょ前に、一人前の大人の男としてどうなんだ!? 自分の言葉でハッキリ言え!!』
『……ッ』
【――私は、この時、ただジッと黙っていただけだった。情けない臆病者だ】
【愚かにも思う……】
【信じていた私が、バカだったから……ッ!!】
『……ッ、もう止めましょこんな会社!! 何かあってからではもう遅いわ!!』
『……ッ』
(この2,3カ月間、ヨッシーちゃんのために、毎日、弁当を作って送り出してきたのに、まさか……こんなにヒドい会社に当たるだなんて……ッ!!)
『……ッ、わかり……ました……』
!?
驚き得る母と、ある施設の女性職員さん。そして……。
ニヤリ……
と悪い笑みを浮かべる面接官たち。
『よろしくお願いします……ッ』
『ああ、君ならば、そう快くハッキリとした自分の言葉で答えてくれると……こっちとしても大いに期待していたよ! なぁ!?』
『ああ、それは今、私たちがその言葉をハッキリとこの耳で、聴いたからな!?』
『ああ……。肝心なのは、『何事もこれからも安全である事』……。……これからも、長い事、当分の間、いつまでもよろしく頼むな!』
『……?』
【――ずいぶん昔の実話体験談だ。私は、あの日、会った事を想い出そうとしていたんだ】
【今、こんな目に会って……】
【今にして思えば、すべての始まりは、ここに『も』あったんだ――】
『――それと、ここに在籍してくれたあなたも、ハッキリとその耳で聴きましたかな!?』
『ええ……』
『ハハハ、何はともあれ、よろしく頼むな!! これから末永く……な!』
『さあ、誓いの、堅い握手を組み交わそうじゃないか!!  男同士の誓いの悪手(握手)だ!』
『……はい』
【――そして、私達はその場で立ち上がり】
スッ
『!』
と差し出されるその大きな手。
【私は、その差し出された悪手(握手)を求められたんだ】
【そして、その当時は、何も深くは考えずに、その差し出された手と握手を取り、向こうの意に買った話になってしまう】
【今にして思えば、まさしく、悪手、最悪だった……】
『ハハッ、これからもよろしく頼むな! ヨーシキワーカ君!』
ポンポン
【とその人は、まるで、こうなる事がわかっていたように、私の肩を軽く叩いてきたのだった】
【この当時の私は、実に浅はかで、愚か者だったかもしれない……――】
『――はい!』
バカとしか形容し難い……。
『うんうん……そちらにいるあなたも、この現場をはっきり見ましたな!?』
『ええ……』
『もう、こちらの子は、この会社の職員も同然の子です!
もしも、何かあった時、その際には、謹んでそちらにも、一報をお送りしますからな!? あそこの職業安定所の職員の人を通してでも……な!』
『???』
何で、その人達の名前が挙がるのだろう?
この当時の私には、懐疑的であり、まるで何もわかっていなかった……何も知らなかったから……。
『ささっ、ヨーシキワーカ君。
それから、お隣のお母さんと後ろに控えている女性職員(ひと)。ちょっとこの部屋からお暇しませんか!?』
『!』
それは、面接官の人からの一言だった。
ヨーシキワーカ(私)は、意識を切り替えるのだった。
で、別の面接官の方が。
『あぁ、この部屋は、ここにお越しになったあなた達以外にも使われる部屋で、綺麗にしていないといけないんだ。……『後でわかる』からな!?』
『?』
この時は、まるでさっぱりわからなかった。
『この部屋は、来賓却様の方が後で訪れて、その人達のために使われる部屋だからな!
ゴミ1つなく、今あるような奇麗な状態を保って、もし、仮に汚した状態では、我々会社側としても、格好の示しがつかないんだ!?
