375章 産休の代償?
ホノカはご飯を食べたことで、元気を取り戻す。
「ミサキちゃん、ありがとう」
パン20個を食べた女性は、おなかの肉をつまんでいた。食べ過ぎたことによる、体重増を気にしているようだ。通常体型をしている人たちは、ちょっと食べるだけで、簡単に太っていく。
「ホノカちゃん、なにかあったの?」
「いろいろと仕事を探したけど、働く場所を見つけられなかった。無職の日々を続けているうちに、無一文になってしまったの」
「パン屋の仕事は考えなかったの?」
「産休したあとに、新しい店員が入っている。誰かが辞めるまでは、働くことはできないよ」
採用枠には限りがある。誰かが辞めなければ、雇ってもらうことは難しい。
「20社くらい受けたけど、採用をもらうことはできなかった。産休で辞めた女性は、需要ないのかもしれないね」
産休=休職、退職につながる。若い女性を採用する側としては、かなり気にする部分なのは確かだ。
「半年くらいなら、私が面倒を見るよ。ひととおりの物がそろっているから、生活に困ることは絶対にない」
500万ペソの基本収入に加え、アイスクリーム店、写真集などからも報酬を得ている。お金であふれかえる生活を送っている。
「アヤメちゃんのように、恩返しをするのも難しい。一方的に搾取するだけになってしまうよ」
「ホノカちゃんには、癒しの効果がある。それだけで十分だよ」
自販機が壊れたときに、命を助けてもらった恩がある。面倒を見ることによって、感謝の意を示したい。
「ミサキちゃん・・・・・・」
「余裕のない状況で就職活動をしても、採用されるのは難しい。心にしっかりと余裕をもって、いい職場を探していこう」
「ミサキちゃん、いろいろと迷惑をかけることになるね」
ホノカは大きな欠伸をする。
「ミサキちゃん、睡眠を取ってもいい?」
「うん。しっかりと眠って、前向きな気持ちになろう」
ホノカはゆっくりとベッドに向かった。