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第2章14話 訓練終了 鳴り響く警報

悠が南部で訓練を見ているころ、第1では第6師団長のシーラの訓練を受けていた。

 シーラ:
 「もうダウンかい?ほらもう1セット行くよ。」

 萩原:
 「荒太さん、これで何セット目でしたっけ?」

 新田:
 「5セット目から数えてない。」

シーラの訓練は圧倒的な運動量をこなして筋繊維をボロボロにしてシーラの作った料理で回復を繰り返す。こうすることによって強靭な体づくりをし、さらにトレーニングの中で体の効率的な動かし方を覚える目的もある。

他の師団長もそれぞれの訓練方法があり、第5師団長のマキシムは動じないための精神力を第2師団長の氷室は戦い続けるための持久力を第9師団長のアクエは瞬間的な判断力と瞬発力などをそれぞれ指導している。

第3の近距離の訓練を見ていた悠は全員との組手を終え、アドバイスをしていた。

 悠:
 「みんな動きはいいな。連携も流石だ。だが、俺の動きに囚われすぎてるな、俺の動きに過敏に反応してる。だから、フェイントに引っかかるんだぞ。相手の動きをどうにかしようとするのではなくて相手を自分たちの動きに反応させないと。自分の土俵に持ってくるように意識してみろ。」

 団員:
 「はい、ありがとうございました。」

 悠:
 「アイザック、超至近距離の団員は裏の山に来るように言っておいてくれ。」

 アイザック:
 「かしこまりました。」

そう言って、悠は団員たちを基地の裏にある山に集合させた。

 悠:
 「集まったな、君たち超至近距離組はこの山で鬼ごっこを行ってもらう。2組に分かれてくれ。」

 悠:
 「ルールは簡単だ。制限時間2時間以内に全員捕まえたら鬼の勝ち、逃げ切ったら逃走者の勝ち。これはファルトレクっていうトレーニングを兼ねている。」

ファルトレクとは不整地を走ることによって、スピード持久力の強化や心肺機能の向上が養われる。

 悠:
 「君たち超至近距離組は特に前線に立って戦うから持久力は重要になってくる。このトレーニングで持久力とペース配分を養ってほしい。」

 悠:
 「それじゃあ準備もできたみたいだし、始めるぞ。鬼は3分後にスタートだ。地形をうまく利用していけよ。初め。」

そして、2日目の全訓練が終了し夜には師団長同士で訓練の様子を報告しあった。

 悠:
 「シーラちゃん、うちの団員はどうだった?」

 シーラ:
 「そうさね、ばてた時のもう一歩が足りないかね。どうも引きの行動になってしまうわ。」

 悠:
 「そうか、みっちり鍛えてやってくれ。」

 シーラ:
 「もちろんさね。」

 スターク:
 「悠のほうはどうだったか?うちのやつらは。」

 悠:
 「動きに基礎はできてたよ。でもまだ、動きが硬かったり視野が狭かったりするかな。」

 スターク:
 「そうかい。」

あっという間に2週間がたち、個人指導の期間に入った。個人指導ではトレーニングの指導だけではなく団員の悩みの相談や戦術の指導をオペレーターにも行う。そして悠は、最終日には締めとして団員全員と組手を行った。

 悠:
 「みんな初日に比べていい動きしていたぞ。連携も様になってたしこれなら大丈夫だろう。他の訓練も頑張れよ。」

 団員:
 「ありがとうございました。」

そうして、訓練は順調に進んでいき全師団分の訓練が終了した。

 悠:
 「モモどうだった?いろんなこと学べたか?」

 モモ:
 「はい、場所によって重要視するポイントが違って整理するのが大変でしたがすごくためになりました。」

 悠:
 「それはよかった。」

第1の基地に帰っている道中、町中の警報が鳴り響いた。

 悠:
 「まさかこのタイミングで!モモは早く基地に戻ってくれ。」

 モモ:
 「わかりました。」

 悠:
 「彩音、聞こえるか?」

悠は予備で持っていた端末で彩音と通信をした。

 彩音:
 「はい、聞こえます。」

 悠:
 「どういう状況だ?」

 彩音:
 「同時に複数個所で霧の出現が確認されました。大きさから何百、何千体という魔物が現れることが予測されます。」

 悠:
 「基地に数人残して総動員させろ。市民に被害は出させるな。避難を最優先で進めさせろ。第2にも同じことを伝えてくれ。」

 彩音:
 「かしこまりました。」

そして、霧から魔物が現れた。そのほとんどがキメラ型と人獣型だったが中には明らかに魔物ではないのもまで混じっていた。

 悠
 :「あれはロボット?」

すると、氷室から通信がきた。

 氷室:
 「悠、今魔物と対峙してるんだけどよなにかロボットのような奴がいるんだが。」

 悠:
 「こっちもいるよ。でも何かおかしいこっちを見向きもしてない。」

すると、そのロボットは住宅街へ一直線に走っていった。

 悠:
 「まずい!彩音避難状況はどうなってる?」

 彩音:
 「もう少しかかります。後10分ほど。」

 悠:
 「ロボット型の魔物が市民のほうに向かってる。恐らく市民を捕らえる気だ。すぐに現場に行く
ように新田隊に言ってくれ。」

 彩音:
 「かしこまりました。」

悠が近くの魔物を粗方片付けた頃、再び氷室から通信がきた。

 氷室:
 「悠、さっき南部のスタークから通信がきたどうやらあっちも大量の魔物がきたらしい。」

 悠:
 「本当か!一回合流しよう。」

 氷室:
 「俺も片付けながらそっちに向かってる。」

通信の途中に悠の目の前に人一人分のサイズの霧が現れた。

 ?:
 「会いたかったぞ悠。」

 悠:
 「艮・・。」

そこに立っていたのは陸王眷属の艮だった。

さらに、悠のもとに向かっていた氷室の前に1体のロボット型魔物を連れた坤が、南部に現れた魔物を協力して殲滅していたスタークとソフィアの前に巽が現れた。

 坤:
 「お会いできてうれしいわ。第2師団長さん。」

 氷室:
 「坤・・。」

 巽:
 「陸王様の命によりあなたたちを殺しに来たわ。南部の師団長さんたち。」

 スターク:
 「こいつは確か。」

 ソフィア:
 「巽。」

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