……『これはわかる』かな!?』
『……? はい』
嘆息す面接官の方々、その口を出た呟いた一言は。
……とても、小さな声だったのを覚えてる。ほとんど聞き取り難いほどのものだった。
『……ホントにわかってんのか? このお前……』
ガチャ
とその男性の面接官の方が、来賓却様用の応接室の出入り口のドアを開ける。
ここから、退出しなさい、という事だ。
着たときにも思ったが、この部屋も、この出入り家のドアも、それは立派な造りだったものだ。
『さあ、どうぞ、ここからお帰り下さい』
『はい、今日はどうも、貴重な面接の機会を割いていただきありがとうございました』
私は、教えを習った通りの対応を心掛けるのだった。
だが、2人の面接官の方の対応は、何だか怪し気にも思ったものだった。
それも、とても小さな声で、聞き取り難いほどだった。
ヒソッ
『ああ、また、近く会う事になるだろうしな』
『?』
ヒソッ
『それまでの間、今日あった出来事は片時も忘れずいるんだな。ノートか教科書化メモ帳にでもキチンと取って。
自分の家に帰ったら、今日あった出来事を、食事中の時にでも良くご両親の方と話し合い、今後の作業方針でも固めておくんだな……。
もう後戻りできないところまで、出掛かっていたんだからな!? ・……その気持ち忘れるなよ!?』
『良くお家に帰って休んでから、その身体を万全な状態にしてからここへ出てくるんだぞ!?
他の従業員の方と同じように、その身体がボロボロになるまで使い回してやれるんだからな!? きっとこの意味も意味する処がよくわからんだろうがな……』
『???』
そんな不可思議なやり取りのまま、私は、この来賓却様用の応接室を後にするのだった。
そして、知りもしなかった……まさか、あんな形で、私の人生をメチャクチャにされるとは……。
そして、母と女性職員さんの2人は、この時、私の後ろでこんな話をしていたのだった――
『――やっぱり間違っていたんだわ……。……あの時、もっと先方からの、上の職員さん達の話を、もっとちゃんと深く聞いておくんだったわ。
せっかくこっち方に教えてきてくれてたのに……。……事前準備不足……あたしのリサーチ不足だったわ……』
『えっ!? どーゆう事ですか!?』
『……奥さん、今はちょっと控えてくださいませんか!?』
『!』
『ヨーシキワーカ君やあちらの方たちの耳にも、これが入らないとも限りませんし……!
あの子に、この会社の悪いイメージを持たせてもいけない……。
せっかく、私がここまで契約の話を盛り立てて、ここまで漕ぎつけてきたんですから……。
今更、無下にする訳にもいきませんし……!
自分から言い出した手前、私共にもその責任があって、今さっき言った言葉をなかった事にも、忘れる訳にも、取り下げるわけにもいきませんし。
それにあの子は、ここでやる気になっているみたいだし、あれで……』
『ああ……』
悲嘆(ひたん)するあたし達。
あたし達は、その子の様子を、ただここでジッと黙って、見守るしか手がなかったんだわ……。
『……』
でも、このままじゃいけない。そのまま許しちゃいけない。
そう思いたつ、女性職員さんの姿があった。
(何かをやらなきゃ……行動を起こさなきゃ、何も変わらないんだわ……!)
ここが運命の分岐点(ターニングポイント)。
その時、両者の位置は離れていた。
出入り口のドア近くに集まっているのは、ヨーシキワーカと面接官達。
そこから離れて、母と女性職員さんがいるのだった。
『……でも、何かがあってからでは、もう遅いんですから……』
『えっ……どーゆう事なんですかそれ!?』
『……』
考えるあたし。
それは、一度、このお母さんの注意を引こうと思ったものだったわ。呟き出た一言は――
『――この会社は、随分前にここに建てられてあったものを呑み込んで、ここまで急に大きくなった会社なのです』
『え……』
『シッ、……そのままジッと黙って、聞き耳を立ててください』
『……』
あたし達は、後ろに下がっていく。
ここからは、か細い声で、話し合うものだったわ。
ヒソヒソ
『ここまで離れていれば、今、向こうにいるあの人達には、決して聞こえませんから、声を落として話しますからね?』
『はい……』
『よーくその耳を澄ましてから、聞いてくださいよ?』
『……』
『あたしも、ここで何が起こった事とかまでは、決して上手くは言えないのですが……。
その子の受け持っていた職員さんではありませんので……。
