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第3章の第69話 X16 イチハ 未来改変



☆彡
――クリスティさんの回想シーンが一時終了し、現在に戻る。
あたしは途中まで事情を話した、みんなの反応は。
「――えっ!? それでどうなったの!?」
「まさか、シャワー中に襲われたのか!?」
「これは良くあるシーンね……。う~ん……そのまま2人で、バスタオル姿でベットイン? キャー!?」
等々、スバル君が、ミノルさんが、アヤネさんが、その後の展開を勝手に想像してくる。
これにはあたしも辟易しちゃう。
勝手な話をして盛り上がって、憶測と予測が飛び交えば、いらぬ誤解と偏見を招くわよ、あんた達……。
あたしは「ハァ……」と呼気を吐いた後、こう告げる。
たった1つの真実、事実を話すために。
「別に襲われてないわよ」
「えっ……」
「彼が興奮するのは、その時じゃなかったしね……チッ」
(だからって、あれはないでしょうが、あれは……ッ!!!)
それは可憐な乙女に対する侮辱行為だ。
「えええええ!!!」
これにはミノルさん、当てが外れたようで、他のみんなから白々しい目で見られる。
「ハハッ……外れましたか……」
「……」
このおじさんには、あたしも嘆息しちゃう。
いったい、何の想像を勝手にしてるんだが……まぁ、わかるんだけどね。
おじ様の考えそうなことはだいたい……。
「じゃ、じゃ……ベッドイン?」
「あったわね……ベッドインは」
「ウソ――ッ!! 当たり――ッ!!」
「まあ、彼が、この肢体に性欲をぶつけて、欲情するのは別にいいんだけどね……フゥ……」
「あ……あれ……? なんか思ってたのと反応が違う……」
「そりゃあね……。だって当時、あたし達付き合っていたもの」
あたしは、アヤネさんにそう答えた。
まるで淡々としている。
とスバル君が。
「……どーゆう事?」
あぁ、まともなのは君だけか……でも……。
「う~ん……何て言ったら良いのやら……」
あたしもこれには、相当言い悩んでしまう。
あれこれ色々あって、どう語り出せばいいのかすら、億劫になってしまう。
ホントにいろいろあったものよ。
それを言ってしまえば、暴露してしまえば、どんなに気が楽なんだろうか……。
「う~ん……」
「……」
でも、今、この場でそれは……なんだか後ろめたいような……気も……。
そう、同時それは、決して拭いきれないほどの犯罪を犯していた事を、吐露してしまう事態になる。
かえって立場がマズイ、危険よ危険。
ど、どうしよう……。
「う~ん……」
だから、あたしはこう話を切り出すことにした。
「――実は、あの後……――」
あれは、今ばかりは秘事として伏せておく事にした。


★彡
【――昨日の夜、あたし達は、あの後、激しい夜を送って……寝息を立てていたの】
【激しい夜!? まさか……!?】
【……想像にお任せするわ、ミノルさん……】
【ジロリ……】
【ッ……】
その時。
PPP……PPP……
それは契機の目覚まし時計の如く、あたし達の睡眠を妨げ、意識を引っ張り上げた。
それは彼のAIナビ:レムリアンからのものだったわ。
『救急医療(HOT)だ!! 起きろスプリング!!』
「ッ」
ガバッ
とあたしのすぐ隣で寝ていた彼は、身を起こし、近くに置いてあったフューチャーウォッチを手に取り、会話を行う。
「どうした!?」
『スプリング様ですか!? また院内で、患者さんの容態が急変しました!!』
「何ッ!? またか!?」
「……?!」
また。
あたしはそれが怪しいと踏んだの。
『はいっ!! 今、原因を調べるために精密検査を行っています!! このまま、緊急手術に踏み切る予定です。すぐに現場にお越しください!!』
「わかった」
ブッツ
