息子に春が来たようです?
「は…はあっ!?」
「こう見えても私は貴族なのだよ。安心して付いてきたまえ」
「いや、でも…」
「いいから」
ぐいぐいと俺の手を引っ張る。
押しが強いな、この青年!!
「あ、あの…俺には息子がいまして。だから手を放してもらえるとありがたいのですが…」
「む?そうなのか。では、息子も連れて行こう」
いや、離さんのかいっ!
嬉しそうな顔をして笑う貴族に、うなだれながら歩く平民。
周囲の人間が見れば、さぞかしおかしな光景にみえただろう。
「・・・・・・とほほ」
肩を落としながら、串焼きのおっちゃんの屋台を探す。
「ええと、確かこの辺りに…」
きょろきょろと辺りを見渡す。
「あ、お兄様!」
「ん?あれは…メリル?」
突然聞こえた女の子の声に、青年が反応する。
「あ、ととさん!」
「おん?」
声がした方を振り向くと、なぜか金髪美少女が息子の横にいる。
・・・なぜ?