あたしの前にその人がいて、後からあたしが入ったまでの話です』
そう、道理の説明からする。
あくまで、後から入ってきた以上、人から見聞きした程度の話。あたしだって、上手くは言えないのだから。
『その上からの入ってきた話に拠りますと……。
何でも、この会社は、そこにあった土地や建物を飲み込んで、ここまで急激に大きくなって建てられた建物なんです。
昔は、ここまで立派な建物は、ここ等辺一帯周辺には、どこもなかったと……言われる理由(わけ)です』
『ど、どうして今更になって、そんな話をここでするんですか!?』

振り返る面接官。
その反応に逸早く敏感に気づいた2人は、ジッと黙って、その頭を下げるのだった。
『何だ思い過ごしか……?』
『どうした!?』
『いや、何でもない……他愛もない空耳か何かだろう』
『……ああ、なるほど……な』
『フンッ、小汚い水商売の売女(娼婦)どもめ』
しょうふ……確かにそう言った。
それは、当時、聞きなれない単語だった。
で、母と女性職員さんは。
『……今、何といいました……?』
『さあ、しょ……なんとか……と……?』
『……?』『……?』
当時、わからなくても無理もない……。
娼婦という単語は、そもそも聞きなれないもので、それは、娼館(しょうかん)で働く、水商売の娼婦(しょうふ)たちの事を指すのだから。
『フンッ、あの程度の頭か……』
『なら、そこまで心配するまでの必要もないのじゃないのか? 横で並んでるこの子も、どうにもパッとしなくて、てんで大したことなさそうな頭やなりをしてるしな』
『ああ、なるほどな、その程度なもんか、お前からも見て?』
『ああ、フッ……総務課(ここ)の中に入れる者のほどは、そうそう滅多なことでは入れないものさ』
『上下階級の規律は厳しくだからな……フッ……まぁ確かに……』
『???』
この当時、私の頭は、その程度なものだった。
あなた達には、正直言って負ける。
その喧嘩は買わない。

――とここで、一定の距離が離れたところで、女性職員さんから、こうか細い声で、口を零すのだった。
それはヒソヒソ話だった。
『今のうちに』
『何ですかいったい?』
『シッ、静かに……』
『ッ』
『……いいですか何でも、あんな事があってからは、その子も泣く泣く死んでからは、
その親の土地や財産とも言えるものが、土地や担保やに出された事があったんですよ』
『ええッ!?』
『もう何がなんだかわからないぐらいに周り中から……なんですが……!?
今こっち方でも、その時の事件全容が、まるでわかんなくて……。
その時の、その親御さんの連れの子も、どうやら何かあってたらしくて、その口を噤んでいたぐらいなんですよね……!?』
多分、死んだのは、標的(ターゲット)なんだと思うわ。
そして、父親は、その土地や家を売り払ってみえる。……可哀そうに……。
加えて、その施設に訪れたのは、騙されていた闇子と、その子を連れての母親の姿なんだと思う。……心苦しいわよね……。
そして、その職員さんは、その時の話を、見聞きしていた事になるわ。
『どッ……どうして今更になってその話を!?』
シッ
とその人差し指を立てて口元に充てる女性職員さん。
『ッ』
『どうやら、今、あの人達は向こうの方に行かれてるようですね?』
『え、ええ……ここからでは、チラッとヨッシーちゃんのその後姿が、ちょろと見えるぐらいで……』
そう、ほとんど聞こえていないものだった。
『どうやら、今、この話を聴かれてなかったみたいですね……。それを聴いて、安心しました』
ホッ……
と胸を撫で下ろす思いの両者の姿があったわ。
『……でも、これには念には念を入れて……』
チラッ
とその女性職員さんは、その壁側を伺うの。
向こうにあるのは、そう階段よね。
『……あっちのところに、下り階段がありましたよね!?』
『ええ……』
『折り入って、『この話は本人の耳に入らないところで話したい』と思います……。
あたしの方でも、よく何だかわかんなくて……あたしのせいだわ、これ完全に……。
もっとキチンとしていれば、こうなる前に……。
もっと、今日、ここに来た日に、ここの階段を上がる段階で、いえ、あそこで2人に会った時に、前もって教えられていたのかもしれませんのに……。
……このままでは、あの子達同様、もうあの子の人生がメチャクチャになってしまいます……ッ』
『えっ……!? どーゆう事なんですかそれ……!?』
シィッ!