と向こうから回線が途切れた。
「……またか……」
「どうしたのスプリング……?」
あたしは身を起こし、彼にそう尋ねる。
「謎の殺人事件だ……!」
「え……」
「原因は不明……。感染経路も不明……。いつ何が起こるかわからない……。お前も注意はしておけ……」
「……」
あたしは言い知れない不安を覚える。
「……」
彼の顔は、真剣そのものだったわ。
その話は、どうにもエキナセアが聞いた話と、不思議と付随していた。
「………………」
あたしの脳裏にエキナセアが過ぎる。
それはエキナセアからの報告にもあった。
(確か昨日、レムリアン、オーバ、スチームも同じことを言っていた……らしいわね……。……つまり、これは謎の事件……)
「……」
原因不明の病魔。あたしはそう認めたわ。
――その時、スプリング(彼)が。
「――クレメンティーナ」
「!? わっと」
彼はそれを放り。
あたしはそれを手に取る。
あたしの掌の上にあったのは、女性用避妊薬(ピル)だった。
あたしはそれを見て、呆けた声を出してしまう。
「えっ……!?」
「帰ったら、『昨日の答え』を聞く。今日は学校も休みだろ?」
「ええ……」
「なら、マサチューセッツ総合病院に来い! そこで、昨日の患者さんと……」
「……」
あたしはあれを思い出して、顔が凄い事に……。
彼はあたしの顔を一目見て、こう言う。
「メチャ嫌な顔をしてるな……」
「だって~~」
(あんな事があった後では、まぁ、仕方がないか……)
ハァ……
とスプリング(私)は溜息を零し、医師としてこういう。
「診察は医師としての基本なんだが……」
「……」
彼は当たり障りのない言葉を選んだわ。
でもこの時あたしは、妙な気分になってしまう。
そう、何かが不自然だから。
「ハァ……。とりあえず、それを飲んで、子を産まないようにしとけ」
「……」
あたしは手元にある女性用避妊薬(ピル)を見る。
「それがお前の演じる役割だ……!」
「……被虐性愛(マゾヒズム)……」
「……なんか言ったか?」
「………………いいえ……」
【――あたしはこの頃から、彼が怪しいと踏んでいたのよ】


★彡
【ハーバード広場】
それはマサチューセッツ州ケンブリッジの観光名所の1つ。
ここに足を伸ばしていたのは、ヨーシキワーカと同じ顔をしたアンドロイドの2人だ。
いや、同じ顔をしたアンドロイドの背中に付いていっている形だろうか。
「……」
「……」
それは、某ターミナルビル事件の後の話だった。
「……」
不意にヨーシキワーカは、顔を上げる。
今日の空は、薄暗く青く、向こうの方に黄昏時の太陽が見えて、もう沈もうとしていた……。
その時、不意に横切っていたのは。
「……白い鳥……」
だった。
その時、その白い鳥が鳴いた。
ピィ~~
「……似てるな……あいつの守護霊に……」
「……」
僕はその質問には答えない。
そして、ある喫茶店の前で立ち止まる。
(……入れ……ということか……)
俺は、その喫茶店に足を踏み入れるのだった。

【J.P.LICKS】
レストランだった。
店内の内装は、白を基調としていて、モダン的なところがある。一般庶民が足を踏み入れやすいところだ。
少し、落ち着く。
下手に高級店を案内されるより、グッといい。
俺は、こいつの後を付いていき、あるテーブルに通された。
そこにいたのは、変装した男女だった。
そのうちの1人、変装した男がこう口を滑らせる。
「……なるほど……こうなるのか……」
と。
それは心の底から、何かを秘めた物言いにみえた。
その人物は、あのクレメンティーナの跡を付けていた件の観察者(ストーカー)だった。
【観察者(変装中)】
「……ごめん。でもきっと手助けしてくれると思うよ」
【ヨーシキワーカと同じ顔をしたアンドロイド(変身中)】
「まぁ堪忍や、スバル君!
