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第2章29話 ソフィアvs天后 科学の時間

第4師団長のソフィアは陸王安倍晴明の式神の1体である天后と対峙していた。

 天后:
 「小娘にしてはやるではないか。」

 ソフィア:
 「それはどうもありがとう。」

天后は次々と魔物やを産み出し続けていたため、ソフィアは本体までたどり着けないでいた。

 天后:
 「一応名乗っておこう。我が名は天后。晴明様の式神にして天帝様の妃であり、女性に関するすべての事象や母性を司る式神である。」

 天后:
 「そなたの名も聞いておこう。いずれ我が子になるのだから。」

 ソフィア:
 「?何言ってるのかわからないけど、私の名前はソフィア・スミス。第4師団師団長よ。」

 天后:
 「そうかソフィアと言うのか。」

天后はそういうと不穏な笑みを浮かべた。

 天后:
 「さぁお前たち母の願いを聞きなさい。」

 ソフィア:
 「何あれ?」

すると天后は、大昔に殺したであろう農民や貴族の男たちを召喚した。

天后は安倍晴明の式神の中で1番の偏食家であり、若い男を好んで食べていた。天后は男の性を吸うことで強くなる式神であり、その性が濃ければ濃いほどより強力な力を得る。それと同時に天后は殺した男を自身の子と称して着の身着のまま操ることができる。そのため、殺せば殺すほど強力な駒が手に入る。

 天后:
 「さぁ、あのソフィアという子を捕まえなさい。」

天后がそういうと、男たちはソフィアに向かって襲い掛かってきた。ソフィアは即座に男たちの足元に虎ばさみを生成し、かかった隙をつきナイフで首を切断していった。

 天后:
 「ひどい奴じゃな。躊躇いもなく人を殺すなんてのう。」

 ソフィア:
 「何がひどい奴よ。本物の人間でもないのに。」

 天后:
 「本物じゃよ。私に惚れ込んだ本物の男たちじゃよ。DNAまで全く同じの。」」

 ソフィア:
 「そこだけでしょ。どれほど細胞レベルで同じって言っても本人の意思もなくただ操られているだけの存在は本物の人間とは言えないわ。」

 天后:
 「ほぉ、なかなか言うのう。」

 天后:
 「でも、嫌いじゃない。容姿も私好みだし、決めた。そなた観賞用として一生私のそばにおいてあげる。」

 ソフィア:
 「は?何言ってるの。」

 天后:
 「私は男しか食べないけど、気に入った女は観賞用としてそばに置いておくのが好きでの。どうやって飾られたい?氷漬け?ホルマリン漬けかしら?それとも剥製?」

 天后:
 「あぁ、考えただけでも興奮してきた。早くそなたを捕まえて保存しなければ。」

そういうと、天后は先ほどよりも多くの魔物と男たちを産み出した。

 天后:
 「さぁ我が子たち新しく我が子になる子を捕まえなさい。殺してはダメよ。」

200はいるであろう魔物と男たちがソフィアに向かって一斉に襲い掛かった。

 天后:
 「結局、人間は数の暴力には勝てないのよ。」

 ソフィア:
 「舐められたものね。」

 天后:
 「!」

ソフィアが男に触れると触れられた男は燃え尽きた炭のようにボロボロに崩れていった。次々と魔物に触れていったソフィアは200体近くいる魔物と男たち全てをボロボロに崩した。

 天后:
 「そなた我が子たちに何をした。」

 ソフィア:
 「別にちょっと体を構成している原子をいじっただけよ。」

 天后:
 「何を?」

 ソフィア:
 「ここからは科学の時間よ。人体の筋肉や骨などほとんどが炭素主体でできている。そして、その炭素は他の原子との結びつきなどで硬さを変えるわ。それこそ、世界一硬い物質からとても脆い物質までにね。」

 ソフィア:
 「そして、あなたは言ったわよね細胞レベルまで一緒だって。ということは、人体の構成元素も一緒ってこと。そこまでわかったら後は私の専門よ。後は私の身体能力がついて来れるか。」

 ソフィア:
 「でも、そこももう大丈夫そうね。悠たちに感謝しないとね。」

ソフィアは『ギフト』の力で触れた相手の体内の炭素原子を最も脆い物質の元素構成へ変化させた。

 天后:
 「なるほど、流石師団長を務めているだけのことはある。物質変化と生成か厄介だわ。」

すると、天后は再び多くの魔物を産み出した。

 ソフィア:
 「何度やっても同じよ。」

 天后:
 「さぁ、お前たち母の愛が欲しかったら争いなさい。」

そういうと、魔物たちはソフィアには目も暮れずに互いを殺しあった。

 ソフィア:
 「何を?」

最後の一体の魔物が残ると

 天后:
 「偉いわ、母の愛を受け取りなさい。」

天后は残った魔物にキスをした。すると、1m近くだったその魔物は3m近くまで巨大化し、人獣型ともキメラ型との言えない異形な方とへと変貌した。

 ソフィア:
 「何が起きたの?」

 天后:
 「多数の魔物を争わせ残った魔物に殺したすべての魔物の力を注ぎこむ『蠱毒の壺』。さらにそこに、私の力を注ぐことで強大な力を手に入れることができる。今のこの子の力は【四門】を遥かに超えている。」

『蠱毒の壺』は古代に用いられた呪術のこと。ありとあらゆる毒性生物を一つの壺に入れ、残った生物の毒を使って人を殺めたり、呪ったりしたとされる最悪の呪法。天后はこれを魔物でやることで普段の数倍強い魔物を作り出した。

 天后:
 「さぁ、やってしまいなさい。」

魔物は雄たけびを上げると、ありえないスピードでソフィアとの距離を詰めてソフィアを数十m後方にある川まで吹き飛ばした。ソフィアは何とか防御が間に合ったものの肋骨が数本折れてしまった。

 ソフィア:
 「なんでパワーしてるのよ。」

 天后:
 「ほぉ、防御が間に合ったのか。いい反応速度しておるのお。」

 ソフィア:
 「一人で【四門】以上の敵とやるのね。いいわやってやるわよ。」

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