声が大きい、少し黙ってお母さん。
女性職員さんは、人差し指を口元に充てがって、そう、注意のサインを促したものだわ。
『!』
『その話は、また後で……』
で。
その面接官の方々と別れて、3人は一塊になっていたものよ。
『……』『……』『……』
『……』『……』
ここで、5人がバッタリと出会うの。
で、ヨーシキワーカ(お兄ちゃん)が。
『……今日は、面接の機会を頂きありがとうございました』
うん、この頃はホント成長してたと思う。
ほぼ普段は、失礼しました、で、ほぼほぼ詰んでいるからね。それは、印象も悪いと思うわ。
まぁ、お母さんが実際に視ている手前や、その担当だった女性職員さんが見てる手前、しっかりしなきゃ、って思ったんでしょうね……この頃は。
『……』
その様子を見て、お兄ちゃんの担当の女性職員さんだった人は、胸に去来するは、いいしれない不安だったと思うわ。
そして、それは数年後のある日、現実のものとなっていくのよ。
『……』
『ちょっとヨッシーちゃん、ここでいい子にしてて待ってね。
今から向こうの方にいるヨッシーちゃんのあの担当職員さんの方と、少しばかり話し合ってくるからね!?』
『うん』
『いい子にしてて、待っててね……。何だか悪い予感がしてくるから……!?』
『?』


夢見の卵。
それは、守護霊の彼女のものだった。
(あぁ、ダメだわ……あたしだけでも、これを聞いておかないと……)
人の目には見えない心の帯が伸びる。
その時、ヨーシキワーカは、まるで、勘づいてない……。
その帯が向かう先は、下り階段の所だった。
(どれぐらいまで保つか……!?)
それがカギであり、限界だった……――
『――今からもう、30年以上もの前の話です……心して聞いてください』
『……何ですかいったい、藪から棒に……!?』
30年以上前。これは、時系列にするとわかりやすそう。
ただし、時代は、200年後の世界の22XX年のアメリカを舞台にしているから、こんな感じがわかりやすいかしら?
対応表
アルファベット XABCDEFGHI
数字      0123456789
22BX年が辞めた年であり。
22XI年頃が入社年に当たる。その30年以上前なのだから……。
21GI年代だというかな?
つまり、その以前の時期ぐらいから、こーゆう事があっていた事を示すわけよ。
『……』
チラチラ
とその担当の女性職員さんは、周りの気配を良く探ってから、お母さんを、下り階段の隅に寄せたわ。
『これから話すことは、決して誰にも、絶対に口外しないと、約束してください』
『……』
『いいですか……!? この会社は……とんでもないほどのブラックな会社だったんです』
『えっ……それは……、あの上の方でも仰ってましたが……いったいどーゆう事ですか……!?』
『それは、私の方でもわかり兼ねます……。けど、何でも上からの人達の降りてきた話によればですね……。
以前にも、この会社の中に入ってきていた人がいて、
こう、マシーンスライサーか何かの機械で、指を5本全部、切り落とされてしまった子もいるんです』
『ええっ!!? マシーンスライサーでその子の手がッ!?』
『ええ、何でもそれぐらいの勢いがあったって話なんですけど……』
『何だ話か……』
『……今は、無事に手術が終了していて、元通りに戻ったとは決して言えませんが……。
後で機能不全に陥り、泣く泣くその子は、その指を切り落とすしかなかったと聞かされています。
他の指や手の甲まで、壊死していきますから……。
もう、その指が見つかった時には、その中にあって、クリームまみれ等で、グチャグチャで、もうどうにもならなくて、上手くくっ付かなかったそうです。
その娘の担当医さんが仰るには……!?』
『そっそんな所に、うちのあの子が入ってただなんて……!! しっ信じられない悪夢だわ……!!』
シッ
そのお兄ちゃんの女性職員さんは、その人差し指を口元に充てがって、静かにするようにする合図(サイン)を送ったものだったわ。
『静かに……!!』
『……ッ、いったい、どーゆう事なんですか!?』
その言葉を聴いて、信じられない面持ちのお母さんは、その顔を上げたの。……一縷の望みにすがって。
『その事は、また後になってから話します。
今は、こちらからの説明を折り入って、そのままの姿勢で黙って聞いててください、お母さん』
『……』
『ちょっとそこに立って、角度的に、私が、他のここにやってくる人達に見つからないようにしてて、そこに立っててください』
『こ……こうですか?』
言われたとおりに移動するお母さんの姿があったわ。
お母さんが階段の上部に。
お兄ちゃんの当時の女性職員さんが下部になる構図ね。
『ええ、それでいくらかは、ここでこんな話があっていた事は、他にも人達にも気づかれ難いハズなので、大いに助かります。
……失礼ですが奥さん、チラッとここであの子の様子を、この数カ月間の間視てたのですが……。
あの子、ガタイがいい子ですね?』
『ええ……良く主人の方のお手伝いをしてましたから……』
『なるほどそれでか……? それであの人等に気に入られて、その肩に手を……』
『て、手を?』
『あら? ……ええ、お母様からの角度からは、ちょっと難しかったようですけど、私の角度からは、それがちょっと視えたのです。
あの上の役職の人が、あの子の肩に、こう手を掛けた姿を』
『ああ、それで気に入られて……だからかぁ……』
お母さんは、そう納得したんだったわ。
うん、お兄ちゃん、ここ、数カ月間の間で、ここで働いてて鍛えられていたもんね。
『それならいくらか、ここですぐには壊れそうにないから、しばらくの間は大丈夫そうですね。丈夫そうでしたから……。
ちょっとこちらに視えられた方々は、その身体を壊されていましたけど……も、
まるでボロ雑巾のような状態になってて、それも精神的に、いくらかは追い詰められた状態で……』
『うちの子は、そんなヤワな子達と比べて、そんな育てられた方は、あたしも主人もしていません』
『そう言ってられるのは、今のうちだけですよ……奥さん!?』
『……ッ』
『……』
その顔を上げて、上り階段の向こう側を見ようとする女性職員の姿があったわ。
あら? あたし、気づかれたかしら?