【チアキのお母様 イチハ】
「……スバル……!?」
その名前には聞き覚えがあった……まさか……。
「……」
これには俺としても、正体を隠している以上、イチハさんを睨んだ。
これにはイチハさんも。
「済まんなぁスバル君。でもここまでくれば、協力者が付いてくれてた方が、もっと心強いやろ? なぁ」
「……」
それはイチハさんなりの、スバルを気遣った上での心遣いだった。
とヨーシキワーカが。
「ま……まさか……」
その人差し指を踏み震わせながら、心許なくも唇が上ずっていた。
そして、こう言うんだ。
「フッ……俺だよお兄さん……ちょっと先の未来からきてね……」
「未来……!?」
それは信じ難い話だった。
「実は、この時代を生きる兄さんに手伝ってほしい事があるんだ」
「なに……!?」
深刻な顔つきになっていくスバル。
語るは驚くべき事実であり、その片鱗だった。
「ある組織を追ってるんだ……そして同時に、クリスティ……いや、この時代では今はクレメンティーナさんか……」
「? ……訳アリか?」
「まぁね。こっちの時代でいろいろとあってね」
「いろいろと………………読めたぞ。歴史の改変か……!?」
俺はそう睨んだ。
さすがに勘が鋭いね、御兄さん。
「……」
「『大罪』だぞそれは……!?」
俺は言葉を濁し、そう言い切った。
同時に軽蔑も覚える。
歴史の改変は、とんでもない重罪、有り得ない事態に発展する可能性もある。
だが、次の御弟の言葉で、それを線引きをすることになる。
「地球が侵略されるんだよ」
「!?」
「ハァ~……どう言えばいいかな……う~ん……。大切な人も死んで、ほとんどの地球人類がすべて、奴隷になってるんだ」
「何ッ!?」
それは信じ難い未来だった。
そして。
「大切な人……」
脳裏に過ったのは、以前に会った事があるまだ幼児の頃のアユミちゃんの姿だった。
確信は持てないが、多分、あの少女の事だろうと察する。
「カギを握るのは、クリスティさんや」
「!」
言葉を挟んできたのは、変装した女の人だった。
俺は、こう切り出す。
「さっき出てきた女だな?」
「せや」
どうやら当たりだったらしい。
彼女は、身分を明かす。
「自己紹介がまだやったな」
「……」
彼女は掛けてあったサングラスを取り、目線だけがあらわになった。
どことなく、誰かに似ている。
「うちの名は『イチハ』。よろしくなヨーシキワーカはん」
「イチハさんか」
とその時、アントラローダイトが声を上げる。
『話だけ聞いたらどうだ?』
「!」
『未来に関わる事なら、何か重大な局面が迫っているのかもしれん。……このタイミング、単なる偶然とは思えん』
「……」
『……話を聞くだけ聞いてやったらどうだ!?』
「……」
『……それを決めるのは……、……お前だ!』
「………………」
これには俺も考えさせられる。
未来の親戚の御弟から聞いたのは、驚くべき事態。
地球の侵略、それに地球人の奴隷かか……考えられる限り、最悪のケースが考えられる。
それだけは避けねばならん。
この身を、堕としてでも防がなければ。
俺は顔を上げ――
「――わかった。……話してください」
「フッ」
唇をにこやかに引き結ぶイチハさん。
【――それは重大な大罪】
【この場にいる全員が、地獄に落ちても、納得のいく得心だった】
【だが、あんな未来を辿るならば……】
【――その後、ヨーシキワーカとアントラローダイトの協力を得たスバル達は、夜のうちに動いた】


★彡
【夜の手術室】
そこには誰もいない……
医療用アンドロイドはいつでも動けるよう、スタンバイモードになっていた。
監視カメラも、録画映像を取り続けていた。
だが……。
ブッツ、ブッツ
とその機能が一時停止し、危険を取り払ってから、その手術室に空間転移の穴が開いた。
ヴーン
そこから出てくるは、2人分の足跡。
その足音からして、男性と女性のものだった。
侵入したのは、スバルとイチハさんだった。
