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冥年ステップ編集部の大パニック

「どうしよう!印刷所の締め切りに間に合わない!」
週刊老年ステップ編集部は大パニックに陥っていた。売れっ子漫画家ピカソ・もるもっと先生がアトリエから失踪したのだ。
ここ数週間、先生は週刊連載に追われる中、ネームに詰まっていた。
編集担当の助言で騙しだましネームを切り続けてきたが、ついに担当者のアイデアが尽きてしまった。
このままでは雑誌連載に穴が開いてしまう。しかも、先生は行方不明という事態に直面している。編集長は困り果て、頭を抱えていた。
印刷所への締め切りは迫り、編集部全体が緊張と不安に包まれている中、
ピカソ・もるもっと先生の行方を探し出し、なんとか危機を乗り越えなければならない。果たして編集部はこの難局を乗り越え、週刊連載を救う方法を見つけ出せるのか。
それとも売れっ子漫画家の失踪は編集部に大きなダメージを与えてしまうのか。不安と焦りが渦巻く中、編集長はチームをまとめ、逆境を乗り越えるための策を練り始めるのだった。
「何か手掛かりはないか? なんでもいい。お前ら先生の愚痴やそれっぽいほのめかしを聞いてないか?」
編集長は藁にも縋る想いで編集者たちを問い詰めた。
「そういえば、コミックス最新刊のあとがきですが」
ある編集員がメモを差し出した。走り書きは先生の筆跡だ。

『ピカソ・もるもっとの「まんがヒヨコ枯渇砂漠」は月光のコケコッコーが激昂して結構ですと言われる滑稽なウコッケイであるが固形の苔を後継する光景が大口径で克明に描かれていて国家の傾向が手に鶏ようにわかる。こういうコケティッシュなコケコッコーと結婚したい』


何だこりゃ、と編集長は首を傾げた。意味不明のオンパレードだ。

「ノイローゼでしょうか。先生かなりテンパってたんですね」
しかし、このメモには何かヒントが隠されているのかもしれないと編集長は思い至った。

「国家の傾向が手に鶏ようにわかる…固形の苔を後継する光景が大口径で克明に描かれている…」編集長は思考を巡らせた。

「もしかして、先生が何か国家や政治に関するネタを描いていたのかもしれない。週刊老年ステップが取り上げたことのないテーマで、時事問題を扱っていたのかもしれない」とひらめいた。

編集長は編集部全員に指示を出した。「先生のアトリエを徹底的に捜索し、手がかりを見つけ出すんだ。また、政治関連の情報を集め、先生の連載作品に関連付けられる可能性があるネタを探し出すんだ」

編集者たちは一丸となって、ピカソ・もるもっと先生のアトリエを捜索し始めた。同時に政治部や報道部に連絡を取り、情報を集める作業も始まった。

緊迫した時間の中、編集部は自らの限界に挑みながらも、ピカソ・もるもっと先生の行方とネームの解決を目指して奮闘した。果たして彼らは先生を見つけ出し、雑誌の締め切りを守ることができるのか。その結末は、編集部の努力と運命の歯車が絡み合った結果によって揺れ動くこととなるのだった。

その頃、ピカソ・もるもっとは現実から乖離した空間にいた。ピカソ・もるもっとは悠久と哲学の間と呼ばれる世界で光り輝く知的生命体に導かれ、自問自答していた。
「つきなみな手順であるが汝の課題を羅列してみよ」

彼はリストアップしはじめた。
1.エンド・イン・セルフが作れなければ、何も得られない。

2.私のなりたい自分は多すぎる。詩人、画家、彫刻家、作家。志望が決められない。

3.自分の体になること、自分になること。これまで表現しようと試みたが、進歩がなかった。

4.詩や絵を作りたいわけではない。何もしたくない。

ピカソ・もるもっとはマンがが書けなくなっていた。絵と台詞が有機的に結びつかない。
漫画家としての統一が失われ単なる画家や詩人に分解していた。

私は詩人にも画家にもなれない。何も作りたくない。

自分が何者なのか分からない。自分が置かれている状況を明確に表現したい。

私は自分自身を見失い、存在意義を見つけるために迷い続けている。

このような状況において、私は自分が何をしているのか、どこにいるのか、何をしようとしているのか、といった疑問が頭をよぎる。私は自分の存在を理解し、自分自身を表現するために奮闘しているのだ。

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