『……幸い、今あの子は、今この階段のところまで降りてきてませんよね……!?』
『ええ……』
『ここでこんなになって長く話していたのに着ていないって事は……まぁ大丈夫そうですね?
それは助かりました……どうやってこられたんですか!?』
それは、女性職員さんの独り言にも思えたものだったわ。
ってあれ? これ、あたしマズくない?
『ヨッシーちゃんに、向こうの方で待つように言ってただけなんですが……あの子はとにかく優しくて、物分かりがいい子ですから……。
……で? 実際のところ、どうなんですかこの会社の中は!?』
『実際のところ、極めて、ブラック体系よりな社会構図の組織図の(怪しげな)工場だったんだと、聞かされております』
『何だってそんなところを、家に黙ってて、(その胸の内に)秘めてて、今まで知ってて、今の今まで黙ってたんですか!?』
『……』
『……』
『済みません……』
女性職員の方は、そう言って謝るしかなかったわ……。
お母さんは、こう言ったの。
『いや、あなたが……言ってももうどうしようもない話ですし……』
その顔を下げていくお母さん。
目に見えるは、その人の着ている姿と、ひんやりとする足元の階段だったわ……。
『もう話しも取りつけられていて、もうあちらの方で勝手に締結されてましたよ……それも向こうの方で持ってかれてて。
その紙なんかも手元なんかで(チラッと)視えてましたし……』
お母さんは、その顔を上げて、こう言ったわ。
『……で、いったいどうするんですかこれ!?』
『私の方からも、向こうの方にいるあの娘に折り入って、それとなく話を取り次いで回していきます。
それでいくらかでも、改善していくのかとも思います』
『周りに取り次いで周ってですか……』
『……』
『……』
流れるは、静寂の沈黙……。
その沈黙を断ち切ったのは、このお母さんの一言だったわ。
『あのそう言えば、1つ気になってたんですけど……少しここで話してもらっても、いいですか!?』
『! ……』
そのお母さんからの一言を受けて、
その女性職員さんは、左視て、左後ろを見て、上り階段の方を伺ったの。
人の様子は、特に感じられなかったわ。
目の前にいるのは、下り階段の所に立っている、そう、お母さんの姿だけ。
あたしは、目に視えていないでしょうけどね。
『あの……さっき言ってた質問とは、なんですか!?』
『あの……その子がここに入って危険だとか、あなたはその口で仰っていたじゃないですか!?』
『ああ!』
わかり見ぃ。
『あの事ですね、そうそう、ミキサーの。
その子の手がマシーンスライサーに巻き込まれて、抜け出そうにも抜け出せず、
危うくその身体ごと持ってかれて、引きずり込まれそうになった、あの話ですよね!?』
『ええっそこまで行きがけたんですか――その娘は!?』
『はい……私共の施設にその娘を連れ立って親御さんがいらして、見かけた時には、それは無残な有様でしたわ……。その手を見せられた時には』
『……っ、いったいどんな風に、それはどんな感じで、そうなったんですかー!?』
『えーとですね……確か……』
『もうハッキリ言ってください、物事をッ』
『ッ、あたしの方もしっかりとそれを見ている訳ではないのですよ。あくまで、今うちの方で受け持たれている子ではないのですから、あの娘はッ』
『ッ、それはどうもすみません』
『……いや、それはあなたに謝れても……』
『そのごめんなさい』
『いえいえ……』
プリプリ
でも、内心は、怒り半分、悩める親の姿を見て困っている半分を同居したような人の姿でしょうね。ありありと出ていたものだわ。
その人はこう言ったの。
『……そこまでなって、何もあたしに、その頭を下げられても、こっちとしても困りますよ』
『……あの子の事が心配なんです、どうにも、何かお願いできませんか?』
『弱りましたね……その話、わかりました……。
こちらの方でも、その話を、今の内から前以て、周りに報せて周ります。……だから、どうかそこまで心配になさらず……』