2人は、正体がバレないように、変装していた。
「――ここね」
「はい」
「フフッ、まさかあの婿養子君が、こんな大胆な行動を取るなんてね」
「……」
「あの子のため? それとも残されたみんなのため?」
「……」
「クスッ、いい子やね。うちの可愛い可愛いチアキの事、頼むえ」
「……はい!」
そう、彼女は、チアキのお母さん。イチハさんだった。
ここにくるまでに、彼女の協力を得ている。
俺の心強い理解者だ。
「よし、調べるえ」
取り出したるは、何かの砂が入った容器だった。
それを目の前に向かって、振りかけると、まるで当時の状況を再現するように、手術を行っている場面が現れた。
『時の砂』の一種だ。
「……」
「……」
訝しげに見守る2人。
そして、この部屋から、ドクタースプリングとクレメンティーナが出て行った後、残っていたのはこの2人。
「……」
「……」
ドクターイリヤマとドクターライセンだ。
ヴーン……
その腕時計型携帯端末から、ホログラム映像が投影され、猫を膝の上に置いた身分が高そうな人が現れる。
膝の上には、猫ちゃんもいる。
「ボス!」
それは、スプリングとは違う、別枠の目上の立場の者だった。
ホログラム映像越しのボスはこう告げる。
『お前達に指令を与える! ヨーシキワーカをどうにかして、引き入れるよう手配しろ!』
「……」
「……」
「!?」
「?」
見据えるドクターイリヤマにライセン。
驚き得るスバルにイチハさん。
一体全体どーゆう事だ。何でここで、御兄さんが関わるんだ。
ボスは、こう告げる。
『……これが使えるかもしれん』
「と言われますと?」
『その子が以前勤めていた会社の経営が、その資金繰りが上手く回っていないそうなんだ……。
その負債額……。
いや正しくは、その純売上利益が、1千万円(75,757米ドル)から、2千万円(151,514米ドル)まで落ち込んでいる』
75,757米ドルと、151,514米ドル。
1ドルは132円であるからして、
75,757×132=9,999,924。約1千万円と、151,514×132=19,999,848。約2千万円である。
その話を聞いた俺たちは。
「「えええええ!!!?」」
と驚いたものだ。一体全体どうなってるんだ。
これにはスバルもイチハさんも、ビックリだ。
とこの話を聞いていたドクターイリヤマは。
「あいつまだ戻っていないのか!!?」
と怒る。
ボスはこう話を続ける。
『うむ……!その子が会社を辞めた時期から、不自然なまでに、労災が起こり、モーターの騒音がうるさく、資金繰りが上手くいかない』
「……」
「……」
『その子が会社を辞める前に、何かをやらかしたのかもしれん……。というのが先方と私たちの意見だ。……我々はそう睨んでいる!』
「もう犯人で決定でしょう!!」
そう、言葉を巻くしたのはドクターライセンだった。
「どうしようもないぞあいつ!! ったく!! あの野郎!! 散々注意したのに、まだ謝りに行ってなかったのか!?」
と口ごもるドクターイリヤマ。
『その会社の願いで、穏便に済ませてほしいという旨だ。
その子を知る同僚や上司は、そんな子じゃないというもので、何でこうなっているのか、調べて欲しいのだ。
その為にも、どうにかして、こちらに引き返してほしい!』
「甘いですよ!!!」
「ああ!!!」
そう意見、反論してきたのはドクターライセンとドクターイリヤマだった。
話を続けるのは、ドクターイリヤマだ。
「せっかく俺が気を利かせて、電話やメールを用いて、あいつのところにきた就職の話を、何度も散々なまでに、堕としていたんだがなァ!!!」
「そうですよね!! イリヤマ先生が、気に入った生徒さんに、ヨーシキワーカさんのテストの点数を改ざんさせて、ワザと落として、その人に持たせたんですもんね!!」
「ああ!! まだあいつの方が、実務経験があるし、見どころがある!! あいつは底辺から逃げ出してきたような弱腰だからな!!
