第45話「燈流古武術」
「ぐっ……!!」
地面に強烈に叩き付けられたスキンヘッド男は、全身をプルプルと震わせながらゆっくりとその場で立ち上がった。
「ッッ!!ぐぬぅ……!!」
スキンヘッド男は、立ち上がった直後に焔火に蹴られた胴体に激しい熱さと痛みを感じた。気になってシャツをめくって見てみると大火傷を負っていた。おまけに肋骨に数本ヒビが入っている事にも気づいた。
「ぐうぅ……!!なんて蹴りだ……!!」
スキンヘッド男がそう呟いた直後に、空中いた焔火がスタッと地面に着地してきた。
「いやはや……まさか"燈流古武術"を使う事になるとはな……」
焔火がそう言うとスキンヘッド男は不思議そうな表情を浮かべた。
「燈流……古武術……だと?」
「ああ、燈一族だけが扱える、炎と武術を組み合わせたものだ、そしてお前がさっき喰らったのは、数多くある燈流古武術の技の内の1つである"紅蓮脚"だ」
焔火の説明が終わると、スキンヘッド男は顔をしかめた。
「おい待てよ……そんな流派の古武術聞いた事がねぇぞ?」
「ああ?そりゃそうだろう、燈流古武術は、燈一族だけが代々受け継いできた門外不出の古武術だからな……さて……お喋りはこの辺にしてそろそろ終わりにしようか」
「何ぃ?終わりにするだと?何を言って……」
ビュオンッ
焔火は両手から炎をブースターの様に噴射させ、目にも止まらぬ速さでスキンヘッド男の元に接近した。
(は、速い!!)
スキンヘッド男がそう思った刹那。
「"烈火"」
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!!
焔火は両手に炎を纏った状態で、スキンヘッド男にパンチのラッシュを浴びせた。
「ぐあっ!!がっ!!ごっ!!ごばぁ!!ぐふぅ!!ごはぁ!!がぁっ!!」
止まらぬ高速ラッシュに、スキンヘッド男は何もする事ができなかった。ただ大人しく喰らい続ける他選択肢がなかった。
「ウォラッ!!!」
ズバゴォォォォンッ!!!!!
焔火は、ラッシュのシメに強烈な1発を打ち込んだ。
ヒュ~
ドガァァァァァン!!!!!
スキンヘッド男は、数百メートル上空に吹き飛び、近くにあったビルの壁にめり込んだ。
「ヒュ~、派手に飛んだな」
焔火は、不敵な笑みを浮かべながら、めり込んでいたスキンヘッド男に向かってそう呟いた。しかし焔火は、この時まだ知る由もなかった。スキンヘッド男に隠されていた真の恐ろしい力を。