『……はい……』
嘘だ……メチャ心配……。
その顔には、ありありと出ていたわ。
『ホントに、あの息子さんの事が心配になって、眼を掛けておられるのですね?』
『ええ、うちのあの子は、今、家の中でゴロゴロとだらけてTVでもみている主人との間にできた、このお腹まで痛めて産んだ初めての子ですから……』
『そうですか……なるほどそれでか……』
そのお兄ちゃんの当時担当に女性職員さんは、その顔を上げてこう言ったわ。
『そこまで親身にもなって……、……わかりました』
『!』
『だから、そう、卑屈にもならず大丈夫です。なにも、この先、すぐにそれが起こるとも限らないでしょうしね?』
『あの……いったい、どーゆう事なんですか?』
『ああ、何でも、私共が聴いたような話では、
自宅の固定電話や、この街周辺にもあった近辺の公衆電話からの騙しの電話が頻繁に相次いでいて、
毎日、その電話が鳴り止まなかったそうなんですよ!?
その苦情処理のために、対応に出られたうちの職員さんの誰かさんが、1人か複数人だとは思いんですけども、
どこか辺境の街の壁外にでも、飛ばされたらしいんですよ……これが!?
その責任を負わせられる形にもなって……』
『えええええ! その人達大丈夫なんですか!?』
『大丈夫だとは……言い難いものらしいんです……。……まさか、あんな事にもなって……』
『そ、それで……!?』
『ああ、それで、なんか口止めにもあってて、その日あった事を、上手くは語れないんらしいんですよ……!?
上や周りから、何やら制限を掛けられているらしくて……』
『えっ……制限……!?』
『ええ、それも何だか良くわかりませんが……聞いたところによると、『騙しにも似た詐欺』みたいなものらしいんです』
『詐欺!?』
『ええ、この『会社』も含め、『この国全土がグル』で、『世界中が敵』みたいなものに、『視えた(?)らしい』です……』
『世界が……敵……!? なんだかちょっと……やけにスケールが大きくなってませんか……!?』
『いえ、何も大きくはなってもおりませんし……小さくもなっていません……。ただの実のありのままの、実際にこの世界でありふれた日常だったらしいのです……』
『な……何ですかそれ……!? いったい……』
『さあ……私共としてもそれはさっぱりで……何もわかっていないのが、実情といったところなんですよ……?』
『……』
『……』
そこには、対応に苦慮してしまう、職員さんの姿があったわ。
どう言ってもわからないから……。
その勝ち方なんて、誰にもわからなかったから……。
……今だから、言えるけど……、それは勝ち負けじゃなく、如何に引き分けに持ち込みつつ、無罪を勝ち取るしか、もう手がなかった理由(わけ)。
それを記そうと思い立ったわけよお兄ちゃんは。
……でも、そんな事を知らない、当時のお母さんたちは……。
『……あのお気になさらず』
『あなたに言われずとも、それはわかってます!』
『……で?』
『ああ、あなたはそればっかりですよね!?』
そう投げかけて、
あたしの方から説明するだけ、何……この損な役回りは?
『仕方がないじゃないですかー!? うちは何も知らされておりませんのですからね』

(ああ、言えてるー……うっ、もうそろそろ、刻限が……)
(夢見も、タイムリムットがあるからなぁ……頭も痛いし……)
それは、夢見中で、かつ執筆中だったものだ。すごく辛くて、目の前が……。

『ああ……何でもそのマシンスライサーに巻き込まれた子は、その手に全症は負いかねましたが……。
その手首から先は、何もなくなっている訳でもなく……こうズタズタに引き裂かれているような、
ヒドイ有様のような状態だったと聞き及んでおります』
『ハァ……何ね、そこまで聴いてて、逆に心配して損したわ』
『ムカァ……あのですねッ! そうはあなた言いますが、逆の立場になって、物事を言ってください!