あれだけ免許持ってれば、もう充分だろ!!
……いや、……あっちの会社が把握してなかった事は、何か不正を働いたのかもしれん!!」
「……」
これにはドクターライセンも驚き得る。
続くボスの言葉は。
『あぁ、そう言えば……臨時講師に来ていた設備管理科のタカシマ先生辺りが、何かそんな事を言っていたな?』
「……」
「……」
『お前……この話が周りに広がったら、どう責任を取る気だ!?』
「……」
この話を聞いて、周りにバレたらと思うと……俺の責任問題として、叩かられるのは間違いないだろう。
そんなドクターイリヤマの様子を、僕は見ていた。
『……ドクターライセン?』
「はっはい!」
『その当時、何があった!?』
「はい……」
僕はその当時の事を語る。
「僕たちは、設備管理科の方に足を伸ばして、配管工のネジ切りをしているヨーシキワーカさんを見たんです。
で、僕から見ても、その人はとぼけているような様子でしたので。
また、ドクターイリヤマが、パブリック エンプロイメント サービス イン マイアミを通じて、
ヨーシキワーカさんの素性を調べたんです」
『ほぅ』
「で、明らかに低能である事がわかりました」
「なに!?」
「それは、他の技能実習生を見てもわかる通り、本人は頑張っている様子でしたが、技能面に関しては、非常に乏しい事がわかりました……。
逆に、ドクターイリヤマの見立てでは、筆記の方に光るものがあり、
また、いくつか免許を持っていても、実務経験が伴っていないため、
これを不必要と判断しました」
『ほぅ……』
「――で、その、『消防設備士国家試験』Fire Fighter National Examanation(ファイア ファイター ナショナル イグザミネーション)を、
行ったところに電話をかけて、
ヨーシキワーカさんの点数を知ったんです。
……いくつだと思いますか?
――So That,Fire Fighter National Examanation(――ソ ザッツ,ファイア ファイター ナショナル イグザミネーション)
Call Me Where Youve Beem(コール ミィ ウェア ユーヴ ベン)
I Found Out YOOSHIKI WAAKA Skore(アイ ファウンド アウト ヨーシキワーカ スコア)
……How Old Do You Think?(ハゥ オールド ド ユー ティンク?)」
『……』
「96点です。
Ninety-six Scored(ナインティ-シックス スコード)」
『何っ!?
What(ホワット!?)』
「それを聞いてビックリしたドクターイリヤマは、
急遽、ヨーシキワーカさんが怪しいと思い。
またご自身のいい趣味で、
ヨーシキワーカさんの似てもいない声真似をして、
全問正解でないならば、必要ないと仰いました。
……で、別の人にその点数を当てがって、
その人に代わりに免許を持たせたんです!
たった2問の間違いだったらしいです!
Dr.Iriyama Was Surprised To Hear That(ドクターイリヤマ ワス サプライズド ツゥ ヒーア ザット)
I Suddenly Thought That Mr.YOOSHIKI WAAKA Was Suspicious(アイ サドゥンリィ ソォートゥ ザト ミスターヨーシキワーカ ワス サスピシャス))
Also For Your Own Good Hoddies(オールソー フォ ユー オウン グッド ホビーズ)
I Imiitate Mr.YOOSHIKI WAAKA Unbelievable Voice(アイ イミテイト ミスターヨーシキワーカ アンビリバボー ボイス)
I Said That If You Dont Get All The Questions Correct,You Dont Need It(アイ ソイド ザッツ イフ ユー ドォント オール ザ クエスチョン コレクト,ユー ドォント ニード イッツ)
……And Assign That Score To Someone Else,(……アンド アサイン ザット スコア トゥ サムワン エルス,)
I Gave It To That Person Instead!(アイ ギブ イッツ トゥ ザット パーソン インステッド!)
I Think It Was Just Two Mistakes!(アイ ティンク イッツ ワス ジャスト ツゥー ミステイク!)」
『フム……
OH……』
「また、優秀な教習生たちは、特別なエンジニア養成コースを受ける中で、
たった半年間の間で、免許を取得するよう努力していましたが……。
ヨーシキワーカさんには、その短期間で仕上げるような能力はなかった……。
コツコツと努力を積み立てるようなタイプで、
即戦力となる優秀なエンジニアに向いていない……。
という烙印を押されたんです。
……そうですよね? ドクターイリヤマ?
Aiso,Excellent Students,While Taking Spexial Engineer Training Course(オールソー,エクセレント ストゥーデント,ワイル テイキング スペシャル エンジニア トレーニング コース)
I Was Trying To Get My License In Just Half a Year……(アイ ワス トライング ツゥ ゲット マイ ライセンス イン ジャスト ハーフ ア イヤー……)
Mr.YOOSHIKI WAAKA Didnt Have The Ability To Finish It In Such a Short Period Of Time……(ミスターヨーシキワーカ ディドゥントゥ ハブ ザ アビリティ トゥ フィニッシュ イッツ イン サッチ ア ショート ピリオド オブ タイム……)
The Type That Accumulates Effort Steadily(ザ タイプ ザット アキューミュゥレェイトゥ エフォート ステディリー)
Not Suitable For Excellent Engineers Who Are Ready To Work……(ノット スータブル フォー エクセレント エンジニア フゥ― アー レディー トゥ ウォーク……)
I Was Branded as(アイ ワス ブランディド アス)
……Thats Right? Dr.Iliyama?(……ザットゥス ライト? ドクターイリヤマ?)」
「ああ、間違いない。
努力は認められるが、時間がかかり過ぎる……!!
あー言ったタイプは、現場じゃ使えない!!
昔の会社の方が、まだ、光るものがあるならば、
パートでも何でも、責任を取らせて、
そこに戻した方がいい!!」
Oh No Doudt(オゥ ノー ダウト)
Effort Is Recognized,But It Takes Too Long……!!(エフォート イズ レコグナイザー,バット イッツ テイク トゥー ロング……!!)
That Type Cant Be Used On Site!!(ザット タイプ キャント ビィ ユーズド オン サイト)
My previous Company,If There Is Still Something That Shines(マイ プリビアス カンパニー,イフ ゼアー イズ スタイル サムシング ザット シャイン)
Part Or Whatever,Let Me Take Responsidility(パート オア― ホワットエヴァー レッツ マイ テイク レスポンシビリティー)
Better Go Back There!!(ベター ゴー バック ゼアー!!)
「そこで人生が積んで、即終了ですね!
Life Is Accumulated There,And It Ends Immediately!(ライフ イズ アキューミュゥレェイトゥ ゼアー,アンド イッツ エンズ イミディエトゥリー!)」
「うむ!
YES!(イエス)」
「僕等としても、ヨーシキワーカさんの人生を滅茶苦茶にして、
せいせいするし、腹がすく思いですもんね!
As For Us As Well,We Messed Up Mr.YOOSHIKI WAAKA Life!(アズ フォー アス アズ ウェーアー,ウィー メス アップ ミスターヨーシキワーカ ライフ!)」
「あぁ、あんな奴、別に要らんだろ!!