こうして語り合って、立ち会う私共ような職員さんの、逆の立場にもなって、
よく物事の道理を言ってくださいね!』
『はい、それは済みません……』
『もう……。……あぁ、何も、後ろから押されたような子も、またいれば、
その逆になぜか、その手をミキサーのような機械の中に入れて、
突然になって、機械が回り出したような娘たちの証言もあります』
『突然になって機械が……? そんな事が起こるんですか?』
『う~ん……どうにもここで、その娘達の証言と、この会社との間で、その意見が食い違っているようなんですよ……なぜか!?』
『え……どーゆう事なんですか!?』
『さあ、こちらとしてもなんとも……何でも『自動機構(オート機構)が無人で働いたんだ』――とか……!?
言ってきては、それも後になって、
『それが後になって、取り付けられてからは、何度か……!?』――とか?
その女の子たちも、その涙を流しながらも、『それは違う』――と証言が……!
『そもそもそんなものは、あそこには(元々)取り付けられて……なかった……?! ――とかなんとか!?』
『へ……何ですかそれ? 何だってそんな不思議な事が起こるんですか!? ウチではそんな変な事が起こりませんよ!? 後になって……んっ!?』
『ああ、何でもそこは、ご安心ください』
『……』
『別に、こう、グイッとその娘の腕を持って、その誤って、機械の中に押し込んだようなものではないでしょうから!
そんな事をすれば、現場の人達の目が行き届きますからね!?
それは、その娘たちもそうだと証言しておりましたし……一応、確認のために、もう一度になって聴きますけど……。
息子さんが、今後行くところは、その箱洗いなんですよね?』
『ええ、そうだと……思いますけども……』
『だったら基本的には大丈夫なんだとは思います』
『……』
『息子さんの方は、ここで受け持ってて、預かっているところがそもそも違う様子でしたから……なにも……心配はないかと……!?』
『……』
『それは、あっちでも、あたしの目で見ても確認済みですから……。……ご安心ください』
『はい……それで』
『ええ、実は、まだ他にもここにはあるみたいなんですけども……』
『そんなにたくさん、ここであってたんですか!?』
『それが……あってたみたいなんですよぉ~それがぁ……!?』
『完全にブラック企業か何かじゃないですかぁ~!?』
『……う~ん……そこまでは、ブラックって訳ではないんですけど……』
『えっ、違うんですか!?』
『ここの資本が、この国の社会全体の基本の資本とも言ってもいいぐらいですからね……。……ただ……』
『ただ……』
『その内情だけが、こちらからは何とも……(如何とも)し難いだけで………………』
『………………』
その時だったわ。
あの下り階段先の玄関から、ここの女性みたいな人が入ってきそうだったのは……。
これには、階段の所にいた2人も、ジッと黙って、その口を紡いだものだったわ。
夢見渡り。迫る制限時間……。
(……どうやら、ここまで見たいね……。この先、何かあってたみたいだけど……。あたしの力は、ここまでが限界みたい……)
(上出来だよ……チア)
(うん)
(いつも、ありがとう)
私は、守護霊の彼女にお礼を告げるのだった――


☆彡
――過去から現在に返り、その話を聴いた僕たち、あたし達、私達は。
「――に、似てる……」
「似てるなぁ……おいっ……」
「ちょっと……こんな事ってあるの……マジィ……!?」
アユミちゃんが、ミノルさんが、アヤネさんが、次々にその呟きを落としていく。
そして、少年はこう言ったのだ。
「『国との密接な関係にある学校』か……。この分じゃ『金融機関も』だな……」
バッ
と少年に振り返るのだった。
そこへ、クリスティさんが。
「ええ、そうよ、スバル君! 何度もヨーシキワーカさんが聴いていたんだけども、そのヨーシキワーカさんの資産まで、既にあちら側が把握していたわよ!」
「なるほどねぇ……当りとみて良さそうだね!」
「……」
フッ
とクリスティ(あたし)は微笑みを浮かべ、その当時のヨーシキワーカさんの話を、スバル君たちに話せて満足だった。
そして――
「――そして、忘れてはならないのが、これが未来の街の創造館って事は、不動産関係と建築関係が、裏でグルだったことよ!