Oh.You Dodt Need That Kind Of Gut,Do You?(オウ.ユー ドォント ニード ザッツ カインド オブ ゲット,ドゥ ユー?)」

【――それが動機の1つだった……】
【ヨーシキワーカは、この2人と他の人達の企みによって、再就職のためにどんなに頑張っても、意図的に蹴落とされていくのだ……】
【そのうち、自閉症に陥っていく……】
【また、自分たちの行いを隠蔽工作するために、どうしようもない問題という悪巧みを仕組むことになる】
【それが件の詐欺電話による、調整調整、つぎはぎつぎはぎの見誤った伝言ゲームと化していく……】
【真実も理想もなく、辿り着く結末は如何に――】
【――ボスは、こう話を続ける】

『……今でもまだ就職難の状況にある……!』
「……」
「……」
そう、それが現状だ。
ヨーシキワーカは、無職の状況にある。
『その責任を取らせて、借金漬けにさせる……!!
親兄弟を騙して、本人の正常な思考判断能力を削げ!!
そこへ甘い声をかけて、ハニートラップにハメて陥れて、集団で問い詰めろ!
サインを書かせれば、こっちのもんだ!!
恐い顔をしたオジサンたちが押し入るようになり、
泣く泣く親は、その責任を取るため、土地や財産を売るようになるだろう。
それが叩きどころだ……!!
徹底的に叩き潰せ!!!
どんな人間も、昔の会社にいたら、何かしら悪さをしている……!!
その溝を広げるのだ!!
また、裏の根回しで、親兄弟からの会社からも、不可侵的な疑いと軽蔑の目を持たせろ!!
騙しやすい兄弟がいるかもしれん!!
そうなるよう、同業者を仕掛けろ!!
周りの目、親兄弟の疑いと軽蔑の目と口で、そいつの精神を徹底的に追い詰めろ!!
後で、甘い声をかけて、こちらで引き抜くよう手配しろ!!
どうしようもない問題にハメて、毎月の給与が上がるかもしれないという餌をまけ!
我が身可愛さに、集団で益になるならば、たった少数の犠牲者(低能)をハメても、何らこちらに落ち度はない……!
人はみな、金欲しさに手を下すものだ!
情報戦を用いて、理想の虚実の元、真実を撹乱・隠蔽せよ!
……なあ、ドクターイリヤマよ?」
「ハッ!」
「ドクターライセン」
「ハイ!」
「自分たちの借金返済分のために、集団で益を取るならば……」
「ええ、犯罪に手を染めた頃には……、我が意可愛さに後戻りできないところまできています。それは親兄弟にしても同じ……。
優秀な人や、多くの友人を持っていて、こちらに益になりそうな子ならば、金を持たせれば、我々に順純に共謀しますよ。
中々使える人なら、それで良し。
自分たちの悪事を上手い事、友人や知人を使って、騙してくれる……!!
本人としても、そんな黒歴史は、認めたくない……知られたくない……ところですからね。
フフフフ。
また反抗するようであれば、上からの圧力で、どうしようもない問題ならぬ、こっちのとんでもない問題を仕掛けます。
二重作戦を用いて……!!
訳がわからないよう、ダブルブッキングさせます!!
……クククッ、詐欺電話を回して、まず手始めに生徒さん達を信じ込ませます。
焼き肉でも誘えばいいでしょう。
酒の席でも、またいいかもしれません。
そんな話を、会社伝いにご兄弟の耳に入れます。
不可思議な状況になるでしょう。
それがどうしようもない問題だと、ご本人に、察しさせます。
後はご本人が、ご家族の前で話せば、そう信じて疑わなくなります。
クククッ、そんな上手い話は、無いのにねぇ……。
コロッと騙されるんです、人は皆。
……クククッ、後は、集団でハメた後、自分たちの悪事が露見しないよう、攪乱する事も忘れてはいけません。
でも、まさか騙されていたとは、思えませんよねぇ?
そんな騙されやすくて、僕等の作戦にまんまと引っかかった、お間抜けな生徒さんやご兄弟さん、親族たちはいます。
怖くて恐くて、泣く泣くその人を売ったんでしょう。
わかりますよ、その気持ち……。
そうなるよう、こちら側から意図的に仕組んだんですからね!?」
僕は顔を上げ、狂気の笑みを浮かべる。
『騙して、御覧に入れますよ……ボス!!