……まぁ、一部の人達だって限られるんだけどね……」
「そうやって、『騙しの講義』を説き、グルグルと周っているのよ……お金周りの話が……」
サファイアリーさんが、エメラルティさんが、そう、話を補足するのだった。
そして、シャルロットさんは、その様子を見ていて、その瞳を閉じるのだった……――


☆彡
【――その頃、遠く離れた銀河では――】
【スバル暗殺をもくろむ、某組織『アナトリア』】
真っ暗闇の室内、それは純黒の漆黒。
ヴーン……
と足元に、映像が投影される。それは銀河。
そして、その某組織の徽章(きしょう)ともいうべきマークが投影される。
それは、不死の象徴でもある、『犬』・『狼』・『牝馬(ひんば)』・『蛇』を現わすものだった。
そして、その真ん中には、3つの身体を有した女神様の姿があった。
ボッ……、
ボッ、ボッ、ボッ、ボッ、ボッ
と赤紫色の松明が灯されて、それから一気に円環の輪になるように、次々と上がっていく。
そして、最後の赤紫色の松明が灯された時。
そこに集まった信者たちの姿が現れる。全員似たようなローブ姿で、その肉体を隠していた。
何の宇宙人かは不明……。
パッ
と3つのステージに分かれる。
上から順に、天界・地上・冥界の血の海だった。
信者達がいるのは、地上の方だった。
その足元が移り変わり、まるでトカゲ顔の奇抜な生物が現れて、何かの生き物を捕食し、赤紫色の鮮血が爆破四散す。
「……」
そこに集まった信者たちに、小動するほどの素振りは――ない。
おどろおどろしい雰囲気の中、
その天界の階から、その顔を出したのは、首領階級とも説くべき者だった。
その者が、こう発言を言い渡す。
「――この邪魔者を殺せッ!!!」
ヴーン……
と後ろの巨大エアディスプレイに映し出されたのは、1人の少年、スバルだった。
「……」
「……」
「……」
信者たちの中には、色違いの3名がいた。
その後ろの徽章は、それぞれ、『犬』・『狼』・『牝馬(ひんば)』の3つだ。
その顔を上げる、3人の隊長格。
その巨大なエアディスプレイに映し出された、まだ年端もいかない少年を容姿を、
ハッキリとその眼に納める。
首領格の者は、こう説く。
「手段は、なるべく目立たず様にしたい!! なぜだかわかるか!?」
「……」
「……」
「……」
隊長格たちは、微動だにしないまま、その姿勢のまま、終了格の姿を見据えていた。
その後ろでは、組織の組員たちが、その声を上げていた。
なるべく目立たずに?
殺せ? どうやるんだ!? そんなありきたりな声だった。
「このガキは、下手に目立った行動を取ったがために、『予定通りの作戦が上手くいかなかった』……!!」
「……」
それは、計画の歯車が狂った事を指す。
「今では、ほぼすべての宇宙中の注目の的になっている!! いい意味でな……!! 周りからのそうした『外交援助の話』が来るだろう!!」
「――!」
この時、1人の隊長格の目線が動いた。
「そんな今、注目のガキが、誰かに殺されてでもしてみろ!? 犯人が誰かの騒ぎになり、とんでもない事態になる!!
引いては、我々の身も危うくなる!!」
「……」
「……」
「……」
「……だが! ここでもしも、そのアンドロメダ星在中の時に、何らかの原因により、死亡すれば……我々としては都合がいい!」
「「「「「!?」」」」」
「星王アンドロメダのそうした威厳は失墜し、引いてはガニュメデス、その仲間達。
最近では、目障りなフォーマルハウトとその仲間達まで被害が累積する……!!
ちょうど、今、地球にいる事だしな……!!」
「「「「「……」」」」」
静まりかえる室内。
そこへ、1人の女が立ち上がり、こう発言す。その女は、『牝馬(ひんば)』だった。

【謎の組織アナトリア コードネーム:『牝馬』Forada(フォラダ)】

「『――では、自殺か!? 集団リンチによる死亡例では如何でしょうか!?」
「……できるのか!? ……お前にそれが……!?」
「………………」
ニヤリ
とほくそ笑む口角を引き結んで。
「はい……可能です!」
「どうやるのだ!?」
「フフフ……」
【――知られざる中、巨大な組織の影が水面下で動き出そうとしていた――】
そして、その天界にある像は、何か意味深のものだった。
3つの身体を有している女神。
黄金色に輝く聖杯とも言うべきグラスを掲げており、そのグラスの中には、赤き血が器いっぱいに満たされており、
もう片方の手には、血塗られたナイフがあった。
そのナイフの刻印には、こう示されていた、『冥界の女神ヘカテー』と。


TO BE CONTINUD

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