なくなくご兄弟や親族さん達も、そして優秀な生徒さん達も、我々に与します。
以前、本校を出ていった生徒さん達も、昔の同僚の会社員(ひと)たちも、
こうした長い時間の中で、騙されやすいよう、沁みついています。
お金の魔力は恐いですからね。
その席を手に入れるために、犠牲者(低能)の人を堕としてでも、そのキャリアを築いたんですから。
あぁ、我々は知っています。
そうした長い時間の中で築いたものが、我々のグループの中に共犯者が潜んでいますからね。
フフフ……。
自殺した人も、中には入るでしょう?
人生を台無しにされた、人も確実にいるでしょう?
でも、あなた達は、僕たちの企みに気づいた頃には、もう時すでに遅いのです。
同じ共犯者なのだから……。
アハハハハハッ!!
きっと……! それがバレた頃には、ご家族からも見放されている頃でしょうしね。
だから、口が裂けても言えないものです!!」
「人とはそーゆう生きものだからな!」
コクリ
と僕は頷き得る。
ボスはそれを見て。
『フフフフ……頼もしいな……』
と告げる。
我々は、頼もしい優秀な職員(部下)を持った。
ドクターイリヤマは、こう意見を返す。
「あれぐらいの歳です」
『!』
「彼女の1人ぐらいいるはず……」
「……」
『……』
「根回して、どうにかしてくっつけるよう作戦を用いて、本人を振って、その慰謝料でも請求させましょう!
きっと、内側から大火事になりますよ!?
それがハニートラップのホントの恐さ……ククククッ」
『フフフフ、詐欺電話で、訳がわかんないようにするのだな?』
「ええ、信じていた彼女さんに裏切られるんです。
親兄弟から見放されて、孤立無援となれば、もうどうしようもなく、
フフッ、赤子の手を捻るも同然……!!」
『よしっ! そいつの家に電話で一報入れるのだ!! 機械が壊れたなどして、その損害賠償責任として支払えとな!!」
「はっ!! お任せを!!」
「必ずやボスのご期待に添えましょう!!」
それは悪事の企みだった。
この話を聞いたスバルとイチハさんは、驚き得ていた。
まさかの急展開だった。
イチハさんは、思わずこう呟く。

「許せない……人を踏み台にして……!!」

その声には怒りがこもる。
それはスバルにしても、同じだった。
「謝りに行かせる……か……? ……あっ! そーゆう事か!?」
俺は、昔、聞いた事がある、あの話だと思った。
確か、人伝を伝って聞いて、どうしようもない問題に対する出来事だったはずだ。
まさか、この場に偶然居合わせるなんて……まさか、まさかである。
――とその時だった。
『ニャニャニャ!!』
『痛たたたっ!!?』
突然、ボスの膝の上に出寝ていた猫ちゃんが、血相を変えて、まるで危険の暗示を報せるかの如く、引っかきまくったのだ。
な、何で~~。
「「ぼ、ボス~~!!!」」
『いいか、どうにかしてヨーシキワーカを騙してハメろ!!』
ボスはそう苦言を残し、向こうからの回線が切れて、ホログラム映像が途絶えたのだった……――
「……」
「……」

【――この時の砂を用いて、昔の出来事を見ていた2人は何を思い、これからどう動くのか?】
【そして、イチハさんはスバルに振り向いて、こう呟く――】

「――……何で、あの御兄さんが出てくるんや……!?」
「……」
大いに疑問が残る。
これには俺も、訳がわかんない。
当時の状況をよく知らないので……。
「……」
どうにも困り顔になってしまい、「ハァ……」と溜息を零しつつ。
(いったい、昔の会社で何をやらかしたの? 御兄さん……?)
もう、頭を抱えて嘆くばかりだった……。


TO BE CONTINUD……

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